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4/2「第九惑星」

4/2「第九惑星」

 地球連合軍による火星侵攻が始まった。最初は本命であるドースタンへの侵攻を欺瞞する作戦からはじまる。リーズデンなど共同体と事を構えている戦区で区切りをつけた連合軍は各地で大規模な戦力の移動を開始した。防衛力の強化という名目ではあるものの、それを文面通りに受け取った者はいない。

 同じころ、火星においては共和軍と連邦軍の主要幕僚が集っていた。

 サンティアゴ・ボルトン・エレファンタ・カルタゴの共和軍4将に総統府直属の近衛兵団レナード・ガレオス将軍、連邦軍の主要将軍とほとんどの者が顔を揃えた。

「地球連合軍が大規模な作戦活動の兆候を見せてきた」

 火星における軍人の頂点である統合幕僚長官マテシッツの切り出しに出席者は背筋を伸ばした。

「現在、地球連合軍は支配宙域全体のおよそ3割にあたるエリアで戦力を再編・移動させており、この中には連合正規軍最新鋭の第6から第8の艦隊も含まれていると推測される。諸君らも知っての通り、連合軍は機動要塞ピレネーを失ったばかりだが、そのための戦力再編としては規模が大きすぎる」

 一呼吸を置いてマテシッツは誰もが予測し、明らかであった言葉を口にした。

「地球連合が我ら領内に侵攻をはじめることは明白である。連合軍の大規模攻勢はおよそ20年ぶりのことではあるが、諸君らもこの日を予見し、備えてきたはずだ」

 出席者の目が鋭さを増した。先のピレネーの件もあるが、それ以前から彼らは備えてきた。いまだ火星の独立を承認することなく叛徒と称する地球人から祖国を守ること。それが共和・連邦軍の存在意義である。

「総統府より既に地球連合の兆候に対して、対処するよう命令が出されている。つまり、我々はこれに先んじて攻勢を仕掛けるという選択肢も与えられているということだ」

 息を呑む気配が室内を巡った。火星側から攻勢をかけるというのは火星軍人の多くにとって想定されない選択肢だった。

 専守が火星軍人の基本的な方針である。かつての地球連合の大規模攻勢の多くを宇宙焦土作戦によって防いできたという事実と、敵拠点を制圧して策源地を増やしていくという経験を持たない彼らにとって攻勢作戦はあまりにリスクが大きいのだ。

 地球連合との国力差と自由独立を勝ち取るための防衛戦という名目も心理的に攻勢作戦を忌避させていた。

「敵がいまだ準備段階であるなら機先を制することで未然に防ぐことが可能でしょう。私は攻勢作戦、大いに結構と考える。先のピレネー損失を取り戻そうと敵方は無理をしてくるでしょう。敵の自由にさせてはいけない」

 ボルトンが口火を切った。ピレネー破壊作戦で大いに名を挙げたボルトンだったがそれは世間一般でのことで軍内部、特に上位将官のなかにはその功績を懐疑的にみている者もいた。それでもいまもっとも発言力の高い人間の一人であるのは間違いない。

「エレファンタ殿はどうか?」

 水を向けられたライザは心内で舌打ちをした。攻勢作戦の第一人者であるライザを山車にしようというのだ。

「やるんなら急いだほうがいいんじゃないか。敵は待ってくれない。うちはそんな準備はしてないが」

 ライザは否定も肯定もしない態度を選んだ。このことはボルトンだけでなく、守勢派のカルタゴにも失望感を与えた。

 理屈として考えると敵の狙いがはっきりしないうちは備える以上のことはできないのだから、敵に主導権を与えるくらいなら攻めるというのでありだとライザは思っている。つまりボルトンの方針とライザの方針は一致している。ただ、それが実行できるとは思っていない。既に動き出している連合と違ってこちらは準備不足だ。いまから動き出したところで間に合わないだろう。

 実際にはエレファンタ兵団単独なら早々に準備を整え、出撃することは可能だったがライザはそのことを表に出さなかった。ボルトンの御膳立てをする羽目になるからだ。

 ライザは横目でカルタゴを見た。ボルトンが上げた分だけ株を下げたカルタゴは苦々し気に黙している。いまカルタゴが口を開くとかえって攻勢派に攻める隙を与えてしまうことを理解しているのだ。

 これに代わって守勢派を負って立ったのは連邦軍の将軍であるクリーブランドだった。連邦軍は連合でいうところの自衛軍にあたる守備隊でカルタゴと同様に防御志向の強い将軍だった。

「攻勢に出たところで空振りになれば敵に無防備な横腹を見せることになります。そもそもこの兆候自体がこれまでの我々のドクトリンに対するカウンターである可能性もあります。いつまでも同じ手が通用するほど向こうもバカではないでしょう」

