続 開店準備
「…そういう所は変わらないんだな。ユウ。さてと、チェック再開するか。」と軽く背伸びをして、また作業に戻る事にした。
以外にドリンクの種類が多く、ふと自分の腕時計を見ると、あれから20分程格闘していたらしい。
チェックが一通り終わった俺は、チェックリストを持ってキッチンへ行こうとすると、トシユキさんがキッチンから出てきタイミングと重なった。
「一通りチェック終わりました。とりあえず、チェック漏れは無いと思いますけど…。」とチェックリストと伝票をトシユキさんに、渡すとペラペラーっと、チェックリストをめくり
「まぁ。これといって、不足品は無かったろ?それと、掃除と軽いミーティングだから、習うより慣れろって所だな。」と、言うとバックヤードに置いてあるファイルに閉まって、片付け始めた。
「後は、ユウが教えると思うけど、氷を作る位だな。慣れないと危ないから今日はやらせないけどな。」と、言ってトシユキさんはキッチンへ戻った
「えっ??氷作るのって製氷機とかでやるんじゃないんですか??」と俺が言うと、
「そう言う訳にはいかないんだよ。普通に家庭とかで作るの氷もそうなんだが、空気かどうしても入るだろ??それだと、案外不都合が多くてな。」と氷専用と書かれた冷凍庫を開けた。
「ここに入ってる板氷から、割ってドリンク用の氷だったり、カクテルに良く使う【クラッシュドアイス】だったり、【丸氷】とかをアイスピックで作るんだよ。これが、慣れないと危なくてな。」
と、側に置いてあった先端にレザーカバーが被さっている、アイスピックを手に取り、鉛筆を回す様にくるくると回した。
「っ…!ちょっと!危ないですよっ!」
と俺が避けると…
「あぁ、悪い悪い。でも少しは緊張、解れただろ?」と、ニヤリと笑った。
「あーっ!キングが、マサヤくん脅してる~♪」と、カウンターから、いつの間に出勤していたマキさんが顔を覗かせた。見た目は至ってOFFのマキさんだが、口調は完全にONだ。
「…っ!いきなりなんなんですか、マキさん…。みんなで、俺びっくりさせなくたっていいじゃないですかっ!?」
はぁ…。今日はびっくりさせられっぱなしだな。
「それにしても、珍しいな。マキが開店準備時間に、ちゃんと来るなんて。いつも通り、少し遅れて来るのかと思ってたからな。」と、わざとらしくチクリと釘を指していた。
「ほんっと、おれに対するそう言う所、トシユキさんって容赦ないなぁ。ちょっと、ユウに用事が有るってのも、あるんだけど…作業中じゃあ、無理でしょ??」とユウを指差すと、相も変わらずパソコンに向かって、企画書作成中だった。
「そうだな。」「そうですね。」と、トシユキさんと俺の答えはピッタリ一致した。




