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≪一定値の浄化の確認ができたのです、願いの申請を受け付けるのです≫
「おっしゃー!来たーーーーー!!」
手を振りながら裕の傍に駆け寄って来る黒猫幼女を見ておもいっきり喜びの声を上げた。
思っていたより早かった様な気もするが、待ちわびていた分長く感じていたのは確かだったので、本当に心からこの通知を喜んでいた。
裕は黒猫幼女が目の前に立つのを確認してから待ちに待った願いを口にする。
「ダンジョンの出入口を好きな場所に設置出来る様にしてくれ」
≪分かりましたのです≫
黒猫幼女はそう答えると両手を胸の前で合わせ、何かを祈るような仕草を見せてから≪完了しましたのです≫と裕を見て笑った。
黒猫相手の時は脳内に響くAI音声で捻話の様だったが、黒猫幼女とはそれ以上のコミュニケーションが取れる様で、裕は何となくこそばゆい思いがしていた。
(俺には断じてロリ趣味など無い、が・・・、可愛い・・・・・)
内心焦りを感じながらそんな事を考えていた。
≪願いの申請は完了したのです、空間の成長促進の設定を申請しますのです≫
「魔物の湧きの早さを3倍にしてくれ、確か初めの設定はそれで十分なんだよな?」
≪そうなのです、十分なのです≫
裕は頬の筋肉を少々緩ませながら成長促進設定が終わるのを待った。
≪完了しましたのです≫
裕は黒猫幼女の返事を待って、早速スライムの湧きの早さを確認しながら討伐を始める。
(うん、退屈をする事は無くなったがもっと早くても大丈夫だな)
スライムをリズミカルに打ち抜きながらそう考えていた。
そしてこれでいつ新しい住居に引っ越しても大丈夫だと思っていた。
(となると、これからは黒猫との約束通りダンジョンの消滅に力を貸すか)
そんな事を考えながらその日の討伐をキリの良い所で終わらせ、かっぱ擬きダンジョンへと転移すると部屋のブザーが鳴っていた。
裕は慌ててダンジョンから出て「はいはいー」と返事をしながらドアを開けた。
「もしかして寝てた?」
どうやら暫くブザーを鳴らされていた様な問いかけに裕は適当に誤魔化した。
「トイレに籠ってた悪い、それで今日は何の用?」
「この前税務や会計の仕事に興味があるから高卒認定試験受けたいって言ってたでしょう、僕が昔使ってたので良ければと思って実家に帰ったついでに持って来たんだけど、良かったら使ってよ」
人の良さそうな爽やか笑顔を浮かべたモブ顔の涼太は、参考書などが入っていると言う段ボールを裕に差し出した。
「ぁあ、ありがとう、良かったらお茶でも飲んでく?」
思いも掛けなかった善意に裕は少し躊躇しながら段ボールを受け取ると、咄嗟にお礼をと考えて部屋に上がる様にすすめていた。
涼太はこのアパートに住む唯一の30代のサラリーマン風の男性で、裕が何気に言った「問題は老後なのか」の草むしりの際の独り言を聞き逃さずNISAを教え勧めてくれた人で、その後も顔を合わせると何となく挨拶代わりに財テクミニ談議をしたりしていた。
話しの雰囲気から多分銀行か証券会社か、何にしても金融機関に勤めている様だったので、いずれ違法性のないマネーロンダリングの方法は無いか知らんふりして聞いてみようか、と何気に目論んでいたのだったが、なかなかチャンスも切っ掛けも掴めずにいた。
それにこちらから下手な話をして変に疑われてもな、と言う後ろめたさもどうしも拭えずにいた。
「良いの?じゃぁ遠慮なくお邪魔しようかな」
涼太はそう言うと玄関で靴を揃え「結構綺麗にしてるんだね」と言いながら部屋に上がった。
「適当に座ってよ、お茶と紅茶とコーヒーとコーラがあるけど何飲む?」
裕は涼太が部屋に入るのを確認しながら段ボールを部屋の隅に置くとそう聞いた。
「じゃぁ無糖ならコーヒーでじゃなかったらお茶でお願い」
という涼太の返事を聞き、自分の分のコーラとコーヒーを冷蔵庫から取り出した。
そしていつもの自分の定位置に座り、この際だから思い切って色々聞いてみようかと思い、疑われない様な上手い話の進め方を考えるのだった。
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