 こちらから仕掛ける時は言うまでもなく策源地が必要になる。これはこれまでの共和軍の必勝戦術である宇宙焦土作戦とは相反する動きだ。相手がその動きを誘っている可能性はある。

「その言葉を繰り返すなら、こちらがいつもの動きをすることも向こうは織り込み済みだろう」

「ですから、奴らはこちらに違うことをやらせようとしているのです」

 ボルトンの反撃にクリーブランドが応じてしまった。

 理屈の応酬にライザは肩をすくめた。両者の言っていることは間違っていない。なのでお互いに引かないだろう。こうなると議論が先に進まなくなる。この状況を突き崩すため、別の斥力を用い出されたら厄介だ。現状、ボルトンにはその手札がある。

「サンティアゴ、なにか言ったらどうだ?」

 ライザのこの一言は室内を沈黙させる劇的な効果を持った。水を向けられた男は酷く迷惑そうな顔を見せた。

 共和軍最強兵団と称されるサンティアゴ兵団の長、キース・サンティアゴは4将の中でも実戦での戦いぶりによってその地位を気づき上げた将軍で、語らず、行動によって自らの存在意義を証明していた。

「敵の思惑がわからんなら調べればいいだろう」

 ひどく当たり前のことを言わされることになったサンティアゴはそれだけ言うと再び沈黙する男に戻った。

 サンティアゴの指摘にボルトン・クリーブランドの二人もまた沈黙した。ここでサンティアゴと意見をぶつけてもしょうがないことを両者ともに弁えていた。

 代わって口を開いたのは近衛兵団のレナード・ガレオスだった。温和な中堅将軍の彼はその役割上、今回の件にはまず参加することがない。

「私もサンティアゴ将軍に1票。とりあえずは落ち着いて考えましょう」

「落ち着くとは?」

 ボルトンがガレオスに向き直った。声は冷静であったが彼は自分自身が平静を欠いていると指摘されたような気になっていた。

「急ぐ必要がないと言ってるんですよ。とりあえずは各主要拠点で守りを固めましょう。その上で偵察活動を旺盛に行い、様子を見る。いきなり全力で殴りかかる必要はありませんし、逆に必要以上に備えてもしょうがない。少なくとも、今は」

 ボルトンの視線をいなしながらガレオスはマテシッツに提案した。

「偵察部隊を出しましょう。こちらの動きを決めるより連中の動きを探る方が先決です」

「確定的な情報が得られるとは限らないでしょう」

 今度はクリーブランドが割って入ったがガレオスはにこやかに切り返した。

「別に全ての情報が明らかになる必要はありませんよ。どこにどの程度の戦力が移動しているかが少しでも見れればそれでよし」

 ガレオスは再度マテシッツに向き直るとマテシッツに決断を促した。しばらくの間をおいてマテシッツは頷き、議論の方向性をそちらに切った。

「では、誰がやるかだ。連邦軍各位には守りを固めてもらうとして、そうなればやはり共和軍となると思うが」

「そんなものは各自で勝手にやればいいのでは」

 持論を保留することになったボルトンの言い草にガレオスは苦笑しつつ残りの3将軍を見回した。この偵察役は戦力を分散させることになり、後の作戦への参加が難しくなる。完全な雑用だ。誰もやりたがらないだろう。

 サンティアゴ兵団にやらせるのはナンセンスだ。同じく、攻勢に強みを持つエレファンタ兵団もない。適性から言えばボルトンがもっとも向いているが目下調子に乗っている彼がこんな役割を引き受けるわけもないし、いまの火星世論から言ってもそのような使い方はできないだろう。となれば必然的に残るはカルタゴ兵団ということになる。

 つまり、ガレオスはバランスをとっているように見えて実際には守勢派を作戦の中心から排除しようとしているわけだ。総統府直属の近衛兵団を率いるこの男もマルスの手に近い軍人だった。

 ライザは軽くため息をつくと傍らに控えている男を一瞥した。大佐の階級章をつけた男は無表情に頷いた。

「わかった、うちがやろう」

 ライザが言ってのけた言葉に誰もが耳を疑った。誰よりガレオスがそれに驚いたような表情をした。

「君が志願するというならそれでかまわんが、これはあくまで触角を務めるということだ、理解はしているのだろうね」

 マテシッツは努めて諭すような口調だった。一応、この二人には師弟関係という背景があるのだが、それでもいくらなんでも無礼な発言だった。ライザは何とか苦笑いをするだけに留めて室内を見渡した。

「ボルトンの言う通り、基礎的な偵察活動は各自で好き勝手やればよろしい。我々エレファンタ兵団は敵の作戦意図を明確にすることを目標に勝手にやらせていただく。それでよろしいか?」

