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第4話 僕が本気で謝罪するなら

鍵っ子です。


最近の生活リズムは仕事、執筆、アニメがほとんどです。最近ハマったのは、アニメで『彼女、お借りします』を、見て漫画も33巻まで買い占めました、お気に入りは19巻です。


後、宮島礼吏さんの表現方法、作画も丁寧でおまけの謝罪からも伝わる熱意が好きです。

 昨日の謝罪作戦が無事に決行となるか否かの分かれ道は桐内君から送られてくるサインの内容によって大きく決まる。


 普段の登校時間よりも少し早めに教室に入り、既に登校を済ませている桐内君の鞄を視認、後にタヌキ寝入りを決め込んで今か、今かと通知を待つ。


 ブルブル! と、スマホの二度に渡る振動を検知。


 すかさず通知画面を確認し、喉を鳴らす。


『放課後、すぐに校門へ集まるように! だって』


 やはり釣れた! 釣り用語で言えばナイスなリアクションバイト……。ともあれ、一つ目の壁は崩れた。


 後は、僕が二人を誘うのみだ。


『ありがとう、そしたら僕の方は昼休みに動くよ。それと今日一日は放課後まで、絡みはナシの方向で』


 即座に既読が付く。その後、『了解、後は任せた』スポン! と、桐内君から返事がやってくると同時に――。


 ガラリ! と、教室のスライドドアが開け放たれ、輝いた表情で何人かの友達と連れ立って桐内君が教室に入ってきた。


「おっはよー! 大山君! じゃあ、後は任せたー!」

「ども」


 不思議そうな友人の顔を尻目に彼は彼のまま空気を変えることなく、僕との距離を上手く維持する。

 違和感のない空気作り、接し方……流石はコミュ力の塊なだけはあると感じた。


「おはよう、流石に挨拶ぐらいはしとく」

「あ、うん……おはよう」


 若干の違和感を察知したのか、少しだけ不満そうな春山さんも席に着く。


 続けざまに、僕は後ろで読書をしている冬梅さんにも挨拶をする。

「おはよう、冬梅さん」


 ビクッ! と、電流が流れたかの様な驚き具合いで冬梅さんが反応を示す。

「うん、おはよ……。大山くん」


 消え入りそうな声、それでも挨拶はしてもらえた。


「ねー! 大山、例の件だけどさ、まだ謝ってないの?」

「約束通り、今日中には伝えるよ。だけど、その為にはしっかりとお話ができる環境が大事かなって」

「そ! なら別にいいけど、やるならあーしが監視できる所でね! きっと一人で冬梅さんは沢山抱え込むタイプだろうし、あーしはそう言うのほっとけない主義だから」

「わかったよ。正直さ、僕一人だと心もとなかったから凄く春山さんのサポートが助かるよ」

「べ、別にアンタのサポートなんてしてないけん! 勘違いすんなし!」


 やはり、曲がったことが許せないタイプ。


 自分自身の中で答えがはっきりしていて好きと嫌いをきっちり分別している。

 少なくとも、春山さんに対してはいい意味で真っ直ぐにぶつかることが一番の薬になるだろう。









 そうして気がつけば何度目かのチャイムが鳴り響き、僕が一番狙っていた昼休みが始まる。


 ここで逃してならないのは冬梅さんだ!


