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7/5「不思議の国」

グラハム・D・マッキンリーの歴史講義「WOZ」

 宇宙開拓歴の主役は?と聞かれれば地球と火星の2つを差し置くわけにはいかないが、では助演は?と聞かれれば意見は分かれるだろう。私は3つ挙げたい。

 大戦のキャスティングボートを握った月、大戦の流れを作ったジェンス社、そしてWOZだ。

 ジェンス社と同じように宇宙戦国時代に端を発するWOZは宗主国であるウォルシュタットを中心にオストベルグ、ザルツカンマグートの3国で構成される。UFのほとんど全域に渡って発展を続け、末期では単一コロニー国家の中で経済、軍事ほぼあらゆる分野でTOP3を独占する圧倒的な国家となった。月に次ぐ5番目の勢力。

 WOZという国はかなり特殊な国だ。人によっては宗教国家という表現をする者もいる。わかりやすい表現ではあるが歴史家としては異議を唱えざるえない。短絡的だとな。

 WOZの成立時点では3国はほぼ対等な同盟関係であったが星間大戦末期にはほぼウォルシュタットにより併合され単一の議会と統一された政府で運営されていた。特筆すべきはこの議会と政府の性質だ。議会は貴族階級によって構成された上院とそれ以外の者たちから選出される下院で構成され、上院から各種の行政代表が選出されるのだが、その中に意思決定者はいない。

 何を言っているんだと思うだろう?

 これがWOZという国の面白いところだ。WOZにはWOZ憲章とそれに付随する憲法が存在するのだが、その中には主権に関する項目が存在しない。WOZは共和制なのか?違う。そもそもWOZという国の最終的な主権者が何者であるか、それがWOZにおいては明文化されていない。定義されていないのだ。大統領もいなければ首相もいない。王も、皇帝も、総統も定義されていない。

 しかし存在しないということではない。ここがポイントだ。

 WOZにはギガンティアと呼ばれる存在がある。これは組織でもあるし、また1人の指導者を意味する言葉でもある。この意思決定者の意向で政府も議会も動いているのだ。つまりWOZは明文化されていない謎の存在によって動いているということになる。宗教国家と呼ばれるのもここに由来する。つまり神ということだな。明文化されていない謎の存在によって意思決定がなされるんだから外部の人間から見れば薄気味の悪いことでそう表現をしたくなることもわかる。

 しかしギガンティアは神ではなく、実在する組織であり個人だ。ただ当時も、そしていま現在でもその存在は多くの謎に包まれているがね。



7/5「不思議の国」

 WOZの領域に侵入してから1週間後、イージス隊らの諸隊はWOZの一角であるオストベルグのコロニー「ダッハシュタイン」に到着した。道中を案内する警備艇を除けば特別な出迎えはなく3隻の連合軍艦艇はひそやかに軍用ドックに入った。

「あっさりと入れましたな」

 些か拍子抜けと言った風にコールは呟いたがルビエールは3隻分のドックの状況からWOZが周到な準備をしていただろうことを洞察していた。ドック内は不自然に物がない。事前に全ての部材を移動したのだろう。さらにこのドックはコロニーの比較的奥まった位置にある。入るは易し、出るは難しということだ。

 とはいえ、とりあえずは安全な場に入れたことを良しとすべきである。この場にあっては周囲に対する警戒は最低限で済むのだ。息を吐くならこのタイミングだろう。

「最低限の警備を除いでクルーを休ませてください」

「承知しました」

「WOZから代表格の者が出頭するようにと言ってきています」

 通信士官の報告にルビエールは頷く。

「アンダーソン少佐とオオサコ少佐にも連絡を」

 お供にリーゼとエディンバラを指名するとルビエールはイージスという艦の外に出るのはどれほどぶりかと考えた。フランクリンベルトから出撃してから時間的にはそれほど長大な期間が過ぎたわけではなかったが、その間にあまりにも大きく状況が変化した。そしてこれから足を踏み入れるのもまた未知の領域でまだまだウンザリするような変化に見舞われることになりそうである。

 扉が開いたら連合領域だったらなぁ。

 益体のない考えに自らの疲労を自覚しルビエールは頭を振った。


「ようこそWOZへ」

 WOZの地へと降り立ったイージス隊ら諸隊の面々を出迎えたのはやはりマチルダ・レプティスであった。

「引き続き私が担当することになりました。皆様方の処置が最終決定するまではこちらの許しなしに艦外に出ないように。そのかわり、こちらの人員もそちらの艦には許可なく立ち入りません。医療が必要な者がおりましたらこちらから医師を派遣、それでも駄目であれば搬送する。こんなところで如何ですか?」