 ライザの真意を測りかねてか、室内は静まり返った。ここで発言を控えていたカルタゴが口を開いた。

「私はそれでよいと思います。補足させていただくなら。エレファンタ中将の言わんとしているのは、どこにどれだけの戦力が潜んでいるのかを計る偵察。つまり、虎の尾を踏みに行こうと言っているわけです」

 この言葉でライザの真意は粗方伝わったようであった。企図を挫かれたガレオスは苦笑しながら黙り込んだ。実にエレファンタらしい提案でこれを覆すのは無理と判断したのだ。


「助かりましたよ」

 会議を終えてさっさと部屋をでたライザは即座にカルタゴに声をかけられた。

「残ってる選択肢から一番好みなのを選んだだけだ」

 ライザの素っ気なさに苦笑しつつ、カルタゴは横に並んで歩きはじめた。

「やはり全体が浮ついていますね」

 周りを注視しながらカルタゴは声を潜めた。

 ボルトンの大活躍が軍全体の雰囲気を明らかに変えてしまった。それまで共和軍では日陰者であった攻勢派が調子に乗り、中立的な勢力も我も我もと功を逸っている。守勢派が追いやられるのは極自然な流れだった。

「本当に攻勢作戦にでると思いますか?」

 ライザは火のついてない煙草を口に咥えると不愉快そうに顔を歪めた。

「本気でやるならもう補給計画がスタートしてないと相手の動きに間に合わん。私かサンティアゴならともかく、他の連中じゃ攻勢にでたところでもたついて袋叩きにあうのが関の山だ」

 思った以上に辛辣な言葉にカルタゴは鼻白んだ。確かにボルトンはライザの作戦案を実行しただけのことに過ぎないが彼とて堅実な用兵家と評されてきた。そしてカルタゴとて遠征能力を持つ兵団を預かる身なのだ。

 しかし、この明け透けさがライザの特徴なのだ。

「先輩にそう言われると共和軍全体が素人みたいに思えてきますよ」

 カルタゴの反応にライザはさらに顔をしかめた。共和軍は専守戦力である連邦軍と違って遠征能力を持つ戦力だが、実際にその能力が示されたのは限られた局地戦でしかない。カルタゴの言っていることは半ば事実なのだ。ライザは共和軍全体が攻勢作戦の難しさを理解していないと見なしている。

 攻勢作戦とは総合的な行動力がもっとも重要であるとライザは考えている。兵は神速を尊ぶとは古来より言い尽くされた言葉だが、多くの人間はこの意味を純粋な移動の速度としてイメージしがちだが実際はもっとシンプルだ。意思決定からの伝達、それを実行するまで、それこそが神速なのだとライザは解釈している。それが補給や移動までの速度に直結する。つまりロジスティクスの迅速性こそが攻勢作戦能力の基幹となる。共和軍のなかでそれだけの行動力を持ち、大規模な攻勢作戦を実施できるだけのロジスティクス構築ができるのはサンティアゴとエレファンタの2兵団だけだろう。

 伝統的に宇宙焦土作戦を精神的な切り札としてきた共和連邦軍は特に補給作戦における経験値が壊滅的に不足している。共和軍ですら補給は拠点で受けるものという考えが基本にある。

 ピレネーの作戦はクリティカルヒットしたが、あれは奇術がうまくいっただけで攻勢作戦と呼べるような代物ではない。艦隊の半分は使い捨て、本隊は行って帰ってくるだけの作戦だ。

 カルタゴの言う通り、共和軍は浮足立っている。それが自分の立案した作戦からということを振り返ってライザは咥えていた煙草を噛みちぎりそうになった。全く、余計なことをしたものだ。

 まぁこうなってしまったものは仕方がない。ライザが虎の尾を踏む「打たれ役」を買って出たのはカルタゴを救うというよりは、自分の作戦が生み出してしまった状況を収拾したい気持ちの方が強かった。

 敵の戦力規模と目標がわかれば共和軍も少しは落ち着いた行動選択ができるはずだ。

「どういう結果がでたところでお前の出番はくるぞ。準備しておけ」

「嫌な役になりそうですねぇ」

 カルタゴはほろ苦く笑った。単に劣勢な戦区の増援くらいならいいが、実際には誰かの尻拭いになる可能性が高いだろう。

 ライザも申し訳なさそうに苦笑を返す。4将最若手の有望株が貧乏くじをひかされないよう、ハズレを排除せねばならない。


 国防府の大階段に見知った男を見かけるとライザはカルタゴに別れを告げて早足にその後を追った。

「おい、もう少しゆっくり歩け」

 ライザの言葉に足を止めた男は迷惑そうに顔を振り返らせた。実際には振り返る必要もなかった。火星共和軍最強の男キース・サンティアゴにそんな口をきける人間はライザ・エレファンタ以外にいない。

