イベント当日
ミーティングから1週間しか準備期間が無く
俺達は、準備に追われていた。
グッズとして売り出す写真の撮影 常連のお客さんへの案内メール 特別衣装手配や、細かい準備を通常営業の合間にこなして、皆さんが忙しい中
俺はと言うと撮影以外は、
『イベントまでに、簡単なカクテルはしっかり作れる様に練習しておいて、下さい。』とユウに言われただけで、あまり役立つことはしていなった。
しいていえば、マキさんの特別衣装候補の、ピンクのメイド服をユウと一緒に阻止した位だ。
「『いつもの格好以外なら何でも、いいです。』って言ったじゃんっ!」と若干マキさんが機嫌を損ねたり、ユキコさんが店に顔を出す機会が増えたりと、
相変わらず、Bar pomegranateは、騒がしいというか…賑やかと言うか…
何だか、学園祭の準備みたいな雰囲気だった1週間が終わり、遂に7周年のイベント当日がやってきた。
開店1時間前には、メンバー全員集まって、最終準備などを始めた。
そうこうしている間に最終ミーティングの時間になった。
「みんな、この1週間準備ご苦労様。」
とカズヒコさんが喋り始めると、全員
衣装は着て居ないにも関わらず、さっきまでの、にこやかな雰囲気とは変わって
仕事モードに切り替わった。
「毎年この日になると言ってるが、みんなが居なければ1年間 続けることは出来なかった。そして、今日から正式なキャストとして、加入するマサヤは、知ってるとは思うが… マジメで飲み込みも早いから、どんどん色んな事を任せてやってくれ。 今日は1日大変だとは思うが、よろしく頼む。」と喋り終わると
「今回は、いつもより企画提出が、遅くなりすみませんでした。 皆さんのご協力もあって、無事この日を向かえられたこと感謝します。今日1日よろしくお願いします。」と、ユウが会釈をした。
「オレからは…折角、グッズを作ったんだから赤字にならない様に”販売促進”してくれ。 これだけだな、今日はよろしく。」と、トシユキさんは、人差し指でメガネを持ち上げた。
「ウチからは、とくにないわ。いつも通りでええんちゃうの?」と、若干気だるそうにユキコさんが続け
「ワタシからは〜♪衣装をお楽しみにっ♪かな? で、マサヤくんからは?」と、おどけた挨拶をしたマキさんに話をふられた。
「俺から…ですか? 改めて…。今日からよろしくお願いします。 正直ミニイベントについて、聞いて無いんで少し怖い気がしますけど…。」というと、ユウがニコリと笑った。
全員が、衣装に着替え終わると
「もう時間だな。待ってるお客様のお出迎えだ、入り口に並ぶぞ。」と、オーナーの合図で、全員入り口へ向かった。
開店時間と共にドアが開いた…
「いらっしゃいませ。Bar pomegranateへ」




