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Bar pomegranate  作者: 裕澄
17/48

…お疲れ様

俺は、指定された時間(17時30分)より30分早く(17時)に到着してしまった。

「…遅いよりかは、いいだろ。ユウも居ると思うって、言ってたしな。…いや。これでここのドア開いてなかったら、虚しすぎるぞ…」

と、店の目の前でブツブツ言っている俺は、明らかに不審者だ。

少しだけ、勇気を出して(Bar)のドアを、空けると…

「お疲れーっす。トシユキさんご所望の"アレ"持ってきましたよ。」と、テーブル席に背を向けて座っているユウが、パソコンに向かいながら分厚いバインダーを掲げた。

「…お疲れ様。」と俺がユウに話しかけると、

「あっ。トシユキさんじゃないのかー。お疲れ様です。マサヤさん。」と、パソコンを閉じて振り返った。

「改めて…また、よろしくお願いします。キッチン系の事は任されてるので、基本的には、指導役させて貰います。」と、ニコリと笑うと、本や資料の様な物が散乱している、テーブルの上をそそくさと片付けはじめ

「…なーていう、堅苦しい挨拶はこれまでにして、トシユキさんが来るまで、一緒に待ちませんか??」

と、俺にテーブル席へ座るように誘導をした。

「良いのか??なにか、作業して(やって)たなら続けてくれて構わないど?」と、さっきまで、散乱していたであろう荷物が入った大きなリュックを、俺は指さした。

「別に大丈夫ですよ。"趣味みたいなモノ"なので。」

と、背伸びをすると

「あぁー疲れた。…それに今、行き詰まってた所なんで、ちょうど良いタイミングです。」

と、テーブルの上にあるウーロン茶を飲み干すと、

「ついでに、なにか飲みますか?」と、空のグラスを揺らして氷をカランと、鳴らした。

「じゃあ、ユウと同じのでいいよ。」と言うと、少ししてユウがウーロン茶の入ったグラスを2個持ってきた。

「はい、どうぞ。このバインダーの中身見ていいですよ。っていうか、マサヤさんの為に家から引っ張り出してきたんですけどね。」とニコっと笑うとバインダーを俺に渡した。

バインダーをめくると【pomegranateカクテルレシピ集】とタイトルが振ってあった。

「【カクテルレシピ集】??こんなにあるのか?」見るからにバインダーは100ページ以上はある分厚さだ。

「カクテルだけじゃなくて、フードメニューとかその他諸々で、約130メニューが、丁寧に写真付きで載ってる仕様になってます。」と、ページをめくる俺の横で、丁寧に解説をしてくれている。

「…これを、1ヶ月以内に作れる様にしろ。なんて、暴挙はカズヒコさんでも、しない…よな??」と、苦笑いしながら聞くと…

「…まぁ。7割って、所じゃないですかね??カズヒコさん(あの人)なら。」とニヤリと、いたずらっ子の様な笑顔を俺に向けた。


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