 キースと並ぶとライザも出口に向かって歩き出す。かたや2メートル近い巨漢の堂々たる将軍、かたや160㎝に満たない女将軍は親子のようですらあるが同世代のライバルだった。なにかと対照的で比較される両者だが実績の点においては常に拮抗していた。

「お前はどうするつもりだ」

 くだらない質問だと言わんばかりにキースは鼻を鳴らした。ライザを動とするならキースは静の人間だった。守勢・攻勢ということではなく、ライザは必要と判断すれば積極的に目標に対して独自解釈を行うが、キースは目標に対して忠実である。そのうえで目標を達成するがゆえに最強の男と称されている。

 そのことは、キース自身は如何なる場合でも恣意的な行動はとらないことを意味している。

 つまり、キース・サンティアゴはどうする気もない。わかりきったことのはずだ。

「この戦争は負けるぞ」

 キースの足が止まった。他の者であれば目を剥くような言葉ではあったがキースが足を止めたのは単に迎えの車が滑り込んできたというだけのことだった。

「なら、お前が変えてみせろ」

 剣もほろろに言い捨てるとキースは車に滑り込んだ。

 キース・サンティアゴは自身をパーツと見なしている。私意を持たず、政治が設定した目標をこなすだけの装置だ。それがキース・サンティアゴを定義する。

「私は軍人だ。政治家じゃない」

 ライザの言葉に応じることもなく、キースを運転手に出すよう指示した。一人、キースは口の端を釣り上げた。

 まったく、向かないことやっているものだ。

 ライザ・エレファンタは共和連邦にあって極めて変人だ。なんといってもキース=サンティアゴに一目置かれている。はっきりと言い切ってみせる。裏のない言動は将校としてみれば問題ありだろう。兵団を率いるまでの立場に上り詰めたことが奇跡と言っていいレベルで破天荒だ。

 だからこそとキースは考える。

 エレファンタは希少だ。全くもって人間的。バランスが取れていない。情緒不安定で極端だ。だからこそ、くだらない利権争いで浪費すべき人材ではない。それはライザに近しい者ほど共通する考えなのであろう。ライザの周りには常に誰かがいる。そういった誰かがライザを守り続けている。

 あの女には人を惹き付ける何かがある。キースにはそれが何かは解らなかったが、命を賭すだけの価値があるのだろう。維持の権化たるキースとは違う役割をあの女は果たすだろう。それがこの国にとって幸運なことかどうかは別として。


 ライザがキースを見送り、踵を返すとそこには既に別の車が迎えとして待機していた。黒塗りのSUVに黒のスーツにサングラス。完全にいる場所を間違えた出で立ちの男が手を振った後に世にもいい加減な敬礼をした。

「ジェイク・フート少佐。中将閣下と大佐をお迎えに参りました」

 どこのSPだお前は。と一々突っ込むのも面倒なのでライザは無視して車に滑り込んだ。

 車内には先ほどまで会議に同席していたロジャー・ハウ大佐とその御付きであるレイン・チェスキー少尉も既にいた。フートと合わせてライザ子飼いの特殊部隊「ブルー」の主要メンバーであった。

「早かったわね。あなたまでくるとは聞いてなかったけど」

「自分たちは兵団本部に用がありまして、折りよく中将と大佐がこちらにおられるとお聞き致したので参上した次第であります」

「話はハウからもう聞いたわね?」

 ライザの問いにフートは運転席で頷いた。

「ま、我々がまともに活躍できるとしたらそのタイミングしかないでしょう」

 ライザの子飼いであるブルー小隊はもっともライザの戦術思想を反映した存在である、その所見はほぼ一致するのが常だった。

「まず確認しておくべきことが3つある」

 それまで沈黙していたハウが口を開いた。この細身壮年の男はライザ自身の意思伝達手段として何度となく辣腕を振るってきた男だった。

「まずこの戦いにおける政府の目標はどうなっているのか」

 ボルトンとガレオスの動きから政府が戦わせたい相手を選んでいるのは明らかだった。ボルトンが総統府に近しい立場であるのは公然の事実だが、同様に総統府直下の近衛兵団を預かるガレオスもその影響下にある。

「政治は私の領分じゃない。まぁ特定の人間に華を持たせたいってことは、事態を収拾させる目処があると見てるのかもな」

 そんなものがあるのだろうか。純軍事的な手法ではまず無理だろうが、政治であれば可能かもしれない。しかし、これは随分と甘い見立てでもある。希望的観測とすら言えるだろう。

「恐らくハーマンが躍起になって動いているだろうが、あのジジイは総統府の主流派ではないからな。政府は身内と戦争をやっている可能性はある」

 それがライザの本音だった。ピレネー破壊の政府発表以降、総統府の意識は内側の意思統率に傾注しているように見える。それも戦端が開かれるのを防ぐ手立てあってのことかと思えば、この始末である。ここに至って地球連合と折り合いがつくとは思えない。