 そんなところだろうな。ルビエールはオオサコ・アンダーソンにも目配せして確認を取る。オオサコはむっつりと黙り込み、アンダーソンは重々しく頷くと口を開いた。

「依存ありません。早速ですがご厚意に預かりたい。先の戦闘で怪我を負った人間がおります。軍医の処置は受けておりますが万全の処置ができているとも言い切れませんので」

「最新鋭の医療を受けられるでしょう」

 マチルダは柔和に微笑むと既に控えていた医療スタッフを手招いた。手際の良さに戸惑いながらアンダーソンは軍帽を取って頭を垂れた。

「感謝を。ヘリクセン君」

 ヘリクセンが医療スタッフをシュガートに案内するのを見送るとマチルダは本題に入った。

「明日、我々の代表者の元にご案内します。それまではあくまで皆様方は招かれざる客です。何名で参りますか?」

「私ともう1名で」

「承知しました」

 その1名に当たりをつけてマチルダはほほ笑んだ。

 後は食料の手配など事務的なやり取りを行ってその日の交渉は終えられた。とりあえずの危機を脱せられたことに安堵したクルーたちは安全な牢獄で眠りにつく。

 もちろんルビエールはその内訳には含まれていない。

「さて、トラの追尾を逃れてオオカミの懐に飛び込んだわけだ。ここまでは予測のつく流れだが、ここからはそうはいかない」

 クサカスタッフから巻き上げた菓子を口に放り込みながらルビエールは溢した。相手に指名されたマサトは同じくクサカスタッフから巻き上げた高級茶を慣れた手つきで入れている。

「ま、なんでもかんでも見通して動ける人間はいませんよ。用意できるものはしたんでしょう?」

 マサトの言葉にルビエールは考え込む。果たして本当に用意ができているのだろうか。できていたところでWOZはそれに喰いつくだろうか。見落としている策があるのではないか?マサトの言う通り、全てを見通せる人間など居るはずもないのだが不安は尽きることはない。

「自分のことばかり考えてもしょうがありません。こういう時は相手のことも考えてみるといいでしょう」

 マサトの転調にルビエールは難しい顔をした。もちろん、その思考展開もした。しかしWOZ側の事情などルビエールには及びのつかないところにある。かえってマズい思い込みを抱えてしまうと思って切り上げたのだ。

 マサトは処置なしとでもいうように肩を竦めた。

「んじゃまぁ好きなだけ整理しててください。タスクリストは要ります?」

 この言い草はルビエールの癪に障ったようだった。ワインを一気に飲み干すと次を注ぐ。顔を上げた時には白い顔が赤く紅潮していた。

 次の一杯を注ぐルビエールに苦笑しながらマサトは言葉を連ねた。

「一つだけ言わせてもらうなら、この大戦は状況が大きく変化しているってことですかね。これまでの火星が地球から独立するための戦争から火星が躍進するための戦争に。後戻りできない火星は共同体も巻き込もうとするでしょう」

 それに関してルビエールも異論はない。火星と共同体の同盟。これまでそれが実現してこなかったのは火星と共同体双方に本気で地球と戦う気がなかったからだ。しかし火星はそうせざるを得なくなった。潜在的に地球と対立している共同体もこの戦いの決着を座して見守るわけにはいかない。火星が負けて地球が覇権を得れば次は共同体が圧迫される。火星が勝つ分には問題ないが、火星の独力では不可能だろう。ここにきて火星は諸々のデメリットを呑み込んででも共同体の参画を望むだろう。それはつまり共同体にとって有利な同盟を得られるということでもある。共同体は一定の利益を火星から引き出すだろう。それは宙域の支配権、つまり宇宙人としての覇権となる。

 マサトの言いたいことがルビエールにも伝わった。

「必然、WOZもそれに振り回される」

 カナンの戦い以降も敵対関係にあるWOZと共同体の関係もそれによって大きく変わる。火星と共同体が同盟を結べば、それまで不干渉であった火星とWOZとの関係に悪影響を及ぼすのは間違いない。ことによっては共同体によって地球陣営と一緒くたにされ旗色を勝手に塗られることにもなりかねない。

「そういうことですね。WOZは無関係でいたいですが、そうは言ってられない状況になりつつある。だから僕たちに興味を示した、とも考えられますね」

「共同体の代わりにWOZが火星につくことはないのか?」

 WOZ側にとってはそれも選択肢になりえるはずである。マサトは首を振り、この切り口を火星側からの視点から否定した。

「その可能性は限りなく低いですね。まずWOZを味方にすれば必然、共同体との関係が悪化する。両立するとなれば消極的な助力しか得られず、火星側は目的が達成できない。WOZが積極的に地球と対立する確約でもあればまだしも、基本的に無関係を維持したいWOZ側の考えは火星にとって何の益ももたらさない」

