Bar pomegranateの日常
イベント以降はこれといって
特別な事があるわけではなく、
いつも通り、
カズヒコさんは、「打ち合わせがあるから。」 と言ってトシユキさんに任せっきりだし
ユキコさんは、相変わらず あまり店には来ないし
マキさんとユウも相変わらず、トシユキさんに怒られてる。
そんな毎日が、
ここ Bar pomegranateの日常。
最初は、色んな事にビックリしてたけど、こんな個性的なメンバーと過ごしていると、すっかり馴れてしまった。
でも、1つ
いつもと違うところがある。
「ねぇ~♪キング~。珍しくない?? ユウが3日も続けて休むなんて。」と、マキさんが馴れないキッチン周りの作業を、抜け出してフロアへやって来た。
「あぁ。『おれ、働き過ぎなので、
たまにはリフレッシュ休暇頂きます。』だそうだ。」と、ユウが居ないにも関わらず、キングさんは 皮肉たっぷりに答えた。
「それに、今日はオーナーも休みだし~。」と、マキさんが残念そうに言うと、
「トシもマキも、張り合う相手居らんから、暇やろ。 …アンタら、新人君見習ってちゃんと仕事せーよ。」と、
明らかに機嫌の悪い口調のマキさんが、空いたグラスを持ってカウンターまでやって来た。
そんなやり取りをしていると、入り口のドアが開いた。
「いらっしゃいませ。」と、俺がお客さんを見ると…
「はぁ…。皆さん、おれが居ないだけで、この体たらくですか…。」
と、
今日まで休みの予定だった、ユウが現れた。
「ユウ今日は休みじゃ無かったのか??」と、俺が聞くよりも先に
「ユウ~。おっかえりぃ~♪」と、洗い物を頼んだはずのマキさんがキッチンから飛び出してきた。
「…ここは、いい意味でも悪い意味でも、騒がしいですね…。特に、マキさんが。」
と、
ため息をついて、カウンターの椅子に座ったユウをキングさんは、逃さなかった。
「どうした??今日まで、"働き過ぎでリフレッシュ休暇貰った"んだろ??」と、
キングさんが皮肉たっぷりに、ユウに言った。
「…お陰様で。しっかり"リフレッシュ休暇"満喫させて頂きました。」と、ユウが返すと
Bar pomegranate名物となっている(らしい)
キングvsユウの開戦だ。
「休暇の最後に 素敵なお店で一杯飲んでから帰ろうか。と思ったら、この店を思い出して…ね。」と、続けると
「マサヤさん。チーズの盛り合わせと、キール お願いしてもいいですか??」と、なに食わぬ顔で俺に注文をした。
「そんな、素敵なお店を、放って3日も休みを取るなんて、どうなんだろうな??」と、口論をしていると
ガラガラ、ガッシャーン!!
とキッチンの方から大きな音がした。
「わぁぁ~!!」と、驚いたマキさんの声がすると、
「…はぁ。ついにやったか…。」
と、3人がため息をついているのを、
気になりながらも、
俺はキッチンへかけつけると、
キッチンに割れたコップが散乱している。
「…ごめん。手が滑って割っちゃった。」
と、しゅん。となったマキさんが立っていた。
「…相変わらず、マキさんは。しょーがないから、おれ片付けますよ。
皆さんは、仕事に戻ってください。」と、どこからともなくホウキとチリトリを持ってきたユウが、腕捲りをした。
「相変わらず…騒がしい位に、賑やかだな。」と、キングさんがポツリと呟いた。




