1/16
序章
私立聖順高校には、校内一の熱血委員長、と噂される女子生徒がいた。
春に入学してきてから委員長に任命され、それからずっとクラスの向上に努めてきた。
初めての学校行事、遠足ではバスに酔った生徒を介抱し、迷子になった者を探し出し、そして帰りのバスでは人気の歌姫メドレーを熱唱。一躍クラスの人気者に。
梅雨の時期には、遅刻魔で早退魔で、頭は金髪の長髪、目つきも悪い、態度もデカイという、見るからに不良の男子生徒を更正させた。彼は遅刻、早退の数が減り、掃除当番もサボらずやるようになった。
夏の体育祭ではクラスを仕切り、応援団員も務め、そしてリレーでは4人をごぼう抜きするという大活躍をし、見事3組連合(1年から3年の3組で組織されている)を優勝へ導いた。
秋の芸術祭では、またまたクラスを仕切り、全員で『アヴェ・マリア』を合唱。見事優勝した。また、同時期に行われた生徒会役員選挙において、見事書記に当選。
これからこの委員長、『望月晶』の名前はますます全校に知れ渡るはずであった。
しかし、晶の名は変なところで注目を浴びる事となる──。