表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/78

その27 骨休み

 町のギルド員の監視は続く。


 その間にアーサーは考えを巡らす。


 今三勇士隊は町のギルド員と憲兵隊の監視をしている。

 これは隠密活動だ。

 第1王子デイモン()とも連携し、デイモンには親衛隊長の監視もして貰っている。

 デイモンとは秘密裏に何度か会った。


 監視をしてもらってるが、ここの所の色々な動きを知ってるであろう親衛隊長はしっぽを出さない。

 王家に対し不穏な行動をとる親衛隊長。

 彼の意思なのか背後の何者かの差し金なのかはまだ解らない。


 解らないのは何故イブの恋人ジンを殺そうとしたかだ。


 ジンが殺されかけた事を報告して来たのはココ・1023という女だ。

 あの日隊長室で、親衛隊長に『ダロスが報告して来た』と嘘を言ったら動揺していた。

 ダロスはココを守って死んだ隊員だ。

 あの時イブが『しらないふりをしている』と言った。

 『ダロスいきてるはずないとおもった』とも。

 イブの観測力は凄い。恐らくはイブの言う通り。

 既に死んでいる筈の者の名前を聞いて驚いたんだろう。

 何がなんだか解らず混乱した筈だ。ダロスが生きていたのか、別の者を殺したのか、既にその前に接触を住ませていたのかと混乱しただろう。


 親衛隊長はそもそも事件を知らない振りしていた。私を欺こうとした。

 本来なら私に報告する決まりだ。

 知られないうちにジンを仕留め直そうとしたんだろう。



 憲兵隊とギルドの接触は厳しく規制している。

 何らかの方法でギルドが憲兵を買収する事は可能だろうが、何人も同時には動かせない筈。

 ダロスとココは数名の襲撃を受けた、それも早々に。


 早々に情報を共有し判断し、襲撃するにはギルドだけでは無理、時間がかかる。

 だからといって憲兵隊から親衛隊長個人の判断を仰ぐのも時間がかかる。

 すると、同じ目的を共有する数人。つまり団体、あるいは家。それが全てを操っている。

 



『9』



 これだろう。

『9』の者が憲兵隊にも親衛隊にも憲兵隊にもギルドにも居る。各所に在駐しているのか。

 国で影響力を持つ親衛隊と法に縛られず町を支配するギルドの両方を支配すれば、王家よりも強い支配力を持つと言っても言い過ぎじゃない。


 第1王子デイモン()も同じ答えに至った。



 ジンを殺そうとしたのは?



 想像の域だが、ジンを殺し見せしめとして、イブの両親を人質にしてイブを支配下に置こうとした?

 イブの両親は今はデイモンに保護してもらっている。

 親衛隊長には任せられない。


 親衛隊長は両親を盾に、イブに何をさせようとした?


 王族の暗殺?


 エルザと(アーサー)の殺害?


 勇士の立場と信頼を落とす行為?





 いずれ突き止める。






 ーーーーーーーーーー





 アーサーとイブは町に行った。


 (エルザ)は行かずに農園に残っている。


 アーサーは同行する者にイブを選んだ。

 隠密行動には私でなくイブが最適。

 ここ(農園)にも1人戦力が居る。だから私が残された。


 解っているわ。

 これは子供染みた嫉妬。


 そもそも我々3人は結婚出来ない。

 色恋の感情を持つ事自体ナンセンス。

 嫉妬などお笑い。


 それに、イブには結ばれる事は許されてないが、ジンという恋人が居る。

 今更ながらジンが生きていて良かったと思う。

 でもそれはイブの為でなく、自分の為。

 アーサーの独占欲。

 イブにアーサーの方を向いて欲しく無いから。


 今私がするべき事はジンの護衛。

 イブの心を繋ぎ止める唯一のものを守る事。


 それがかつてアーサーの婚約者だった私のプライドを守る。





 何故ギルドはジンを狙った?


 解らない。


 だが、ギルドにとって敗北は受け入れがたい筈、きっとまたジンは狙われる。

 そして私達と私もギルドに恨まれている筈。


 奴らは来るだろうか?


 ギルドは手段を選ばない。

 そして数が多い。


 私達だけで守りきれるだろうか?





 早く帰って来てアーサー。







 ーーーーーーーーーーーー






 今日も暗闇の中、屋根に登る。




 今夜は町が『大人しい』


 この町の夜は静かだ。


 (イブ)とジンの故郷とは違う。

 私達の故郷はギルドが弱かった。

 住み易い町、夜だって程々歩ける。

 開いている店も多かった。


 この町では女は生き辛い。いつ誘拐されてもおかしく無い。

 いっそ、ギルドの傘下の『家』に入った方が安全か。


 ココの話では年々悪くなっているという。

 他の治安が良い町では生き辛い冒険者が益々この町に集まるんだろう。


 こんな物騒な町で強大な力を持つギルドと『9』とはどんな存在なんだろう。







 どんな奴だろうと、ジンを苦しめるなら許しはしない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