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俺だけのダンジョン  作者: 橘可憐


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誤字報告いつも本当にありがとうございます


「松永さんって抜かりが無いと言うか、本当にできる女性なんですね。すっかり憧れてしまいました。まぁ、相手が相手だったと言う事もあって信用していなかったと言うのもあるのでしょうが、売買契約書にはまだ判を押していなかったので私達も助かりました。お陰でこの土地をさほど苦労する事も無く手に入れる事ができました。相手が契約違反だ違約金をと騒ぎ出した時も私達で対処しようかと思ったのですが、予見でもしていたかのようにその辺も契約書にしっかりと明記していたのには驚きました。ですので山伏君も安心してこれからもこのダンジョンに挑んでくださいね」


叔母からボロアパートごとこの土地を、国家未詳案件調査対策室が無事手に入れた事を涼太からも報告を受けていた。


「俺にはあまり関係ない話だし、引っ越すまでって言う約束だからね」


毎日定時のように決まった時間に部屋に訪れる様になった涼太とダンジョンに入り、裕は今もかっぱ擬き討伐を毎日繰り返していた。


初めの内は何だか色んな人が出入りしたり色んな機材も運ばれていたが、ここ最近は涼太が記録を取って観測しているだけの様だった。


「だからね、引っ越さなくても大丈夫だって話をしたんだけど通じなかった?」


「何でだよ、新しいアパートの方が良いに決まってるだろう」


「でもここに居ればだいぶ稼げるのは事実でしょう、このままアルバイトを続けなよ。僕も山伏君が公務員試験に受かる様に手助けするから、この際本採用を狙ってみても損じゃないと思うんだよね。何と言っても国家公務員は安定しているし、それこそ老後の心配もなくなるよ」


涼太は以前裕が老後の心配を漏らしていたのを知っているので、揶揄うつもりではなく引き合いに出し引き留めようとしていた。


「今まで稼いだ分で充分だよ。後は地道にやって行くし」


結局国家未詳案件調査対策室のお陰で裕の隠してあった現金の全額を無事銀行預金にできた。

どんな手を使ったのかは知らないが、税金を引かれる事も無く確定申告をしなくて良い事になったので、裕はその点では涼太には頭が上がらなかった。


それにあの課長とどう交渉したのか、ダンジョンでの討伐報酬は全額日当にあてられる事になった。


しかしそうなるとアルバイトの筈の裕の収入が大変な事になるので、かっぱ擬きの討伐時間は程々にして管理者の黒猫と話をする事も増えていた。

不思議な事に黒猫と話している間はかっぱ擬きの湧きが止まるのだ。


湧きの時間を早めた事もあって、勤務時間を8時間にして本気でかっぱ擬きを討伐したら一日の収入が軽く50万を超えてしまうのでセーブするのも大変だった。


裕にしてみれば本気を出せないと言うか、好きな時に好きな様にダンジョン攻略をできない現状は、ある意味苦痛でもあり悩む所も多かった。


できる事ならスライムダンジョンにも行きたかったし、他のダンジョンの消滅の手伝いも始めたい思いはあったが、しかし実際問題そこで得た討伐報酬はこれからも隠さなくてはならないのは変わりなかったので、少しでも多く涼太の手助けをして隠さなくて良いお金を稼いでおくかという気持ちもあった。


それに裕はこのかっぱ擬きダンジョンの消滅まで付き合いたいと言う思いもあったので、それも裕を悩ませる要因にもなっていた。


新しいアパートが出来上がるまで後2週間ほどだと叔母から知らせを受け、涼太はこのアパートにこのまま留まりこのダンジョンを攻略する事を進めて来ている。


裕としては新しいアパートで叔母と同居するのを楽しみにしてはいるが、このかっぱ擬きダンジョンの事も、ここで得る討伐報酬が世に出せる現金になる事も気にはなっていて、口では引っ越すまでと言いながらも実は心は揺れていて、何かうまい解決策が見つかれば良いなと考えていたのだった。



読んでいただきありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[一言] このダンジョンが消滅するまで、協力するとしても、そこで、この胡散臭い組織ときっぱりと手を切る必要はあるね。それか、国を相手にしても立ち向かうことのできる程の力を手に入れるかでしょうね。
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