ぶっちゃけ様子見だけでも面白い
さて、首尾よく蜘蛛の元から脱出した俺は、テレビとネットを見ていた。
やはりあれは観測されていたらしく、報道へりがぶんぶん飛んでいた。
戦闘機も出撃しており、糸を警戒して離れた場所を飛んでいる。
避難指示が出され、野次馬は詰めかけ、大変な様子だ。
総理大臣が真剣な面持ちで国民の皆さんを守る旨を宣言し、自衛隊に命令。
許可が出たぞ! とばかりに突撃したのは友軍の在日米軍だったり。
とにかく、仲良くミサイル一発ずつで蜘蛛は沈黙し、野次馬達は日本コールとUSAコールに忙しい。
鬱屈した空気を吹き飛ばし、まさにお祭り状態でテレビもネットも大騒ぎ。
思わず熱中して見てしまう。
【魔王雷光からフレンドコールが来ています】
「やば。なんもしてねーや」
「や、指南書は読み終わったか?」
『師匠が読み終わった。で、契約者にしろって言ってるんだが』「やめとけ? あれは妻用」
『そうなのか』『チッ』『師匠……』
「指南書も読んでないと話にならないな。まず読み終わってから相談してくれ。あと、くれぐれもダンジョンコアは使うなよ? その後、ちゃんと説明してやるから。最低でも一週間後までには読んでおけ。荷物も纏めて置くこと!」
『わかった』
この調子だと、指南書読んですぐに連絡きそうだな。仮にもプレイヤーがわからないなんて恥ずかしいし、現実になって変更点も多いだろうから、ざっと確認しておくか。
俺は後ろ髪を引かれる思いで、指南書に目を通した。
徹夜になってしまい、息をつく。
朝からフレンドコール。でも、貰った邪神通貨分はサポートしないとな。
命の恩人でもある。
それにしても、なんだか、フットワークが軽そうだなこいつら。
ひとまず色々アドバイスする。早まって人間襲うなよ?
そして、アイテムを譲渡する。
流石にダンジョンコアだけじゃな。魔王貨があると言っても、何買ったらいいかわからないだろうし。
一息ついたらお祈りして、残ったアイテムを確認する。
適正ダンジョンコアチケットが一枚。
ダンジョンコア引換券(S)3枚。
超成長石が2つ。
回復ポーションが50個。
魔王様のブーツ。
魔王様の服。
魔王様の弓。
魔王様の短剣。
魔王様の杖。
魔王様のローブが一着。
宝箱が一つ。
宝物引換券(D)が3枚。
宝物ガチャが1枚。
魔法のスクロールガチャが10枚。
魔法のスクロール交換チケット(D)が10枚。
ジョブブック交換チケット(D)が5枚。
ジョブブックガチャチケットが5枚。
そしてガチャチケットが30枚。
確定レアチケットが10枚。
領地チケット(天・地・海)3枚
NPC進化薬(S)33個
世界移動の腕輪
小型魔導宇宙船
領地施設引換券36枚
魔王推薦チケット3枚
邪神貨1,002,100J。
魔王貨5,001,002MK。
魔貨10,023M
ダンジョン通貨10,100,000DP。
ダンジョン通貨100,000DP
金貨 3,000枚
うん、何からしていこうか。
雷光や活発なショップから分かる通り、皆最初からスタートダッシュを決めているっぽい。
そして海いらずのガチャ狂いが複数名いるらしく、ガチャを代償に領地が売られている。
ガチャは俺はあまりするタイプではないんだよな。
いらないアイテムが無制限に増えていくのがちょっと苦手なのだ。
方針が定まらなくて、占いついでにガチャをする時もあるし、確定レアチケットならば、ハズレアイテムでもショップで売れるだろうが……。
そういうわけで、ガチャ券30枚は売ってしまおうかな。
代償として何を要求するかだが、通貨というのも面白くない。
うーん、アイテムもなぁ……。初期アイテムでパッとするようなのはない。
ひとまず保留にしようか。
眺めていると、ショップの投げ売りされるアイテムの種類がどんどん増えていく。
ガチャを回し始めたな?
交換指定アイテムでガチャ券も多いし、やっぱりしばらく保留だな。いいの出てくるかも。
考えながら、テレビとネットを見る。
とりあえず、少ない貯蓄だけおろしてご飯を食べたら眠ってしまった。
翌朝。
今日もテレビはヒートアップしている。
どうやら、蜘蛛が空間の亀裂から人影と共に出てきたところを人工衛星に激写されていたらしい。
はぇー。すげーな人工衛星。
さて、俺がすぐに動かないのは、問題があるからである。
フィクションの世界ではないのである。
ダンジョン攻略されちゃうよね、という話だ。
この地球にどれだけ魔王がいるかもわからないので、嘘を垂れ流すのも躊躇する。
それでも動かなきゃなんだけど。んー。テレビ面白い。
夕方、フレンドコールが来た。
『4日後に建国祭をするから、ラベラトスにも先達としてきてほしい』
「あれから三日しか経ってないが!?」
『師匠が告知しちゃったんだよ! ガチャ券と交換で、海の領地が手に入ったし……! ちなみに領主師匠』
「それでいいのか、お前」
『まあ、あのウルトラポジティブな所があるからこんな俺でも受け入れてくれたんだし……楽しいし』
「そうか。楽しいか。……ぷはっ それにしても早いだろ、一週間て! あはは! いいよ、祝ってやるよ」
『うう……』
「そうだよな。楽しんだものがちだよな。4日後を楽しみにしてる」
通信を切って、俺は変身して魔王装備をつけた状態で首相官邸に飛んだ。