 WOZ側がそれを望んでも火星は乗ってこないということだ。WOZの望みと火星の望みは矛盾するのだ。と、なるとWOZは地球側につくだろうか?これもまた微妙なところだが、それこそがルビエールの交渉において有利なポイントにもなりそうだった。

「マウラとローズはWOZが望むものを得るためのコネクションになりえる、か」

 話をローズとマウラどころか地球連合とWOZにまで拡大して話す。自分で言いながらルビエールは頭を振った。話が壮大過ぎる。理屈としては解るのだがその話題を切り出すにはルビエールは小さすぎた。

「交渉は一度で済ませる必要はありません。お上を引きずり出して丸投げすればいい。その切っ掛けさえ作れれば後は待つだけですよ」

 確かに、こちらに急ぐ理由もない。一度受け入れた以上はWOZも安易には放り出せまい。このまま内部で拘束される危惧はあるが、それに関しては今さらどうもならない。

「明日の会談、お前も来ないか?」

 何気なく切り出した提案をマサトは失笑しながら拒絶した。

「やめときますよ」

 なぜだ?とルビエールが怪訝な顔をするのに半ば呆れた様子でマサトは説明する。

「あのですね、この格好でそんな場所にいったら怪しまれるでしょ」

 マサト・リューベックはどう見ても少年である。そんな人間が重要な会談に居合わせたら警戒されるに決まっている。言わんとすることに気付いてルビエールはそんな当たり前のことに気が回らなかったことに恥じ入った。どうも特殊な環境に慣れて感覚がマヒしてしまっていたようだ。


 ルビエールが交渉事に意識を捉われている一方で別のポイントに意識を向けていたのはアンダーソンだった。

「とりあえずはこれで息をつけますね」

 イージス隊から譲り受けた高級酒のどれから手をつけるか迷いながらヘリクセンは言う。厄介な交渉事は全てイージス隊が受け持つのだ。これから当分はシュガートにやるべきことはない。精々出発日に向けて準備を怠らない程度である。

 しかしアンダーソンは気楽にはなれなかった。

「エノー大尉には悪いことをした」

「持つものの責任ってやつですよ」

 実際、シュガートは持たざる者で、WOZからしても全く価値のない存在である。後はイージス隊が上手くやってくれることを祈るのみだが、例え失敗したところでシュガートとブラッドレーに関しては叩きだされるより悪い展開にはならないだろう。補給を受けれたなら後は慎重に宙域を迂回すれば生還の見込みも高い。

 つまるところシュガートはイージス隊を利用することによって望みを得ることに現時点で成功したと言えるのである。イージス隊の交渉事がどうなろうがシュガートには大した問題ではない。

「君にだけは言うがイージス隊が何を考えているのであれ、交渉は失敗した方がいいかもしれん」

「どういう意味です?」

 ヘリクセンはアンダーソンの言葉に意外そうな顔をした。

「交渉の内容そのものは我々の預かり知らんところなので口を出すつもりはない。しかし、その結果として滞在が長引けば一時のつもりで降ろした腰も容易には持ちあがらないだろう」

「なるほどね」

 一度でも安全だと気を抜けば、そこから再び出ていくことは難しい。兵士の士気を考慮すると滞在は長引かせない方がよい。補給だけ受けられれば、とっとと追い出された方がいいかもしれない。アンダーソンとしてはそう考えている。

「しかしそうなったらイージス隊だけ捕縛されて俺たちだけ叩きだされるってことも考えられますね」

 並んだ瓶の一つを手に取ってヘリクセンは物騒な想定を軽く口にした。アンダーソンは頷く。価値のあるのはイージス隊だけなのだ。そうなる可能性はある。

 持つものである彼らは簡単には逃げ出せない。WOZが逃がそうとしないだろう。交渉失敗となればこの想定もかなり確度が高い。もっとも、それすらシュガートにとっては悪い結果ではない。単に後味が悪いというだけの話になる。

 自分のグラスに注がれる琥珀色の液体を見つめながらアンダーソンはそうなったときのことを考える。自分はイージス隊を見捨てられるだろうか?

