表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/78

その1 選抜試験会場に行きました

「ジン、待った?」


 休憩中、中庭の芝の上で座って居ると後ろからイブの両手に包み込まれた。

 一応ここも職場。

 俺達は誰が見てもバカップルに違いない。


「い、イブ、誰かに見られるよ、恥ずかしいってば」


「いいのよ、見せとけば。ジンは私だけのものだって見せるのよ」


「俺にとってもイブは俺だけのものだよ。なんか恥ずかしい・・・その・・・胸があたってるってば」


「嬉しい?嬉しい?自慢の枕よ。男の子って好きでしょ。ジン専用よ。息子か娘が出来たらそっち優先だけどね!」



 この頃が一番幸せだった。








 俺はジン。


 城下町に住む普通の男、本当に普通。18歳。


 俺には彼女が居る。名前はイブ。

 平凡な俺には、イブは勿体ない美女。

 贔屓かもしれないけど、町一番の美人。

 金髪で引き込まれる様な美しい顔。引き締まった身体で胸は立派。(触った事無いけど)



 学園に入学したての頃、なにかの班分けでイブと一緒になり、友達になり、しばらくして俺の告白で付き合い出した。

 イブは何でも出来て負けず嫌いだけど凶暴ってことは無く、そのくせ甘えん坊で2人っきりになると、餌をねだる猫のように甘えてくる。 


 俺もイブも将来結婚する為に今は仕事を頑張っている。

 将来王都に二人で住む為の貯金を二人でしているところ。


 お互いの親にも報告をして、お許しを頂いた。


 イブの父さんは『節度有る交際を(SEXはするな)』と言っていたが、隣で『早く産んだ方が後で楽よ〜』と真反対な事をイブの母さんが言ってイブが真っ赤になっていた。

 一方、うちの親は『自分たちのすきにしな』って、放任だし。




 今、ジャージャー国軍東訓練場に同い年の皆と待機している。

 対魔人部隊の選考会(検査)の初日だ。

 我が国では学校を卒業した者は男女ともに三年間公務員をする制度。 俺は1年目で徴兵の真っ最中。来年は治水課に配属になりそう。

 他の18歳の男達もこの広場に集められていて、仕事時間なのに同窓会みたいな賑わい。


 18歳の女性まで同じ会場に集められ、向こうも同窓会化。しかしまあ軍の訓練場にメイド服の集団とはちょっと見れない光景。この国では卒業した女性は最初の一年は国の各機関でメイドをして、後の二年間を各課に配属になる。


 むこうのメイド集団の中に俺の彼女のイブが居る。イブは他のメイド仲間とおしゃべり中。


 俺は他の男がイブにちょっかい出さないかハラハラしていた。だってイブは美人だから。


 イブが俺ににっこりしながら小さく手を振る。かわいい。

 俺も小さく手を振る。

 途端に俺は周りの男共にぎゅうぎゅうに取り囲まれてしまった!


『あの子は誰だ!お前のなんなんだ!』

『あれ、イブだろ!なんでお前と!』

 地味男の俺、皆から質問攻め。


 見れば、イブも同じように女性陣に質問攻めにあっていた。


 やば!答えようかはぐらかそうか悩んでいたら、女性陣の方から

 『 わ あ っ ! 』

 と嬌声が上がり、女性陣が一斉にこっちを見た。


 イブ、言っちゃたんだ・・・・・

 イブが『ジン、ごめん』と、手で合図してきた。


 騒ぐ女性陣のおかげでこっちもバレた。

「いて、いた、やめやめ!」

 男共は祝いもせず妬みのチョップ、小パンチ、肘の嵐を俺にくれた。



「 整 列 ! 」



 大きな号令を発したのは議会長様。

 そして、右手を4本、左手を4本指を立てた。これは右手が男子4列縦隊、左手側の女子も4列縦隊の意味。騒いでいたのもさっきまで。みんな大急ぎで並ぶ。


 普段、号令をかける騎士団長は議長のやや後ろに控えていた。同じようにメイド長も。



「これより、対魔人部隊員の選考会を開始する。これより正午まで点呼番号男子1〜20は第一検査。21〜35は第2検査。女子点呼番号1〜23は第3検査。24〜45は検査手伝いとしてメイド長に従ってもらう。午後昼食後はまたここに集合する事」




 俺は30番だったので、第2検査室に。


 第2検査室と言っても、机と椅子がある普通の会議室。

 15人の男共がぞろぞろと会議室に入ると、見知らぬ果実とか野菜が積まれている。そしていくつものバケツ・・・

 そして俺たちは番号順に座らされた。



 部屋の壁際には見た事無い薄気味悪い青い果実に皆、なんだこりゃって言ったりしてる。


 リンゴくらいの大きさの青い実は、そこにあるだけなのに、青黒い汁をつらつら流してる。キモい。

 野菜の方は普通に緑色でキモくない。



 そしてその『なんだこりゃ』な気持ち悪い青い果実と野菜が皆に配られた。

 給仕は俺の彼女イブ。給仕姿もかわいい。


 イブが皆に皿を配る度に男共から熱い視線を送られる。

 果実よりイブをみんな見てる。


 こら、おまえら汚い目で見るな、イブが減る!青いの見ろ!

 イブもこの変態共にスマイル出さなくてもいいから!


 そして、イブの給仕の後から他のメイドが検査用紙を一枚づつ置いて行く。

 この娘も可愛い。

 そして、俺のふたつ隣の男の前に来た時に、そのメイドはヤロウの足をガン!と踏んだ。

 そして小声で「ほかの娘見てんじゃないわよ!」と脅してた。

 あ〜、帰ったら修羅場だなアイツ・・・


 そして三人目のメイドが俺たちの後ろにバケツを置いて行く・・・なぜ?


 検査担当の上司が説明を始める。

「この青い実は『ザザーンの実』という。新たに魔国から送られたものだ。これからこれを食べて貰う。皮はそのまま食べても構わない。中心に大きな種が有るが、それは歯では割れないと思うので食べなくてもよい。興味があったら割って中を食べても構わない。野菜は主に葉を食べて貰うが、茎も挑戦出来たら挑戦してくれ。食べたらこの検査表の記入をすること。なるべく細かく書いて欲しい」




 「では、始め!」



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