はじめまして(?)
ユウは、Barのバーテンダーとしても、働いているらしく、カウンターで喋りながらも、次々とオーダーの入ったドリンクを作っていた。
「マサヤさんすみません。ゆっくり喋れなくて…。」そう、申し訳無さそうに、俺に話しかけて来た。
「いや。いいよ。俺のことは気にしないでさ。」と、カクテルを飲んでいると、
「わーっ♪イケメンはっけーん♪」そう言いながらマキさんが、何処からともなく、やって来た。
「はじめましてっ♪マキです。ヨロシクねー!」夕方来たのは、無かったことになってるんだなー。と、ふと気付いた。
たしかに、面倒な事になっても双方が困るだけだからか。
「あっ…。はじめまして。俺マサヤって、言います。」きまずさは、拭えないな。
「マサヤくんか。覚えたっ!」とニッコリ笑って、何事も無いように接している。
一種の役に入り込んでるのと、同じ感じなんだなー。と。少し関心していた。
「マサヤさんは、おれが昔お世話になったセンパイなんですよ。」ドリンクを作りながら、話しかけて来た。
「って、言いつつ 彼氏だったり、してー??」と、マキさんにからかわれて、ユウの方を見てみると
「マキさん…おれが男の知り合い連れてくると毎っ回そーいいますよね。」声のトーンがワントーン下がった。
「きゃー!!ユウくんこわーい♪」とニコニコしながら、しゃべっている。
「はいはい。その辺にしとき。 お客さん引いちゃう人おるから!」ユキコさんが、ピシャリと怒った。
「マキ、ユウが今ドリンク作るん大変なん、見たら分かるやろ。全種類のドリンク作れんの、オーナーとユウしかおらんねんからな。こーしてる間にも、提供止まってんねん。」
静かに怒っていて、この人がキッチリこの場を締めてるんだ。と嫌でも分かった。
「ユウ、アンタも毎回、茶化されて怒ったらアカンやろ。」とユウにも注意をした。
「すいません。おれ裏入って、頭冷してきますわ。」そう言って、バックヤードに入って行った。
「みんな、空気重くして、ごめんな。キャストから、皆さんに1杯づつドリンク サービスして、ええよね??
オーナー?」そう振り向くと、カズヒコさんが立って居た。
「そうだね、いいよ。お店からのサービスですから、皆さんどうぞ1杯づつご提供させて下さい。」
そう言うと、残りのカズヒコさん キングさん マキさん ユキコさんで お客さん全員のオーダーを取り始めた。
「おお。マサヤ来てくれたか。ドリンクどうするんだ?」とカズヒコさんが、俺のオーダーを取りに来た。
「じゃあ、モスコミュールで。」
「かしこまりました。モスコミュールですね。お持ち致します。」そう言って、カズヒコさんも、バックヤードに帰って行った。