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城からの追放

 会社での仕事の疲れもあった私たちは、夕飯を終えた後ベッドで休むことにした。

 この国の国王と王子に宰相たちの話し合いはまだ続いているらしい。

 侍女にそう言われた私たちは、客間にあった大きなベッドを提供されたのだ。

 結構な時間が立っているのにまだ話し合いが終わらないなんて、一体どんな話し合いをしているのやら。

 先ほど侍女から聞いた話からすると、まあ間違いなくこの城から追い出されるんだろうな。

 今はとにかく少しでも休んで疲れをとっておかないといけない。

 どんな処遇が言い渡されても、たとえこの城から追い出されたとしても、サヤと一緒ならきっとなんとかなるだろう。

 そう信じていくしかない。

 「アヤ、おやすみなさい。それにしても話し合いはずいぶん長く続いているみたいだね」

 一緒のベッドに潜り込みながらサヤが不安げに言う。

 「本当だね。まあなんとなく予想はついてるんだけどね」

 「そうなの? アヤは相変わらず先のことをよく考えてるよね。私ももう少し考えて行動しなくっちゃ」

 「とにかく今は体を休めよう。どんなことを言い渡されてもいいように体の疲れをとっておかなくっちゃね」

 「そうだね。じゃあそろそろ寝ようか」

 「うん。おやすみ」

 こんな状態ですぐに眠ることなんてできるのかなと思ったんだけど、日ごろの疲れがたまっていたせいかすぐに眠気がやってきて、ストーンと落ちるように眠ったのだった。


 そして次の日の朝。

 私たちは眠っていたところを叩き起こされたのだ。

 「おいこら! いつまで寝てるんだ、いい加減起きろ!」

 乱暴な言葉に私は半目を開ける。

 そこには昨日この客間に連れてきてくれた騎士が立っていた。

 「ん~、なに、なにごと?」

 寝ぼけまなこで起き上がると、騎士はさらに言った。

 「いい大人が子供みたいなことを言うな。これからお前たちに宰相から処遇が言い渡されるのだ。さっさと起きるんだ」

 「……はいはい」

 昨日は聖女様方なんて言っていたけど、この態度の変わりようから私たちのこれからの処遇がどんなものか嫌でも想像がつく。

 まあ、やっぱりねって感じもするんだけどさ。

 隣で寝ているサヤはまだ目を覚まさない。

 相変わらず神経が太いというかなんというか。

 これだけ大きな声を張り上げられているというのにのんきなもんだよ。

 「サヤ、サヤ起きて。私たちの処遇が言い渡されるんだってさ」

 するとサヤは目をこすりながら私を見る。

 「あれ? もう朝なの? ご飯は?」

 「ご飯はないのよ。とにかく起きて。これから重要なことが言い渡されるから」

 「……はーい」

 サヤを起こすのはいつも一苦労するんだよね。なかなか起きてくれないんだもん。

 いつもだったら私がご飯の準備をしてからやっと起きてくるくらいだから、今日は朝が早くて大変だろうな。

 そんなサヤをなんとかかんとか起こすと、私たちは騎士に連れられて部屋を移動した。

 さてと、一体なんて言われるんでしょうね。

 ちなみに妖精の姿は今でも見えてるんだけどね、みんな不安そうな顔をしてくれてるんだ。

 「この部屋だ。中にはこの国の国王がおられる。失礼のないように」

 ごくりとつばを飲み込むと、両開きの大きなドアがゆっくりと開けられた。

 「例の双子を連れてまいりました」

 「うむ、ご苦労。さあ中に入りなさい」

 部屋の中にはこの城の重鎮たちと思われる人々が勢ぞろいしていた。

 うわあ。こんな場面を物語の中以外で見ることになるなんてね。

 私とサヤは、宰相と思われる人の前に出された。

 頭が少し寂しいことになっている分、眉毛や口ひげがくどいくらい濃くなっている。

 「えー、この度のそなたたちの処遇を言い渡す。話し合いの結果、たとえ聖女様であろうと双子であるという点がやはりどうしても認められないという結果になった。ついてはそなたたちには即刻この城から出ていただく。しかし、やはりこちらの都合で呼び出したという点も無視できないことから、そなたたちには幾ばくかの金子を用意することとなった。向こう五年は遊んで暮らせるほどの金子を用意しよう。マジックボックス機能付きのカバンに入れて渡すので、重さは気にならないだろう。いいですかな? このことは他言無用に願いたい。そなたたちとこの城の者とは一切関係がなかったと。そういうことにしていただきたい。さて、これでそなたたちの処遇は言い渡された。即刻この城から出ていくように」

 まあ早い話が城からの追放っていうわけか。

 大体予想はついていたけど、まさかお金を渡されることになろうとは思わなかったな。

 このまま放りだされるってんなら少なからず脅しをかけてお金を貰う予定ではいたんけどね。

 私とサヤは二人して大きな大きなため息をついたのだった。

 ここで何かを言っても無駄だってことは嫌でも分かるし、面倒ごとを起こしたくもない。

 だったら、おとなしく出ていくのが一番いいんだろう。

 騎士から大きめのカバンを手渡されると、確かに何か魔法がかかっているんだと分かった。

 向こう五年は遊んで暮らせるようなお金が入っているにしては、ずいぶん軽く感じたしね。

 部屋を後にする前に国王の方を見てみたけれど、息子と同じ緑色の髪に赤い瞳をした中年の男性だった。

 さすがに親子だな。見た目はそっくりだよ。

 まあこれからこの人たちと関わり合いになることは一切ないんだけどさ。

 騎士二人に連れられて、私とサヤは大きな大きな城門までやってきた。

 この城門を出ればこの城との関りは一切なくなる。

 あくまでも無関係だったんだということになるんだ。

 後ろを振り返ると大きな大きな城が建っている。物語に出てくるのと同じような城だった。

 城門が開くと騎士二人が最後に私たちに言った。

 「これから大変だろうが頑張れよ。俺たちには国王の意志に背くことはできないんだ。悪いな」

 「俺たちもお前たちがうまく生きていけるよう祈ってるからよ。あんまり悲観するなよな。じゃあ元気で」

 あら、結構いい人たちじゃない。こんな所でこんなことを言ってくれるんだから。

 ああ、でもせめてこれくらいは教えてもらおう。

 「あの、最後にお願いがあるんですけど、この国には学校とかってありますか? あとは図書館とか」

 騎士二人は顔を見合わせたけど最後の情けと思ってくれたのか答えてくれた。

 「ああ、あるぞ。図書館でこの国のことを色々調べればうまく立ち回れるだろう。金の使い方や文字の読み書きも分かるだろうし、生きていくのに必要なものならそろってるから安心するといい」

 「そうですか。最後のお願いを聞いてくれてありがとうございました。お二人もお元気で」

 そう言って頭を下げるとサヤも同じく頭を下げる。

 ギギギィィイイと音を立てて城門が閉まる。

 さてはて、これからどうしようかなあ。

三年ぶりの投稿になってしまいました!

ずいぶん間が空いてしまいましたが、また書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

ついに城から追放されてしまったアヤとサヤ。

これからどんな生活が待っているのか、無事にスローライフを送っていけるのか、見届けてやってください。

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