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「それで俺に何をさせたいの」
≪浄化の手伝いです≫
「だからさぁ、具体的に言ってくれないと分かんねぇよ」
≪具体化した穢れを消滅させてください≫
「それって俺にどんな得な事があるんだよ」
≪一定の浄化が済むごとに願いを叶えます≫
そもそも今までは、この浄化空間の管理者と言語理解ができ意思の疎通が図れる事も少なかったそうだ。
何処かの国が管理者を宇宙人として保護し、宇宙人基地(浄化空間)と宇宙人(管理者)を研究観測した成果もあり管理者も徐々に進化したそうだ。
過去には浄化空間と知らずに祈りによって浄化を手伝い帝国を築いた者もいれば、遺跡を発見したとして『発掘』と言う形で浄化を手伝い文明を築いた者もいたり、鉱脈を見つけたとして空間を広げ続ける事で浄化を手伝い富を手に入れた者もいたそうだ。
そして現在『人間』に発見されているこの浄化空間はそのどれもが今は国家機密となっているそうだ。
≪この空間の有用性が理解され始めたのです≫
「って事は、この空間の発見も国に届けた方が良いのか?」
≪それはあなたの自由です。しかしその場合あなたの命の保障がされない場合もあります≫
他国での話らしいが、前回の発見者は国に知られるや国家機密厳重保持を理由に暗殺されたそうだ。
裕はそれを聞いて震え上がる。
多分この日本ではそんな事は無いとは思いたいが、絶対とは言い切れない所があるのが不思議だ。
もっとも良く良く考えてみたら、既にダンジョン認定されたこの空間を届け出たらいったいどうなる?
一躍騒がれ時の人となり、その結果は裕にとって明るい未来が続く想像がまったくできない。
まぁその前に、何処に届け出て誰に話そうと裕の話を信じる者もいないだろうが。
だとしたらこのまま自分の思い描くダンジョンを攻略し続け、宝を手に入れ働かなくても生活できる未来を夢見た方が良い気がする。
裕は結局そう結論付けるのだった。
「分かった、このダンジョン攻略を引き受けても良い、でも当然ドロップ品はあるんだよな?」
≪ドロップ品ですか≫
「そうだよ。ダンジョンで魔物討伐と言ったらドロップ品とお宝だ。それは絶対だ」
≪例えばどんな≫
「現金だ!!」
色々考える前に裕は今一番欲しいと願っていたものを口にしていた。
そうして交渉の結果、最低でもワンコインと譲らず、謎生物のドロップ品扱いで現金を手に入れる事に成功した。
ただしダンジョンの対戦相手として裕は、最弱のスライムを思い浮かべる前にゴブリンや神隠しの話の影響からかっぱを想像していたらしく、今の謎生物を相手にする事になったのはまったくの誤算だった。
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