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Bar pomegranate  作者: 裕澄
38/48

鴨精神

Nebe(ネーベル)の謎が解けたあの日から数日後の夜。


ある、3人のグループで来ていた、お客さんから

『鴨さんに、この手紙渡して、貰えますか??』と言われ、

鴨さんという人が、

誰なのか分からないけど、とりあえず預かっておくことにした。


宛先には、【鴨精神さんへ】と書いてあった。

明らかに、本名では無いことは確かで、

全く見当もつかない。


そのグループのお客さんは、それぞれドリンクを一杯注文して、帰っていった。


そのころ、

不足した食材を、急遽買い出しに出ていたユウがキッチンへ

戻ってきたので、俺は

「ユウ。これなんだけど…お客さんから『渡しといてほしい』って、言われたんだけど、誰だかしらないんだよ。」と、

【鴨精神さんへ】とかかれた手紙を見せた。

「あぁ…。鴨さんなら居ますよ。ファンレターなら、早く渡さないと!ですね。 呼んでみるとわかりますよ??」とニヤリと笑った。


なにも無ければいいんだけどな…

「ほらほら、渡しましょうよ。大きい声で呼んだら、きっと来てくれますよ。」と言われたので、とりあえず

「鴨さーん。鴨精神さん!! お届けものお預かりしておりますので…」

『キャストまで、お声かけ下さい。』と言い終わる前に

マキさんが急に俺の前に現れた。

「マサヤくっ~ん。それ、ワタシの知り合いのだから~」と手紙を俺の手から取ろうとるすと…


「どうしたんですか?そんなに慌てて。

人気コスプレイヤーの鴨さん??」と、ユウに手紙を奪われてしまった。


「新規のお客さんを、定着させるいいチャンスなんですから、御協力お願い申し上げます。鴨精神さん?」と、ユウが続けると

呆れた様なマキが

「なんでマサヤくんにバラすのっ!…先輩としての威厳がなくなるじゃんっ!」と、少し残念そうな顔をしている。


「へーっ。鴨ちゃんさぁ。

威厳出そうとしてたんだ。ぜっんぜん、出せてないけど。」

と、見覚えのある人がグラスを傾けていた。


「アカネさん。イベントの時はありがとうございました。あの写真、好評でしたよ。」とユウが言ったのを聞いて思い出した。


この人はアカネさん。イベント用グッズの写真を撮ってくれた人だ。


「あの時は、ありがとうございました。」と俺がアカネさんに、言うと


「いやいや。撮るのは趣味半分、仕事半分だから。

やっぱりさぁ。コスプレイヤー撮るのも楽しいけど、

マサヤくんみたいな、俳優さんとかも撮ってて楽しそうだよねー。」とアカネさんが俺の顔をまじまじと見始めた。


「真面目そうだけど、役によっては違う表情とか、撮れそうだし。ねぇー。鴨ちゃーん。オーナーさ今日いないの??」とアカネさんは、飲み終わったカクテル・グラスを指差すと、

「おんなじのもう一杯ちょうだい?」とオーダーをした。

「ギムレットですね?? かしこまりました。

アルコール度数高いんで、あんまり飲み過ぎないでくださいね?」とアカネさんにさらりと、言える辺り慣れなのか、サービスなのか分からないが、ユウの発言には

凄いと純粋に思ってしまう。

「じゃあ、俺作ってくるから。 マキさんも機嫌…なおしてくださいね?」と言うと俺は、キッチンへ戻っていった。


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