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Bar pomegranate  作者: 裕澄
32/48

キングVSユウ 3回戦

「マサヤ様は、キング(貴方)の物ではありませんし…。」ユウは、やれやれとため息をついた。


キング(貴方)は、マサヤ様の指導(教育)係ではありませんよね??

それに、この方の事はおれの方がよく知っていますよ?」とニヤリと笑った。


やっぱり。キングさんVSユウ この図式だ…

「だから、なんだって言うんだ? 悪意のある口振りのお前より、マサヤの方がよほど、"マトモな後輩"だよ。」

とキングさんが、嫌味を言うと


「お褒めにあずかり、光栄です。そんな口振りのキング(貴方)も"マトモな先輩"ではありませんね?」


と、いつもよりある意味白熱した、バトルが繰り広げられている。

口論(バトル)が続くなか

ユキコさんが、俺の方をみて手招きをしていたので、側にいくと小声で


「…正直言うわ。あの二人が(ショー)か、本気(ほんま)かは解らへんよ?」と、言うと

びっくりした、俺をよそに


自分の周りに居るお客さんに

「あの喧嘩しとる、阿呆(あほう)どもは気にせんと…楽しんでってな?」といつものユキコさんに、戻った。


うーん。

本気(マジ)だったら、大変な事になるな…。

とりあえず、俺は

自分の取ったオーダー品を作るために、キッチンへ戻った。

「オーナー。とりあえず…オーダー品作りますね…」と俺がいうと

「あぁ。そうした方がいいな。 それにしても…アイツらは、やり過ぎだなー。」と、オーダーメモをみながら

笑顔でカクテルを作り始めた。

一通り俺がオーダーを取った物は作り終えたけれど、

まだ、口論(バトル)は、続いているようだ。

はぁ…。と、俺がため息をつくと

オーナーが「量も多いから、俺も届けに行くぞ。」というと、ほぼカクテルはオーナーがトレーに乗せて運ぶ準備を始めた。

「マサヤは、キングとユウ(アイツら)に、これ(ミネラルウォーター)持ってってやってくれ。」と、

有無を言わさず、カクテルが乗せるはずだったトレーに、

ミネラルウォーターの入った、プラスチックコップを乗せると

フロアへスタスタと、出て行ってしまった…


オーナーが、カクテルを配りながら

お客さんと話はじめるのをみて、俺は少しだけ気合いを入れて、

フロアでバトル中の二人のもとへと急いだ。

二人の前に着くと

「お二人とも…これでも飲んで」と、言って目の前に着いた瞬間に、

キングさんとユウ(二人)の前で足を引っかけられ、

壮大にコップの中身(ミネラルウォーター)をぶちまけていた…


幸い、ガラスのコップでは無かったので怪我人は出なかった。


「ふたりに、水かけるなんて、やるね~マサヤくんっ♪」

セーラー服風衣装のニコニコしたマキさんが、やって来くると


「ほんまやな。新人君がこんなに度胸のある奴やって、知らんかったわ。」

呆然と立っていた俺の元にマキさんと、ユキコさんがやってきた。


「いやいや。仲間を止めようと必死に考えたんじゃないか?」

タオルを持って、オーナーがやって来た。

たぶん足を引っかけた犯人は、明らかにこの人(オーナー)だ。


「…だから、プラスチックコップだったんだ…。」と、ボソリと呟くと

オーナーは、

「何か言ったか??マサヤ??」と、なに食わぬ顔で、キングさんと、ユウにタオルを渡した。

「助かったよ…マサヤ。お陰で、頭も冷えた。」と髪の毛を拭いた。

「おれも助かりました。すいません、熱くなって。」

と髪の毛を拭きながらユウも俺に謝った。


俺はちらっと、犯人(オーナー)の方へ目をやると

ニコリと笑いながら、床にこぼした水を拭いている。

「…オーナー、いいですよ。…やりますよ。水ぶちまけたの俺ですから。」

こう言いう雰囲気を作るのは、本当に上手いな…オーナー(カズヒコさん)


「マサヤは、

1ヶ月でカクテル作りも、簡単なモノは任せられるレベルになった努力家だから、

みんなよろしくな。ほら、マサヤも挨拶しろ。」と、オーナーが俺の方を向いた。


「キッチンが、主になるとは思いますけど…よろしくお願いします。」と、俺がお辞儀すると、

「も~っ!!マサヤくんってマジメっ~♪」

と、脇腹辺りをくすぐられた。

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