「見捨てられないように立ち回った次は見捨てようと立ち回ろうとしているわけだ」

「酔うにはまだ早くありません?」

 急な自虐を一笑してヘリクセンはグラスを持ち上げた。アンダーソンも同じようにグラスを掲げる。

「死んで花実が咲くものか」

 和してアンダーソンもグラスを口元で傾けた。

 長い付き合いでヘリクセンはアンダーソンが考えていることが大体わかる。しかしヘリクセンの方はそれほど悩む気にはなれない。そうなった時に自分たちに与えられる選択肢なんてものは大概予測のつかないろくでもないものに違いないのだ。

「いっそのことこのまま俺たち全員で亡命しちゃうってのはどうです?」

「酔うにはまだ早いんじゃないのかね」

 部下のとんでもない発言をアンダーソンは冗談として受け流したのであるが、この何気ない冗談を後で思い出して苦虫を潰すことになるのだった。



 交渉の日、勝負の日。ルビエール・エノーとロバート・ローズの2人を迎えに現われたのはマチルダ・レプティスの副官であるキャシー・アグスティンだった。ダッハシュタインの軍用ドックは公共のステーションと接続しているらしく内部通路からそのままダッハシュタインの都市部に出ることができた。送迎の車は1台。運転手とキャシー、ルビエールとローズが乗り込むとほぼ満員。その不用心さにルビエールは驚かされる。

「外務支局には20分ほどかかります。質問には答えられる範囲で答えていいと言われていますので何かあればどうぞ」

 後部座席に座った2人に助手席のキャシーは気さくに話しかけた。車はスムーズに走り出し、発展したWOZの街並みを進む。その清潔さに2人は衝撃を受けずにいられなかった。

 発展という意味では月統合国の首都である「アルテミス」など他にもこれ以上のものはあろうがダッハシュタインはWOZの首都というわけではない。中心部に近づけばその発展ぶりはより2人を驚愕させた。

 見たところでは建物全てが新しいというようなことではない。しかしどれもこれも保守管理が行き届き綺麗なのだ。特徴的なのは汚れやすい白を多用していることだった。綺麗に管理された白が景観を彩ることで極度に清潔な印象を与えているのだろう。

「他のコロニーもここと同じレベルなのですか?」

 よくある質問なのか。ルビエールの投げかけを苦も無く翻訳してキャシーは答える。

「いえいえ、ここは上位ですね。ここより発展してないコロニーはいくらでもありますよ。とはいえ、コロニーの美観はそこに根付いている貴族たちの意識レベルと見做されてるんで、平均レベルは高いと思いますけどね」

 貴族。WOZを語る上での重要なキーワードにルビエールは目を細めた。

「この国は貴族社会と聞いたことがありますが、貴族は国に対してどういった役割を持っているのでしょうか」

「あー、いい質問ですが、その考え方は少し誤解があります」

 いかにも慣れた様子でキャシーは訂正する。

「貴族に役割があるのでなくて、役割を持っている人が貴族なんです」

 ルビエールもローズも自身の中にある貴族の定義を見失って口をあけた。

「国に貢献できるものが貴族に序される。ということですか」

 それでは勲章や階級に近いものではないか。

「他国の人が理解する分にはそれでいいと思います。例外だらけなんで詳しく理解しようと思ったらギガンティアのことを理解してもらう必要があるんですが」

 WOZを事実上支配する謎の存在がこうもあっさりと顔を出してきたことに意表を突かれて2人は顔を見合わせた。もっとも、外部からは不可思議な存在が内部ではごく当たり前の存在というのはよくある話で、彼らにとっては特別なことではないのかもしれない。

「その、ギガンティアという存在に関しては私も耳にはしています。正直なところ全く理解できません。どういった存在なんです?」

 俄かにキャシーは外務官らしい表情を見せて説明を始めた。

「そうですね。一番の役割は貴族の任命ですかね。それを与えることができるのはギガンティアのみです。逆に没収することもできます。WOZ内において貴族であるかどうかは全てギガンティアのご裁量によって決まるんです」

「…つまりWOZにおける貴族とは家系を意味しない?」

「家系で貴族を続けている者もありますが血縁は基本的に関係ありません。血でなく能力もしくは功績で継がれる、ということです。例えば今から会っていただく外務代表のニジョウ・リー・マハルはニジョウという貴族ではあるんですが、それはニジョウに生まれたからではなく、ニジョウに相応しい能力を持っていると認められたからです。彼は先代のニジョウと血統上の繋がりはありません。一応、先代の養子という扱いではあるんですがそれで自動的にニジョウを継げるということではないんですよ。彼はリー・マハルであってニジョウであるかどうかを決められるのはギガンティアのみなんです」

 自らの血と名に縛られてきたルビエールはこの奇妙な風習に興味を持った。

「それはつまりギガンティアと言う存在がその個人の位階を勝手に定義するということですか?」

「そういうことになりますね。基本的に功績や実績があってのものですから定義されるというよりは保証されるという方が正確かもしれません」

 なるほど。ちゃんとした実績があって名を与えられるということか。

「とはいえ、実際にはそれぞれの家系もそれを維持するために必死こいて励みますし、構築した体系を引き継げる家系が有利なのも事実です。WOZの成立からずっと貴族の家系もいくつもあります。三大貴族なんかまさにそれです。それに貴族の基準も一族単位の貢献によるものもありますし、一代限定の勲章的なものまでいろいろあるんですけどね」