「調べておくべきだ。この戦争は政治に振り回される可能性がひどく高い」

 ライザは難しい顔をした。そういった活動は好みではないのだ。ただ、どうやって終わらせるつもりなのかは個人的な感情として知っておきたいと思った。

 ライザの葛藤を他所にハウは2つ目の確認事項を提示した。

「もう一つは共同体の動きだ。敵に回ることはないだろうが、味方に引き入れられても邪魔になる。ここに至って政府が妥協して共同体を引き込もうなどとはしないだろうな」

 ハウの辛辣な評にフートがくくっと笑いを溢した。ライザも苦笑を浮かべる。共同体はあてにならない。これは火星軍人にとって共通の認識だった。

 歴史的な背景から共同体と火星は幾度も同盟を模索してきた。地球連合の存在は共通の脅威であり、両者が手を結ぶことは誰もが考え付く、理想的な防衛構想である。しかし、そうはならなかったし、なったところで思惑通りにはならないとライザは見ていた。

 カナンの戦い以降の共同体は意思統率に致命的な欠陥を抱える烏合の衆と化してしまった。中央政府は度々結束を図ろうと腐心をしたが、影響領域の広さと諸勢力の思惑の一致を見ず、現在に至っても実現にはほど遠い。もちろん、その裏には月やWOZ、ジェンス社と言った諸勢力も暗躍していることだろう。

 そこが最大の難点だった。火星にとって敵とは専ら地球連合を差すが、共同体はそれよりもはるかに多くの敵を抱えているのだ。特にジェンス社とWOZは火星の支配領域にも影響力が及ぶ相手である。共同体と同盟を結んだ結果として得られる対地球に対するメリット以上のデメリットを抱え込むのではないか。知恵のある者はそれを危惧している。

 それにエレファンタ兵団の作戦行動においても不確定要素になりやすい。ならばいっそ動かないでもらったほうが計算はしやすいだろう。

「いっそこっちで楔を打っておくのも手ですな」

 フートの提案にライザは腕を組んで唸った。共同体と火星の間に事故なりを起こして意図的に緊張関係を作ろうと言うのだ。加減が難しいところだが、政治に対する牽制としても機能する手だろう。もちろん、これは軍人として真っ当な策とは言えない。しかし、その手すら目的に応じては選択するのがライザ・エレファンタの特徴であり、そしてそれが特殊部隊「ブルー」の任務である。

「無関係な人命を巻き込むのは気が進みません」

 それまで黙っていたレイン・チェスキーが口を開いた。このうら若い女性士官はブルーの中でもトップレベルのHVパイロットであると同時に一般論を提示する役を担っている。この少女をライザは殊の外気に入っている。自分とは真逆の考え方を持ちながら自分に付き従い、言いたいことを言ってのける希少種であるからだ。

 ライザはバックミラー越しに不敵な笑みを見せた。

「なに、方法はいくらでもあるさ。一つ目はケイロスに、二つ目はしばらく保留だな。三つ目はなんだ?」

 ハウの声はさらに低くなった。

「月は出てくるのか?」



 グラハム・D・マッキンリーの歴史講義「月統合国」

 第9惑星。月。

 いまの我々の感性で言えば何ということのない響きだが、宇宙開拓歴前期以前の人間にとってはそんな言葉がでてくるとは信じられないだろうな。もちろん、学術的に言えば惑星ではない半人口天体なんだが、そんなことはどうでもよろしい。

 宇宙開拓歴の前期に生まれたこの国は地球連合の盟友と望まれ、主に経済的な面でよきパートナーと言えた。ただし、安全保障においては微妙な関係だった。

 地球周回から離れたことで地球連合から見れば軍事的な脅威は軽減されたものの単一勢力として自立した月は必然的に共同体やWOZなど宇宙の諸勢力と相対することになり、それなりの戦力を保有する必要性に迫られた。WOZはともかく共同体の支配領域は広大であり、月は経済力に比して人口規模は地球・火星・共同体の3者から見れば大きく離されている現実があった。

 つまり、わざわざ火星共和・地球連合との争いに直接的に介入する余裕はなかったということだ。月は地球と火星の争いは内戦であるとして干渉しない姿勢をとった。地球連合の言い分を利用した上手い言い訳だ。

 もちろん、これは地球連合にとっては折り込み済みのことだ。

 月と地球との間には軍事同盟があったがこれはあくまで集団的自衛権に限定されたものとなっている。つまり月が地球連合に軍事的な支援を行うのは地球連合が領域を脅かされたときで、その逆も同じだった。そもそも星間大戦の起こりは地球連合の火星領有権の確保にある。月が介入することでその影響力を火星圏に有するような事態を地球は避けたかった。火星以外の勢力と月が睨み合ってくれればそれでよかったということだな。

