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その60 またギルド

 首都のキーロフまで歩いて4日。

 その旅費が宿と食費でざっと30000H。

 食費のみで済むなら半分以下になるだろうが、知らない土地での野宿は危ない。

 乗り合い馬車なら上手くすれば1日半から2日で60000Hと食費。70000Hで足りるといいけど。

 早くイブ様に辿り着きたい。

 本心ではこの痴女の様な格好から普通の服に買い替えたいが、倹約の為に我慢。


 お金がない私からすれば、歩く方が得だと思う。

 だけれども、道が判らない私としては馬車の方が確実。

 迷子の心配が無い。

 この国の文字が読めない私には、看板も読めないし、地図もなにがなんだか判らない。

 馬車なら確実だ。





 と、いうことで、今必死にアイキャットを追いかけてる。

 お金の為なら仕方ない。




 触るのは嫌だけれども、経験している仕事は確実だ。


 朝、ギルドで、


「仕事をくれないか」

 と、言えば、


「アイキャット退治なんてどうかしら」

 私は絶句した。

 またあのミミズですか・・・


「退治なら5000H。捕獲なら20000H〜75000よ」


「75000!

 どうしてそんなに高いの!」

 生け捕りはそんなに儲かるのか!

 飼うの?

 触るのは嫌だけど、大人しくしていれば可愛いとも言えるアイキャット。

 眺めるには良いかもしれない。

 私は嫌だけどね。

 猫はやはりふわふわの方が良い。


「死体じゃだめなの?」


「あら、知らないの?

 夜の店では有名よ。

 飼いならして、餌をちゃんと与えて安全なアイキャットに裸で抱き付くと最高よ。

『アイキャット部屋』で5匹くらいはべらせたら、天国よ。

 あの動く毛が堪らないわ。

 2時間30000Hくらいかしら」





 考えるのを止めよう・・・・

 確か昨日はアイキャットは肉食害獣と聞いたけど。





 にちゃにちゃ・・・



 考えるな!




 ぐちょぐちょ・・・



 消えろ!

 頭から消えろ!



 にゅる〜ん、にゅる〜ん〜



 お願いだ、私を犯さないでくれ。

 心を犯さないでくれ!



 おかしくなりそうだ。

 あんなキモい物に裸で絡み合うなんて・・・

 その人達は変態に違いない!

 きっと、特殊な性癖の持ち主ね。



「先月行ったわ。最高だったわ」


 目の前に変態が居る!

 ヤメてくれ!

 想像させないでくれ!

 でも、既に頭の中はアホになった裸のギルド嬢とアイキャットがぐるぐる。



「やっぱり、マリーアイキャットよね!」

 ギルド嬢はギルドカードを操作して『マリーアイキャット』の姿を見せてくれる。

 毛が長くて、見た目はふわっふわの猫。でも、ミミズなんだろなあ・・・・



「いいわよねえ」

 全然!


「給料入ったら行きたいわ」

 死んでも無理!


「2時間で最低3回はいかないと損よね」

 うわあああああああ!




 その後、何度も仕事を求めたが、出て来る名前は、


 マリーアイキャット

 シロアイキャット

 チコアイキャット

 シマアイキャット



 アイキャットばかりじゃない!

 マリーアイキャットに関しては、


「生け捕り絶対!アタシが買うから!」


 と、吠えていた。




 アイキャット以外の仕事ください・・・





 ーーーーーーーーーー




 既に赤いコアは7つ。

 今日はちゃんと袋も用意した。

『退魔の剣』は有能だ。

 これさえ有れば、仕留めたアイキャットは砂になり、さらりとしたコアだけ手に入る。

 昨日の解体の苦労はなくなった。



 7つなら報酬は35000H。

 今日の宿代が7000H。

 もう少し稼ぎが欲しい。



 そんな時だった。


 目の前にマリーアイキャットが現れたのだ。

 しかも2匹も。

 マリーアイキャットは他のアイキャットに比べて少し小さい。


 睨んで来るマリーアイキャット。




 悩んだあげく、私は『退魔の剣』を鞘に戻し、ロープを持ち、構えた。





 ーーーーーーーーーー




「へえ〜マリーアイキャットが捕れたんだ」


 宿の次女が私の狩りの成果に興味を示した。



 かくして、旅費は手に入った。

 マリーアイキャットはギルド嬢が個人的に70000Hで買い取ってくれた。

 それが高いのか安いのかは判らない。

 でも、これで安心だ。

 この宿に泊まるのは今夜が最後。明日は馬車に乗る。



 好かれているのか嫌われているのかよく解らないアイキャット。

 この子、まさか『欲しい』とか言わないよね?

 この子まで変態だったらどうしよう?

 それともこの国の人にとってアイキャットは害獣だけれども、その・・・ある種の娯楽用品なんだろうか?



「マリーアイキャット欲しい?」

 試しに聞いてみる。



「別に要らない」

 ほっとした。

 きっとこれが『マトモ』なんだ。

 きっとそうだ。

 安全に拘束したとはいえ、両手に抱えるマリーアイキャットはキモかった。

 びっしり付くミミズがうにょうにょする感触。

 お金の為じゃなければ絶対触らない!







「あたし、犬派だから」





 は?

 考えるのは止そう。


 

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