 さきほどから例外という言葉が多用されているのだが、国の根幹を成すシステムとしてどうなんだ?ローズも理解に苦しんでいるようである。

「一つ例をあげるなら。そうですね。ルビエール様も軍人ならコウサカの名前はご存じでしょう?」

「もちろんです」

 コウサカと言えばカナンの戦いを未曽有の勝利に導いた天才戦術家コウサカ・レオニード・ホロクのことだろう。軍人界隈でその名を知らない者はいない。なるほど、とルビエールはごちた。

「コウサカが貴族名でホロクが家系名なわけですね」

「その通りです。コウサカはWOZの中でもかなり伝説的な貴族名で生半可なことでは名乗れないんです。そのかわりホロク家が事実上独占している形になっていますけどね。歴代で存命中にコウサカを授けられたのは初代のレオニード・ホロクとWOZ軍の再編成に功績を上げたカスパー・ホロクの二人、そして当代のコウサカだけです。他はホロクの当主が死後に襲名するという形になっています」

 こう聞くと一般的な貴族システムとは別に様々な世襲システムをごちゃごちゃにしたようなシステムのようである。

「ごちゃごちゃした仕組みですね」

 率直なルビエールの感想にキャシーは再びフランクな表情に戻して苦笑した。

「実はそこのところは明文化されてないんでギガンティアの口先三寸なんですけどね」

「は?」

 なんだそれは。国の根幹をなすような重要な事項であるにも関わらず明文化されていない。つまり規定がないということになる。そんな得体の知れないシステムを得体の知れない存在が勝手気ままに取り扱っているのか。

 ルビエールには理解しがたいがそれすらキャシーの方は違和感を持っていないようだった。厳密には可笑しいと理解しているがそれでいいと許容しているのか。苦笑しながら続ける。

「例外はいくつもあるんですよ。例えばレプティスは貴族名と家名も兼ねています。レプティスはウォルシュタットの起こりから存在する古い貴族でご承知の通りその血に意味があるわけなんです」

 ここでもスペシャルはスペシャルなわけか。その事実にルビエールは理屈のない失望を感じた。

「逆に勲章のような扱いで一代限定という条件で貴族になる人もいますしねぇ。これは割と最近の傾向ですけど。わりとその時その時で都合のいいように使われてるシステムなんですよ」

 どうも根本的な部分にズレがある。ルビエールには何を持ってそのギガンティアとやらにそこまでの権利が認められているのかが全く理解できない。しかしWOZの人間はそれを当然としている。宗教感のズレのような薄気味悪さを覚えてルビエールはその点に関してそれ以上深堀することは避けた。

「では参考までにこの国の主要な貴族を軽く紹介してもらえないでしょうか」

「もちろんかまいませんよ。まずはWOZの三大名士と呼ばれるのがアスター・オスロ・ロマーリオの3つです。この3つはそれぞれ財閥を構成していてウォルシュタットの頃から国を支え続けている名門中の名門です。この3つは名前と家系が一致している例になります。次に有名どころなのはニジョウですね。起源はザルツカンマグートで三国同盟の構築に尽力した人物でその功績から代々WOZの外務代表に与えられる名になりました。軍事の面で言うならコウサカを預かるホロク家とナガミネを預かるアンダーソン家の二つがありますね。あとは比較的新興で勢いのある貴族となるとメディア王のジングウジとか防衛産業で急速に成長しているシミズですかね」

 情報を頭に刻みながらルビエールはその情報に関する奇妙な点を口にした。

「妙に日本名が多いのだけど。WOZは日本ルーツでしたか?」

 ニジョウ、コウサカ、ジングウジ、シミズ、ナガミネ。どれも旧日本の特徴を持つ名だ。しかしWOZのルーツにそういう話は聞いたことがない。この質問にキャシーはいかにも答えづらそうに口をもごもごさせた。

「それはですね。趣味です」

「は?」

「ですから。ギガンティアのご趣味なんです。一時期のギガンティアにかなりの日本贔屓の方がいましてね。その方が日本風の名前で貴族を乱発したんですよ。それで貴族名の判別もしやすいってんで新興の貴族に日本風の名前をつける風潮ができたんですよ」

 思わぬ答えにルビエールは拍子抜けした。明文化されていないことで曖昧である貴族システムだが、それだけでなく緩さもあるようだった。国の根幹をなすシステムとしてどうなんだ?ますます理解できない。

「しかし、随分と知ったように語るものですね」

「ご存じでしょう?ギガンティアは個人であると同時に組織でもある。有力な大貴族の中でも数名はギガンティアに招聘されてギガンティアの麾下になるんです。ニジョウしかり、私の上司であるレプティスもその1人です」