「冬梅さん、ちょっと話があるんだけど。いいかな」

「あっ、うん。大丈夫だよ」


 冬梅さんを捕まえれば、間違いなく春山さんも動きを止めるハズだ。幸いしたのは、すんなりと聞き入れてくれたことだ。


「ごめん、なっつー! 悪いんだけどこれでジュースを買ってきてー! アンタの分も買っていいからー」

「ほいほーい! ぬるちゃんの頼みならば快く受け入れようぞ〜!」


 なるほど、僕が行動したことを察知してすぐにお仲間には上手く距離を取らせたか……。

 私も見てるから後は僕なりにやってみなさい! と、言うことか。

 ならば、遠慮なく二人を誘い込むとしよう。


「実はさ、突然なんだけど冬梅さんって放課後はなにか用事があるかな? どうしても伝えないといけないことがあって」


 全部真実、実際に今日で終わらせないと、後がこわい。


「はぁ!? なんで、なんで! そーなるのよ、オカシイでしょうがぁ! ばかぁー!」

「わっ、春山さん。どうしたの?」


 やれやれ……と、言わんばかりの表情で頭を抱えた春山さんがツッコミを入れた。


「どーしたもこーしたもアンタねぇ……」

 春山さんのお説教モードを今ここで喰らう訳にはいかない! 多少強引でもここは退けない。

「悪い、春山さん。今は冬梅さんと真剣に話をしてるから邪魔されると、困る」

「うっ……! わるかったわよ」

 再び、冬梅さんの方に向き直り返事待ち。


「えと、だいじな用事なんだよね?」

「僕的には今後の学校生活にすら影響が出るほどに重要な内容かな」

「あのあの……あの、ね! えっとね」


 偉く歯切れが悪い。


 何故なのか……う~ん、選択肢を間違えた気もしないし、よっぽど会話が苦手なのだろうか?

「だめ、かな?」

 一応の念押し。

「い、いいょ……放課後のよてい、あけておく、ね」

「あー、うん。ありがとう?」


 あれ? 気がつけば何故か教室が静かになっている気がするが?


【ヒュー! ヒュー! お熱いねぇー!】


 あちらからもコチラからも鬼気迫る勢いで盛り上がりを魅せる教室……さながら、実況をするならば……。

 さぁ、さぁ! 盛り上がって参りましたぁー! と、聞こえて来そうだ。


 なにか、周りが大きな勘違いをしているようだが、今の僕にはさほど影響はない。


「ちょちょ、アンタ! 冬梅さん相手に攻めすぎよ! 謝る以前にハチャメチャよ!」

「うわ、うわ〜。肩をそんなに揺らさないでー、春山さんのやぁーくぅーそぉ〜くぅ〜……」

 グワン、グワン! 視界が揺れる。


「とにかく! 私も放課後あけておくから、絶対に先走らないこと! いいわね!?」

「あーりぃ〜がぁーとーうー、後ね二人とも集合場所は校門でお願い致します」

「わかった! わかったから! それ以上はしゃべんなぁー!」

 誠に遺憾である。僕は冬梅さんに謝罪をするための準備を一生懸命にセッティングしたと言うのに。

 後、見えていないと思ったか? 桐内君、あなたが終始楽しそうに僕の行方を眺めていたのは知ってるからね。

 こうして、無事に役者も揃えることができた。









 