 しかし、これはあくまで地球が火星を攻める立場であればこそだ。

 UF309年、火星によるピレネー破壊は月統合国に同盟の価値を議論させることになる。集団的自衛権の対象であることは間違いがないからだ。おかしな話だが基本的に月と地球の同盟は敵に攻められることを想定していなかった。いや、見ないふりをしていたと言うべきかもな。

 幸いにして月・地球双方にとってこの時点で軍事介入は望まざる選択だったのでその時点で要請はなかったが、それがこの先も続くという保障はない。月もまた身の振り方を考えることになり、その判断が共同体とWOZにも波及することになる。そう、それが人類史上最大規模の戦乱につながったわけだ。



「こちらの言葉で言うところの星間紛争の第7次休戦期より15年。全勢力が首を揃えて満喫しているところの均衡状態。ちゃちな言い方をすれば平和と言う代物を我々統合国民が傍観するなか。他の人類、地球人と火星人の確執はなんの解決の兆しもなく横たわり続け、再び炸裂する機会を待っております」

 月統合国大統領ルイス・テレーズはおよそ国家元首が用いるに値しないであろう言葉を交えながら滔々としゃべり続けている。テレーズは謀略家であり、毒舌家であるが、それを巧みに隠蔽する術をもち合わせ、今の地位に上り詰めた女傑である。いまは統合国を動かす閣僚たちと軍の幹部らを合わせた国防委員会の席にあった。

「さて、いまその確執に再び火がついたようです。先のピレネーでの件を地球連合ではテロ行為と見做したため、我々は関せずの立場をとったことは皆さんもご承知の通り。しかし、この先もその立場でいるべきか、そもそもいられるのか。活発な議論を期待します。まずは軍事的観点からクラークソン長官、よろしくお願いします」

 テレーズに促されて白髪の統合作戦本部長官ガブリエル・クラークソンが席を立った。室内の照明が落とされ、地球火星間の人類生存圏を示す縮図が卓上に表示される。

「まず、ピレネーでの件に関しては先に報告書を上げたものを照覧していただくとして、我々が予測するこの先の軍事的な展望を説明させていただく。地球連合は旺盛な反撃意思を持っており、目下、大規模な戦力の移動を行っております。我々の観測ではその目標は破壊活動ではなく、制圧。つまり星間大戦において新たな展開を起こそうとしていることは間違いないでしょう」

 室内がざわつく、制圧となれば勢力図の変化は間違いなく、相手の防衛と奪取というリアクションは確実になる。かなり大規模な会戦となる。

「さらに、この戦いが局地的なもので済む可能性は極めて低いでしょう。戦力移動の仕方からみても連合が大規模な欺瞞作戦を展開するのは確実で、そのうちのいくつかが本格的な戦闘へと発展するのは過去の事例からみても間違いないでしょう」

「またか。懲りませんな地球人も」

 閣僚の一人が鼻を鳴らした。

 連合諸国の勝手気ままな戦線拡大は病気と言ってもよかった。戦争に利益を得ようとすると正規軍にだけ任せてはおけない。彼らは戦端に乗じて各々の戦いをはじめるのだ。それで勝ってくれるなら問題はなかろうが、そう上手くいくなら戦争はとうに終わっている。負けたとき、そのツケを諸国は自分で拭いてくれない。正規軍はそれを放置できない。結局のところ連合軍は戦力を割り振るしかなくなる。そうなれば制圧後のエリア支配を永続できるだけの戦力を用意できるかは微妙なところになる。そもそも制圧作戦が上手くいくかどうかも確定ではない。

 戦力を集中すればもっとまともな戦い方もできように。月の住民は嘲笑う。

 月はこの点で極めて効率的な組織だった。地球・火星・共同体。いずれも多数の国家級勢力の集合体だ。その中で月は単一国家という強みをもっている。他では併合の進んだWOZくらいか。

「連合の動きはいつも通り。と、なれば我々はこれまで通りの静観でもよろしいのでは」

 少なくない数の閣僚たちがこの意見に同調した。好きにやらせておけばいい。戦費の工面で結果として月も潤うのだ。

「果たして静観できるものでしょうか」

 クラークソンの反語に注目が集まった。寡黙なる軍人と見做されている彼がそのような言葉を発するのは初めてのことだった。

「今回の戦いはこれまでの地球と火星の争いとは趣が異なります。というのも火星の政権与党マルスの手にとって初めての戦いであるためです。そもそもピレネーの件もマルスの手の政治事情によるところが大きいとの指摘は報告書にある通りです」