 なんと。とんでもないところに繋がりがあるものだ。

 では、キャシー・アグスティンはより近い場所でギガンティアが何者であるかを知っていることになる。それどころかWOZの支配体系の根元にいるわけだ。ルビエールは下手なことを言わなかったかと自分の発言を振り返ってその様子に気付いてキャシーは笑う。

「いやいやいやいや、私なんて下っ端オブ下っ端ですよ」

 そうは言うキャシーではあるが、彼女を知る者が聞けば冗談としても笑えないと思うだろう。むろん、ルビエールたちには知る由もないことだが。



 ダッハシュタインの官庁集合ビルの一角に如何にも取って付けたように外務支局は存在した。ソファとテーブル。人と人が密談するために必要なものだけが置かれたその場所には何の虚飾もなく、このためだけに用意されたことを訪れた者に示している。

 その男はルビエールの予測を全く外した容貌をしていた。褐色の肌に黒髪、アジア系特有の細面。年の頃は20後半から30前後か、政治家としては異例に若い。しかし違和感はない。それがWOZ外務代表ニジョウ・リー・マハルの姿だった。

 配下にあのマチルダ・レプティスもいるのだからルビエールのような容姿など見慣れているのだろう。リーはルビエールを見ても特別なリアクションはなしに歩み寄ってほほ笑んだ。

「どうもニジョウ・リー・マハルです。WOZ外務局代表を務めています」

 外務局代表とは他国で言えば外交長官・外務大臣にあたる大物である。その口調、仕草からルビエールは相手の育ちの良さを直感した。ルビエール自身がそうであるようにその血統からやんごとなき者たちには経験上、そういった人間を見分けることができる。

 2人からの挨拶を受け取るとリーは丁重さを持った仕草で2人に席を勧めた。しかし、そこから先は強者としての立場を取った。

「さて、あなたたちの持っている手札は聞かせてもらっている。それがその通りであるなら我々にとってはとんだジョーカーと言うことになる」

 リーは細い目でローズを射抜いた。WOZはここで真実ごと全てを葬る手がある。それはかなり堅実な手段で会話の流れ次第ではその手段は実行されるだろう。しかし、実際にはWOZは交渉という手順を挟んだ。その時点でWOZ側に取りうる手段として現実的ではなくなっているとルビエールは予測している。

「それで、その手札で君たちは何を望んでいるのかな」

 来た。ルビエールは身を乗り出して宣言した。

「我々は何としてでも帰還せねばなりません。その協力を願います。それが叶わない場合、我々は手持ちのあらゆる札を切る準備があります」

 これではほとんど恫喝である。しかしリーは敢えてそのことを口にはしなかった。そう言ってこの話を蹴ることは簡単であるがそこには何の益もなく、ルビエールたちは有言を実行するだろう。これを実力で阻止することも簡単ではあるのだがそれもまた単なる迷惑行為の処理でしかない。リーにはこれを都合のいい案件に変える裁量がある。

「なるほど。迷惑千万、と言いたいところではあるけども。話次第では交渉の余地はあるだろう」

 乗ってきた。ルビエールは掴んだ糸口を引き千切らないように平静を維持した。

「我々には2つ提供できるものがございます」

「御拝聴」

 リーは前傾すると足を組み、肩ひじを乗せるラフな姿勢をとった。ここからは裏のお話ということだろう。

「1つは地球連合における欧州軍閥マウラとのコネクションです」

「それを手に入れて何か良いことでも?」

「ご存じの通り地球連合はドースタンでの敗北により動揺します。この先、マウラは連合内で存在感を増すでしょう」

「根拠は」

「マウラはロバート・ローズ元大統領補佐官を手に入れます」

 リーの目線が一瞬鋭く光った。

「なるほど。その手助けを我々はできるということだ。しかし、マウラと繋がって得があるのかどうかはまた別の話に思えるね」

「この戦争はこれまでと違う展開を迎えるでしょう。火星と地球との戦いという枠を越えて地球圏全体を巻き込む形になります。そのように動かされていることはWOZもご存じのはずです」

「どういう意味かな」

「フォースコンタクト」

 この単語を聞いたとき、驚いた様子を見せたのはローズだけだった。そのローズすら言葉の意味を正しく理解しており、彼が驚いたのはルビエールがこの場でその情報を披露したことだった。その場でもっとも不相応な人間から出てきた単語にリー、そしてマチルダ共に警戒感を滲ませた。この反応はルビエールに確信を持たせ、次の論を補強することになる。