 残りの授業も難なく終了し、遂に放課後を迎える。

「ふぅ~、それじゃ! 行きましょうか」

 そう言って、春山さんはスクールバッグを片方の肩に付けて背中へと回し、颯爽と歩き出す。

「そうだね、冬梅さんと桐内君も行こうか」

「は、はい」

「よーし! 行きますか!」


 そう言って、まだまだぎこちない雰囲気を感じながらも、四人は揃って先生が待つ校門を目指す。




「木下せんせーい! おまたせいたしましたー!」

「は!? な、なんで先生が!?」

「えと、どう言う……」

「ははーん、さては悪知恵の働くお前ら二人! 完全にやってくれたな! 四人も同行者が居るなんて聞いてないが……まぁ、いいだろう。早く乗れ」

「先生、独り身なのに、なんでアルファードに乗って……」

「バカ! 失礼なことを言わない! ってか、何処に向かうのよ」

「思いの丈をぶつけるには、海が効きます。だから、二人を木下先生の力を使って海へご招待です」

「海、ですかー」

「うみぃー!? あぁ、もう何でもいいわ。とにかく、木下先生わざわざ無理を叶えて下さり、ありがとうございます」

「ではではー、先生! 運転をお願い致します!」

「お前ら、本当になにしに海まで行くんだよ……。とりあえず、いくぞー」



 タバコをそれなりに吸っている印象が付いていたのだが……。

 車内はとても清潔感の漂う物だった。なによりタバコのニオイがあんまりしなかった。


 その後、慣れた手つきで木下先生は車を発進させる。

「んで、なんとも面白い面子だがー? 目的はなんだ?」

「いやー、実はですね。今回海へ行く理由と致しましては〜、そのー……ですね」

 確かに、目的達成まであと少しではあるが、いざとなると言い出しにくい感が出てしまう。

「うへぇ〜、なんかこの感じや~」

 何処となく流れている微妙な空気感に少しだけご不満そうな春山さんは当然、僕たちに海辺で謝罪されるとは思いもしないだろう。

「まぁ、でもね春山さん。僕たちも悪気はないからさ、もう少しだけ……僕たちの想いがどれくらい本気なのか、これで伝われば嬉しいよ」

「なっ!? き、急に変なことをい……言ったらあーしも怒るけんね!」

 そう言った春山さんの姿はミラー越しに映るが、俯いているせいで良く分からない。

「ぷっははっ! これは、これはぶっ飛んでやがる! おおやまー! お前さんがそれを素でやってるなら傑作だ!」

 へ? 突然なんなんだ? 学校でもそうだったが……。僕はなにかやらかしてるのか?


「これは、相当な鈍感……いや~天然なら世界遺産レベルだよ大山君」

「で、でも多分だけど本人は気づいて、ない……」

「賢い振りして、実はネジが足りてない! ってのも大山君らしいのかな?」

「なになに? 凄い不愉快」






 そうして、ついに……。

 車を走らせて5分程で目的地の海岸に到着する。

「ほら、着いたぞ!」

 夕暮れに染まりつつある海岸はなんとも美しい景色と波の音を運んでくれる。

「ここってー、モンチッチ海岸よね」

「そうそう! 知り合いも居ないし! 騒ぎにもならないからさ、前日に急遽計画をしたんだ」

「えっと……計画、ですか?」

「あらぬ誤解と仲直りを込めて、僕が考えてここをチョイスしたんだ」


 白い砂浜に心地よい潮風、まさに心を落ち着かせて話すにはもってこいの場所だ。

「んじゃあ、済んだら声をかけてくれー! 先生は一服してるから」


 取り残された四人、柔らかな砂浜に靴をうずめながらも僕と桐内君は目を合わせて合図する。


 その刹那――。


「今回の件は俺も――」

 桐内君が謝罪するよりも疾く、潔く! 僕はなりふり構わずに立て膝をつき、そのまま額を砂浜に当てる。


「この通りです。僕が本気で謝罪をするにはコレしかありません。ごめんなさい」


「ちょ!?」

「へ?」

「はひぃ!?」


 古来より受け継がれし最上級の謝罪に君臨する土下座、感情の起伏も表情も上手くできない僕が唯一見せられる誠意の意思はこれしかない!


「そ、そのぉ! 俺もあの時は強引過ぎたと反省しました! すいませぇん!」


 つられて、桐内君も土下座。


「なっ!? いや、そこまでする為にわざわざ二人して一生懸命に考えたの?」

「あっ、あわあわあわ! や、辞めてください! 私は二人に悪いことなんてされたと思ってませんからぁ」

「もう! ほんと、呆れちゃうくらいに馬鹿正直ね! これじゃあ、あーし達が悪者じゃん! ね、冬梅さん」

「で、です! もう、謝らないで下さい! 私の方こそ途中で逃げたりしてごめんなさい!」

「いや、もう……私も決めつけ過ぎたー! ごめんなさい!」


 お互いにペコり。三秒程が経過し後に――。


「ぷっ! アハハ! まじ一本取られたぁ!」

「ぶっ! はははは! いや、俺も大山君が光の速度で土下座するからぁー」

「クスッ……! でも、お互いに思ってた部分がありましたね」

「わー、よかった」


 こうして、僕の僕なりの考えた本気をぶつけた結果……皆に笑顔が溢れ出した。


 でも、僕の顔から笑顔が漏れ出すことはなかった。



 でも、今はこれでいい。和解からの次なるステップ! 次はこの流れで彼女達を釣り部に勧誘するまでがセットだ。


〜僕が本気で謝罪するなら END To be continued〜

はい、ではもう! いきなり言いましょうか。もし宜しければ!ブックマーク、評価&感想もお待ちしております! エナジードリンクを下さい!←かなり気に入ったフレーズ

面白いって思って頂ける方や、「ふんふん、続きが気なる」なんて方々がいらっしゃると非常に嬉しいです! 万人にウケる作品はありません! ですので、皆様の豊かな感受性の中に私の作品が少しでも多くの方に刺さることを願いながら、やっていきます!


では、次回の投稿に向けて! 頑張ります。

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