「火星が攻勢をかけてくる、とでも?」

「無謀すぎる。火星には勝ち筋がないだろう」

 閣僚たちの言葉は半ば抗議に近かった。そんなことが起こっては困るという心情がそう言わせている。

「軍人としての部を越えた発言になりますが」

 クラークソンはそう前置きをして室内を見渡した。

「ようは火星で起こったことを地球でも起こせばいいのです」

 不穏な沈黙がおりた。権謀術数でのし上がってきた月統合国閣僚たちはクラークソンの言葉から豊かな想像力を働かせている。

「地球の体制転覆か。なるほどな。地球の体制も硬直して久しい。内部爆発させるだけのエネルギーは貯えられているかもな」

 一人が得心したように呟いた。

「しかし、火星だけでそこまで上手くいきますかね」

「火星だけとは限らんだろう。その手法であれば共同体との連携は取りやすいかもしれん、ようは連合政権と諸国との間に溝を作ればいい話だからな。直接的に武力衝突を避けつつも連合を疲弊させればいいわけだ。つまるところ…」

 そこで不自然に言葉は途切れた。口に出すには憚れる内容だった。

 沈黙が黒い煙となって室内を満たした。この沈黙そのものが月の住民たちに言葉の続きを伝える役割を果たし、委縮させた。

「とりあえずは現実の問題を直視しましょう。逆に我々が積極的に連合側に組する選択も当然ながらありえるわけです」

 一人の賢明な女がその選択を棚上げにすることで話を進めた。これは何人かを安堵させ、その思考を切り替えさせた。数々の策謀に身をやつしてきた彼らでも考えたくないことはあるものだ。逆に思い出すべきこともあった。キャスティングボートを握るのは自分たちであるということだ。流れに沿うのでなく、こちらから作り出すことも可能だった。

「まずは緒戦。それで大きく動きが決まるでしょう。連合が勝つなら、これまでとさほど大きく変化はしない。逆に負けるようであれば、その時になって初めて諸勢力の動きが見えてくるでしょう。いずれにしても我々はそれを注視していればいい」

 大将の階級をつける若い女性将校リン・フーシェンが言い募るのをテレーズは黙って静観していた。クラークソンの切り出しからのフーシェンとの連携で軍人組たちは結論を出させないように立ち回っている。不必要に選択肢を拡げ、想像力を喚起させる。いまや閣僚たちの思考は立ち竦んでしまっている。

 月において統合軍人の立場は極めて脆い。元々地球連合の自治都市としての体裁を持っていた月は独自の軍備を備えていなかった。必然、独立の際に立ち上がった統合軍は歴史がなく、政権の強い影響力の中で育まれることになる。さらに統合軍はこれまで大規模な戦争を経験したことがない。そのような中では実績の上げようはずもなく、軍閥など生まれようのない組織だった。一方でこの組織は厳格なる規則に縛られることで不可侵でもあった。ようするに利権の範疇外にあったのだ。

 変化が起こったのは近年のことだった。当時の国防委員長だったルイス・テレーズはこの力を持たぬ暴力組織を自らの手足とするべく一人の女を抜擢した。リン・フーシェンだ。フーシェンは実によく働き、クラークソンという重鎮を味方につけることに成功し、統合軍という意識を持たぬ組織を短期間に自立した組織へと変貌させた。このことはこれまで日陰者とされてきた統合国の軍需産業にも刺激を与えた。それがルイス・テレーズを大統領の座に押し上げる原動力になったのである。

 結果としてルイス・テレーズ政権において軍部は極めて重要な存在となる。現時点では両者の関係は良好と言える。だがその信頼は軍部と政権ではなくテレーズとフーシェン・クラークソン間の個人的な信頼によって成り立っていた。つまり現在の軍部と政権の連携は彼らの後任に引き継がれるとは限らない。フーシェンとクラークソンはテレーズにとって大きな武器である一方で危険因子でもあるのだ。

 やがて政権と軍部は対立する時がくるかもしれない。その時のためにどう備えるか、それがテレーズの来歴に付属する業だった。


「上手くいったというべきかな」

「とりあえずは。ですが大統領閣下が痺れを切らすのはそれほど先の話ではないかと」

 クラークソンとフーシェンは会議を終えるなり足早に部屋に後にした。両者ともに本来は政治的な立ち回りを好んでおらず、率直に言えばこのような場所からはさっさと去りたかった。二人の興味はもっぱら国防にあってテレーズの思惑など範疇の外にある。とはいえ、自らの為そうとするもののためにテレーズを利用する以上、常に付いて回るものだった。