「これまで大戦に不干渉であった勢力も無関係ではいられない。まずは共同体辺りが火星側につく。いくら地球連合と言えどそれらを同時に相手するのは望ましくありません」

「我々はどちらにもつく気はないんだが、コネクションだけでも持っておくに越したことはないということかな」

「いいえ、むしろ地球側から積極的に関わられることになる。地球としては態勢を整えるために戦力を他に回したくはないでしょう。ゆえに別の方策を取ることになる。つまり共同体を牽制するために他の勢力にアプローチをかける。WOZもその一つになるはずです」

「なるほど、論理的だね」

 WOZと共同体はカナンの戦い以前からの敵同士である。共同体が火星側に立てば必然、地球はWOZを地球側として引き込もうと画策するはずであるし、共同体もWOZを地球側に追いやろうとするだろう。

「しかしそれはあなた方にとってみれば迷惑な話のはずです。ゆえにWOZは先んじて地球連合へのチャンネルを増やすべきなのです」

 微笑を浮かべてリーはルビエールの論に理を認めた。しかしその微笑みはいまだルビエールを値踏みする冷たさを含んでいる。

「なるほどマウラはドースタンで信頼を失った列強側でもなければこれと主導権を争う側でもない。我々がコネクションを持つべき対象としてはありかもしれない。しかし一つ抜けがあるように思える」

 一拍を置いてリーは語る。

「我々が既にマウラとコネクションを持っているかもしれない。あるいは君たちの手助けなどなくとも作れるという想定だ」

 あり得る話だ。しかし先のジェンス社との会談からマウラとWOZにそこまで強力なつながりはないとルビエールは確信していた。あるならばジェンスがそれを見逃すはずはない。これから作るというのも時勢的に考えれば容易だろう。しかしそうするための優位な材料をWOZは持っていない。そこにこそルビエールの狙いはあった。

「それでしたらなお、話は早いと思います。2つ目の提供をお話ししましょう」

 折り込み済みとばかりの転じにリーの目に好奇の色が宿った。それを確認してルビエールは澄まし顔で言い切った。

「ロバート・ローズとのよしみができます」

 今度はリーもマチルダも驚きの表情を浮かべた。この2人からその表情を引き出せたことにルビエールは小さな満足感を得たがそれを表に出さないよう努める。

 しばらくルビエールは黙ってリーに考える時間を提供した。しばらくするとリーは得心の頷きをしてローズの方に顔を向けた。

「面白い考え方だ。ローズ元補佐官はマウラの手札として切られる方でなく、手札を持ち、切る方になるということか」

 それこそローズがいまこの場にいる意味だった。つまりルビエールはローズを手札そのものではなく、手札を握っている者として連れてきたのだ。

 視線を受けるとローズは肩をすくめてはじめて口を開いた。

「僕にそんな力があるかはさておき、そうしないと自分の人生を自分の足で歩めそうにないもので」

 本人の意思はともかく、そうしないとろくでもない政治交渉の贄になることは確実だろうからそれを脱したいなら自立して渡り歩くしかない。ローズはそうルビエールに諭されたのである。

 まぁ、やるだけやってみよう程度の気持ちである。失敗したところで何もやらないのと大きく結果は変わらないだろう。

 その様子をリーは品定めをするように眺めていた。ルビエールの提案は彼にとって思いがけぬ切り口であろう。

 しばらくしてリーは足を組み替えた。

「とんだペテンを仕掛けられている気もするが、ローズ元補佐官の言うことは全くのデタラメということでもなさそうだ」

 実際、ローズはその方向にしか道がない。いや、道を切り拓かなければならない。ローズは真実という唯一の武器をもってマウラに取り入る。これにWOZが力を貸す。

 なくはない。この恩義は人道的な援助であってローズやマウラがこの先にやろうとしている事を援助しているわけでもない。これに懸念を抱く勢力にも筋が立つだろう。もっとも、ただで宝くじを購入するような期待薄のリターンではあったが。

 しかしそうなると。

「そうなってくると問題は、ルビエール・エノー。君だ」

 リーは細目で地球のノーブルブラッドを射抜いた。この提案に必要なのはローズとマウラとリーの3者であってルビエール・エノーはどこにも必要ないのである。この女はローズを利用して、切り捨てることも可能である。元々この提案には何の保証もないがルビエールの存在はその保証をさらに脅かす可能性がある。

