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第1話 異世界へ

空はもう少し雲があってもいいと思うほど快晴で、これでもかと外は暑く、汗ばんだ身体に心地よいカラッとした風が流れる。


そんな風に誘われたのか、学校の屋上に1人の男の子が立っていた。


「暑くなったな」


そう呟くのは霧島零太。都内の学校に通う高校2年生。零太は外の暑さに、ネクタイを緩めて一息つくと


「コウタのやつ......次は勝つ」


 コウタとは入谷浩太。彼の幼馴染で奇術部のライバルであり、仲間でもある。

零太は2年前に父親が行方不明になった。父親は、「カードの奇術師」と呼ばれ、カードのディーラー、カードマジック、カードに関するあらゆるものを極めた男。その父親にカードのノウハウを幼い頃から教わっていた零太は、学校や業界ではカードマスターと呼ばれていた。

コウタは零太と共に父から奇術を学び、高校生の今まで共に高めてきた。


「もう2年か......父さん、どこに行ったんだよ」


そう言って懐から出したのは1つのトランプケース。普通のトランプより少し厚みがあり、背面が古代文字のような少しミステリアスであまり見慣れないものだ。


「父さんはなんでこれを俺に」


2年前、失踪する直前に父親から譲り受けたものだ。


「中身は普通のトランプなんだけどな。この背面の文字みたいなのはなんだろ?英語でもない、見たことのない文字だ。それに、それぞれの1のカードにも絵柄があるトランプは初めて見る」


カードを一通り見る零太。


「そういえばジョーカーだけないなこのトランプ。あれ?」


もう一度背面を見た時だった。1番上にあったスペードの1のカードだ。


「あなた......みち......び......く?あれ?なんで読めるんだ」


何故かそう読めた。そう書いてある気がした。

見たことないの文字を何故か読めてしまった零太は驚きを隠せないでいた。


ーーようやく繋がったーー


どこからか声が聞こえた気がした。


「誰かいるのか?」


急に聞こえた声に少し恐怖を覚える零太。


ーーあなたを導きますーー


「何を言っ」


そう言いかけた時にはすでに、光に包まれていた。


「なんだ!どうなってるんだ!」


ーーあなたはカードに選ばれたーー


「さっきから誰なんだ!元に戻せ!」


困惑が隠せない零太を他所に、事態は進行する。


ーー探して、全てのカードをーー


「カードってこのトランプか?それならここに......あれ?」


カードケースを確認すると、そこには1枚ずつ消えていくトランプがあった。


「どうなってるんだ!カードが消えていく!」


驚く零太に、声は語り続ける。


ーーすべてのカードを探して。そうすればあなたの()()()に会えるーー


「父さんに?いったいどういうこと?」


わからないことだらけの零太。


ーーお願い。全てのカードをーー


その声を最後に、少しずつ光が消えていく。


「ここは......どこだ?」


さっきまで学校の屋上にいたはずだった。光に包まれたどり着いたのは


「なんで森の中にいるんだ......俺」

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