箱の中身
「みんなおはよう。」そう言って2階から降りてきた人は、俺も知っている
ブルーセカンドの座長 カズヒコさんだった。
「えっ??なんで座長が…?」
俺が驚いていると
「おはようございます。『オーナー』。」とキングさんが、挨拶をした。続けてマキさんも
「オーナー。おはようございます♪」
ユウを見ると、呆れている。
「おはようございます。はぁ…。オーナー、おれの時と同じじゃないですか…。」ため息混じりに、カズヒコさんを見ている。
「『おれの時と同じ』って?どういうこと?」と、ユウの方を向いた。
「あぁ…。おれもここに入るとき、同じよーに、『荷物を届けに来い。』の指示に従って来たら、おれ以外のキャストとオーナーが居て、『今日からここで働け』って、問答無用で。」
「そうだ。そう言う事だから、マサヤ。演技の幅を広げるには、経験と観察だろ??それに、バイト探してるんだろ? 好都合じゃないか。」
そんな簡単な問題じゃ無いと思う。
「違うだろ、オーナー。センパイが、料理出来るし、接客も経験アリだから、自分の仕事を楽にしたいだけだろ?」はぁ…。とユウはため息をついた。
「バレてたか」とカズヒコさんは、ニコリと笑った。
「まぁ。強制じゃないけど、オレはマサヤ君は、向いてると思うよ。オレの勘ではね。」と、ポツリとキングさんが呟いていた。
「急には決められないと、思うから 今夜お客さんとして、来てみたらどう? ここの良さわかるわよ♪」
明らかにマキさんウキウキしてる。
「マキさん…。センパイの話で盛り上がってますけど…。おれ達にとっては、箱の中身も重要ですよ。」
と、ユウが助け船を出してくれた。
「ほら、この中身。おれのはピアスですね。」赤色の小さい石が付いたピアスが入っていた。
ユウが開けたのをみると、他のふたりも箱を開けはじめた。
「ワタシのはなんだろー? あっ。可愛いー♪イヤリングだ!」これも、赤色の小さい石がフラフラと、揺れる作りになっている。
「オレのは、クロスのネックレスですか。」これにも、中心の部分に赤色の小さい石が埋め込まれている。
「ちなみに、俺はラペルピンだ。
ちなみに、ユキコの分はアイツが来れば分かるさ。」そう言いながら、カズヒコさんは、オーナーへと書かれた箱を開け俺達に見せた。
「マサヤは、ここで働くって、なったら開けてくれ。それまでのお楽しみだ。」楽しんでないか?カズヒコさん…。
「まぁ、マサヤ君。色々有りすぎて、頭が追い付かないとは、思うけど、今夜来てみて決めてくれないかな。 そこできっとこの赤い石の意味も解けるから。」とキングさんが言った。