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てんてけてん~とある天使の典型的な顛末~

作者: KC
掲載日:2015/03/24

やらかした


人間の言葉で言うならこの言葉が一番しっくりくる


『やらかした』


口にだせば、すとんと腑に落ちた


そうかそうか、人間はこんなときに使うのか


一つ賢くなった


「おいこら」


しかし、この私が。神より生まれし完璧たる私が。


「おーい」


いや、ありえない。しかし、ありえたからこその結果がここにあるというのに。


「聞けやこら」


スパンといい音がしたと思うと、私の頭が大きく揺れる。


『なにをする』


「何をするじゃねーよ。やらかしたってどういうことか説明しろってんだよ」


私の頭を押さえつけながら、目の前の女が尋ねる。


経過は単純だ。この女が元いた場所に穴があった。それに落ちた、それだけ。


そう、それだけで済めばいいのに。


『あなたがおちたあなは、わたしがあけた』






ここは、人間界でいう天国というところだ。そして私はそこで神によって生み出された神聖なるモノ、天使。


完璧なる神によって生み出された私達は‐その力を分け与えられた私達は‐完璧なる一つのモノとして生まれる。


生まれる、はずだった。


ある日私はミスをした。それはあってはならないことで、それによって一つの魂が失われた。


そして、私の価値も失われた。






「つまり、あんたが穴を閉め忘れて。それに引っかかった間抜けが私ってか」


『そう』


「で、ここは天国…。つか、今お前をつかんでる手が薄く見えるのはもしかして…」


『このたびは、ごめいふくをおいのりいたします』


嗚咽を漏らしながら頭を再度揺さぶられる。さっきより強く。涙などでない体だというのに。


「やっぱり死んでんじゃねーかあぁぁぁぁぁぁ!」


こういうとき、人間はどうするのだったか。ああ、確かこういう風に言うのだったか。


『しょうじきすまんかった』


「!!!!!!!!!!!」


もはや声になどなっていなかった。


…ん?間違ったかな?






やっと落ち着いてきたのだろうか、私の頭を掴んでいた手を離し、今は項垂れている。


まだ本題にも入っていないというのに、人間とは起伏の激しいモノである。


「なにじっとこっちを見てんだよ」


『いえ、にんげんをみたのがはじめてなので』


「っち」


『あなたのこんごですが、かみよりはなしがあるとのことです』


「ああ?上司が出てきて部下のケツ拭きかよ。こんなやつの上司なんか当てになるかね」


『…かみのことをわるくいうと、てんばつがくだりますよ』


「上等、まとめて熨斗つけて送り返してやるわ」






その後、神との話し合いは長い間続いたが最終的にはこちらの提案に沿った形となった。つまりは異世界転生である。


様々なスキルや持ち物を与えられ、彼女は新天地にて生活することとなる。


そして、私も。






「なんだよ、そんな何もかも終わりみたいな顔して」


『てんしにぜつぼうなどといったかんじょうはありません。かんじょうはしこうをにぶらせるだけです』


「そんな泣きそうな顔で言ったって説得力無いぞ」


『わたしは、かんぺきなかみがつくった、かんぺきなるものです。かんぺきなてんしなんです』


「完璧なやつは失敗なんかしねーよ」


『…ううう、ぐす』


「泣くなよ!あーもう…悪かったよ。これからよろしくな。相棒」


泣く子には勝てない。そう思いながら彼女は近くの街を目指し、歩を進めていった。


その手に小さな手をしっかりと握ったまま。



-------------


「申し訳ないが、その子の成長のために君を利用させてもらうことにしたよ」


湖に移る光景を見ながら、神はそっと呟いた。


天使は自我を持たないまま生まれてくる。時とともにやがて自我が生まれ、個が生まれ、子と成り得る。


「廻り回る命の形、その変化を見るのは実に面白い」


神とはいつも退屈だ。永遠の生を持つ者にとっては退屈こそが長年の宿敵であり、そしてそれに打ち勝つことは他の何よりも優先されるべき物事であると、神は考えていた。


「さて、今度の天使はどのように育つだろうか。ああ楽しみだ、楽しみでたまらないね」


生み出した天使達の、わが子達の成長を見守りながら、神はそのグラスの中身を飲み乾した。

初投稿です。文章を書くって難しいですねぇ。

感想を書いてくれるなんて奇特な方がいたら嬉しいのですが、感想返しなどは期待しないでください。

お目汚し失礼しました。

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