「彼女は僕とマウラを繋げる役割を持っています」

 ローズのフォローにリーは納得しなかった。目線をルビエールに固定したまま切り捨てる。

「マウラと貴方を繋げるのであれば我々でも問題はありませんよ。何でしたら我々が正規の外交ルートであなただけを送り届けることも可能です」

 個人としての感情は別として願ったり叶ったりな提案にローズは黙ってしまった。そこまでWOZがやるとは思えないのだがそれくらいできるのは間違いない。

 いずれにせよリーの相手はルビエールであってローズの出る幕ではなさそうだった。ルビエールの方はと言えばリーの視線を動じることもなく受け止めていた。

「そのやり方で繋がりを得られるのは私の言うマウラではないでしょう」

 瞬間、部屋の空気が重みを持ったようにローズは感じた。ルビエールは腹を括った。彼女は自身の立ち位置を決めたのだ。

 事情を知らぬ者であれば何の話かと聞き返すだろうところ、黙り込んでいるにリーがマウラの内情をある程度は把握しているのは間違いなかった。

「なるほど、君の言うマウラとはクリスティアーノ・マウラを差すわけだね」

 やおらリーの表情が緩んだように思われた。

「結構。話は理解した。即座に結論を出すわけにはいかないが、悪い結果にはならないと思います。時間をいただきましょう」

 ルビエールとローズは顔を見合わせ、やるべきことはやったと確認した。後は相手の判断に任せるしかないだろう。


 地球からの珍客を見送ってからマチルダ・レプティスは不服そうに溢した。

「てっきりクサカの情報を提供させるのかと思っていましたが」

「僕も最初はそのつもりだった。しかし彼女は明らかにそれを嫌がっているように見受けられたからね」

 自らの端末を弄って予定を調整しているリーは交渉の結果にそれなりに満足しているようだった。

「そんなことは関係ないでしょう。主導権はあくまでこちら側にあります。提供させればいいんです。甘やかしすぎではないですか」

「さて、それはどうかな。あれはあれで危険物だし、僕らは外務官であって技術者じゃない。価値も使いどころも解らないものを取り扱う必要はないさ。それに彼女はクサカと意思疎通ができているわけではないだろう。こちらがそれを迫ったところで彼らの内部で分裂して面倒なことになるかもしれない。だから先んじて彼女たち単独で提供できる内容を提示してきたわけだ」

「あまり旨味のある内容には思えませんが」

「確かに。今の彼女らにそれほど魅力はないね。」

「今は、ですか」

 部下の機微にリーはにっこりとほほ笑んだ。

「そう、今はね。だから彼女たちが力を得て余裕ができたときに取り立てる。余裕のない人間を追い詰めるのは相手から何か引き出す上では悪手と僕は考えている。」

「引き出せるほどの力を彼女らが得るとは限らないと思いますが」

 意地の悪い見解だなと笑ったがリーはその原因をよくわかっていた。

「随分と辛辣だね。僕はそうは思ってない。何せ彼がついている」

 今度はマチルダが意地の悪い言葉に苦笑する。二人の共有する彼の存在こそマチルダの辛辣さ、リーの楽観に繋がっていた。

「なに、もともと大した要求じゃない。関わりたくないなら僕の方でこの件は預かってもいいよ」

 マチルダは露骨に不満そうな顔をして謝絶した。

「私の個人的な感傷でわざわざ外務代表のお手を煩わせるわけにはいきません」

 感傷なのは自覚しているわけか。一見すると冷静で論理的な部下がその実、へそ曲がりで嫉妬深いのをリーが可笑しがるとそれを察知してマチルダはその美しい顔を歪めた。

「結構。クリスティアーノとローズのことは別にして、彼らには無事に連合圏内にお帰り願おう。そのための協力を外務代表として承認する」

 マチルダは表情を切り結ぶと強く頷いた。


 帰路の車内でローズはシートに思い切り沈み込んだ。

「何だか本来の自分と虚像がかけ離れ過ぎて眩暈がしますよ」

 状況がローズに与えた付加価値は彼の器量を完全に上回っていた。厄介なことにこの価値は多くの人間にとって劇薬で安易に人手に渡すことはできない代物だった。果たしてクリスティアーノはこの劇薬の保存容器となりえるだろうか。

「私も同じようなものです」

「でもあなたは…」

 ローズは何かを口に仕掛けて思い直した。その言葉がルビエールの慰めになるものではないと気づいたのだ。彼女もまた地位と権力と自身の能力に乖離を感じているのだろう。それは生まれたときから付きまとう宿業、あるいはローズ以上にそれに踊らされてきたのかもしれない。

 結局のところ同じことだった。血によって与えられた地位と能力も望む望まざるに関わらず状況が付与した呪いだった。

「で、この先はどうなります?」

「ここからはWOZ次第です。我々はいつでも出立できるように備えておくくらいしかやることはありません」

 今日の交渉を以って状況は完全にルビエールたちの手を離れた。後はWOZ、そしてWOZと交渉するクリスティアーノたちによって決まる。

「やれやれ当分は考えてもしょうがないことを延々と考え続けるわけだ」

 ローズのボヤきにルビエールは僅かに笑った。


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