行きましょうか"センパイ"
俺が着替え終わる頃には、トシユキさんもホスト風衣装に着替えていて、さながら本物のホストに見えた。
そして俺は、相も変わらず着なれないバーテン風衣装で下の階に降りていくと、
「キング。やっぱり、カズヒコさんは来ないとみた方がいいですね…。先ほど御本人から、おれに連絡あって【打ち合わせ終わって、気が向いたら来るよ。】との事でした。」とユウがタブレットをみながら、トシユキさんに報告した。
「まぁ。そうだろうな。皆もそのつもりだったろ??」と、キングさんがこちらに向かってニヤリと笑った。
「ですね。」と俺 マキさん ユウは、同じ返事をした。
「じゃあ、ミーティング始めるか。」というと、各自近くの椅子に腰を掛けてキングさんの方に向き直った。
「まぁ、知ってるし、分かってるとは思うが…今日から"新しい仲間"のマサヤが出勤だから、ふたりもマサヤの事をしっかりと、フォローするように。」と、キングさんが言うと
「は~い♪」 「了解です。」とマキさんとユウが返事をした。
「それと、ユウ。キッチン系の指導もよろしくな。後、お客様への挨拶の方法はお前に任せるよ。」と、指示を続けた。
「了解です。でも…お客様への挨拶は、キングが考えてもいいんじゃないですか?」と、ユウがニヤリと笑った。
「昔からの知り合いなんだから、お前に任せた方が適任だろ。…それに、店では、お前の方が"センパイ"だろ??」と、キングさんがニヤリと不適な笑みを浮かべた。
「…怖っ。」とユウがボソッと口に出していた。
「…何か言ったか?ユウ?」
「いや??なにも。ここで、口論しても、ギャラリーがマキさんだけじゃ、やりませんよ。ショーにすら、なりませんから。」と、いう応酬を見ていて、ハラハラしていたのは俺だけで、マキさんはいつものことかのように、笑顔で見ている。
「気にしない方が、いいよマサヤく~ん。仕事だといっつもこんな感じだから♪馴れれば何ともないよ♪」と、察したのかマキさんが俺に教えてくれた。
その他の細かな連絡などが終わると、「と…。言う訳だから今日も1日よろしくな。」と、キングさんが言って、ミーティングが終わった。
腕時計を見ると、18時25分を指していた。
「じゃあ、5分前なんで、表開けて、看板出しに行きましょうか"センパイ"。」