「首尾よくいきました?」

 ロビーのカウチで足を組んでいた男が煙草を片手にフーシェンに声をかけてきた。同じやり取りを二度しなければならないことにフーシェンは顔を顰めた。

「時間稼ぎにはなったさ」

「それはなにより。二つほど報告が上がってきてます。聞きます?」

 煙草を揉み消すとその男はカウチを示した。顔を見合わせた二人だったがクラークソンはかぶりをふった。

「私の領分ではなさそうだ。任せるよ」

「承知しました」

 クラークソンがその場を後にするのを見送るとフーシェンは不機嫌そうに座った。

「いい話とわるい話、どっちからにします?」

 使い古された言い回しにフーシェンはうんざりとした表情を拵えてさっさと言えと男を睨みつけた。

 男はマツイ・エドワードといって冴えない中年の容姿に飄々とした空気感を身にまとっていた。これで軍人としてはそれなりの地位にある。

「じゃ、悪い話から。クサカは我々と交渉する気はなさそうです。彼らにとってはHV分野での発展そのものより連合内の軍需産業トップを獲ることの方が重要そうだ」

 ふん、とフーシェンは鼻を鳴らした。

「いい方の話は、クサカの思惑通りには事が運ばなさそうだという話。モーリスゼネラル優勢で話は運びそうです」

「付け入る隙はあるということか。クサカがプランBを選ぶかどうか。時期的には微妙なところだが」

 マツイは薄い笑みを浮かべて頷いた。

 現在、クサカ社は連合内での軍需産業トップの座をモーリスゼネラルと争っている真っ最中だ。彼らにとっては連合内での争いこそ重要命題で今現在は月との商売に割く余裕はない。しかしモーリスが優勢となると話は別だ。クサカが本来なら割り当てるはずだったコストを月で買い取るという道筋も出てくる。クサカとしてはその素振りを見せるだけでも連合軍部との駆け引きになる。

 組織としての強固さを手に入れた統合軍にとって目下の悩みは自国の軍需産業の弱さだった。大半の装備品は地球からの輸入に頼っている。これはほとんど言い値での交渉にならざるをえなかったし、戦力の首根っこを他国に握られていることも意味している。

 統合軍ではクサカの野望はその状況を変化させるチャンスと見做されていた。

 もちろん、クサカも結局のところは連合企業だ。これはこまでより多少有利な交渉を展開できるというくらいの話にしかならない。

 クサカの新型が手に入るかもしれないというのは都合のいい想定とフーシェンは考えている。そもそも本音を言えばクサカとはそこまで接近したくはないのだ。フーシェンが欲しているものはもっと別のものだった。

「で、大統領閣下はどっちに傾きますかね」

 唐突に話を変えたマツイの言葉にフーシェンは首を傾けた。

 心情的なところで言えばテレーズは月を連合の属国からより自立した立場にしたいと考えているはずだ。ただそれは連合の弱体化による相対的なものではなく、月がより強くなってこそのものだ。一方で連合を弱体化させないまでも苦境に立たせることで月の立場の強化を図る手立ても存在する。さすがに連合と袂を分かつことまで考えているとは思えない。連合にとって苦しい状況を静観する程度にしか考えていないだろう。

 問題はその匙加減だ。

「緒戦次第だな。そこから一気に状況が動く」

 らしくない答えだなとフーシェンは自嘲した。結局のところはじまってみないとわからないことだらけなのだ。政治的な要因はもちろんのこと、長い休戦期を挟んで戦争のやり方そのものが変化する可能性もあるため軍事的にも思いもよらないことが起こる可能性はある。実際、統合軍内でもここ数年で試されていない戦術はいくつも存在している。

 おそらく、ほとんどの勢力は同じことを考え、身動きをとれないでいるはずだ。見通しが開けた瞬間に一斉に動き出す。どちらに転んでも混乱することなく、目的を達した者が主導権を握るだろう。

「で、その緒戦の展望は」

 フーシェンの問いにマツイは眼光鋭くきっぱりと答えた。

「本命はドースタン」

「まさか」

「有り得べからざる、と断じるには早計でしょう。地球が直接的に侵攻可能で火星お得意の焦土作戦が除外される拠点となるとドースタン・レスティオ・バンガロー・ボルカ。これらは資源拠点として設備投資が大きく、火星も容易には捨てられない。仮に捨てられたとしても制圧した側には宙域資源という旨味が残る。もちろん、その分だけ守りも硬いし、取ったところで火星も取り戻そうとするでしょう」

「どっちがお前好みの展開だ?」

 連合の勝ちか、負けか。

「喜劇が好みなんですがね。僕はどうにも悲劇的な展開が待ってるんじゃないかって気がしてなりませんねぇ」

 よく言う。苦笑しながらもフーシェンにもマツイの言う悲劇とやらが鮮明に思い浮かべることができた。

 現実はこの二人の悲観的な予測の遥か外側で結実することになるのだが後に歴史に名を馳せることになる二人に、そして月統合国にとっては最大の契機となる。


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