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俺だけのダンジョン  作者: 橘可憐


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「だからさあ、どうやったら転移出来るのか聞いてるの」

裕は思わず声を荒らげてしまった。


≪行きたい空間を脳内で設定して転移を望めば良いのです≫


「だからなぁ、まずその行きたい空間を思い描けないんだけど」


新しく行ける空間を詳しく教える気は無いのかと、裕はAI音声の返事に思わず溜息をつく。


≪条件を設定する方法もあります≫


「条件?」


例えば地域や発生してどの位経っているかやまだ未発見といった様な細かく条件を絞っていく事で、その条件に合った空間の中から一番条件に近い空間に転移する事ができるらしい。


そしてその後その空間に名前を付けるなりして自分で認識する事で、次からは思い描くだけで簡単に転移する事ができる様になるだろうとAIは言う。


「それで何か注意事項は無いの?」


≪注意事項とは?≫


「簡単に言えば、転移したいダンジョンの条件を絞るうえで俺にとって少しでも得って言うか、少しでも多く稼ぎたいんだけど、その場合どんな条件のダンジョンを選べば良いのか教えてよ」


≪管理者の居る消滅段階に入った空間を早く消滅させれば管理者は別の空間に移動も可能です。しかし今のまま空間が増え続けるなら管理者の居ない空間が増え続ける事になります≫


「良く分かんないけど、それって一つでも多くダンジョンを潰して行った方が良いって事か?」


≪その方が結果的に多く願いを叶えられると思います≫


裕が知りたかった答えとはちょっと違ったように思えたが、しかし裕はここで少し考えた。


このダンジョンは発生して間もないダンジョンだって言っていた。

そのお陰か、第一の願いは意外にすぐだったけど、第二そして今回の第三回目とその度に間隔が広くなっていた。


って事はどう考えてもダンジョンを消滅させるのにはさらに時間が掛かるだろう。


と言う事は、次に予定を立てているダンジョンの出入口設定の願いはここを引っ越すまでに叶えなくてはならないのに、いつ終わるかも分からないダンジョン消滅に悠長に時間を使っている訳には行かない。


取り敢えず少しでも早く願いが叶いそうなダンジョンを選び、その後にゆっくりダンジョン潰しをして行けばいいだろう。


裕は自分の中でそう結論を出し、黒猫に言い訳の様に話し始める。


「ダンジョンの消滅は次の願いを叶えたら絶対に取り掛かるから、取り合えず一番早く願いが叶いそうなダンジョンに転移させてくれないかな」


≪すべてあなたの望むままにどうぞ≫


裕は脳内に響くAIの音声に少しだけ後ろめたさを感じながら、転移したいダンジョンの条件を絞って行く。


(管理者の居る一番新しいダンジョンに転移したい)


裕は目を瞑り脳内でそう呟くと、ゾワゾワとしたブランコを水平近くまで漕いだ時の様な浮遊感を感じた。


これで転移完了かと裕はゆっくりと目を開けるとそこは見渡す限りの草原で、そして何故か5.6歳だろう幼女が裕の傍に駆け寄って来た。


≪待っていたのです≫


人懐っこそうにそう話す黒髪に黒目の幼女は何故か黒いメイド服を着ていて、その上頭には黒い猫耳とお尻には長い尻尾があった。


裕はその姿を見て(これって俺の願望なのか? どうせメイド服ならピンク髪の可憐な少女とか金髪美女とか銀髪エルフとか他にもあっただろう、俺には断じてロリ趣味は無かった筈だ)と、黒猫獣人の幼女を目の前にして頭を抱えたのだった。



読んでいただきありがとうございます

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