弓馬陣 対 小覇陣
原点は隠し将棋で、陣形作ってから戦うものです。
開戦の言葉とともに 板が外される。
ハルカの陣形は、本陣を弓の弦上として、弓本体部分を騎兵で固めており、さらに中央部を厚くして配置し、両端と中央に斥候兵を置いている。
対するラウルは歩兵の後ろに弓兵を置いたものが六つ、間隔を置いてほぼ横一列に並んでいる。
見た目だけなら、ハルカの駒は『150』と全力出撃に対し、ラウルは『48』とまだ余力を残している。
「どうよ!新しく覚えた『弓馬陣』は、この陣形は騎兵を矢のごとく放ち、波状攻撃で殲滅、粉砕、勝利となる最強の攻撃陣形なのよ。」
とすでに勝利したかのようにふんぞり返っているハルカとは対照的に、冷ややかな目線で盤上を見つめるラウル。
「まあ『弓馬陣』か、予定内だな。」
「え?ラウル知ってるの?あとその陣形なに?」
「騎兵の威力を最大限に活かす陣形知らないわけがないだろう。あとこの陣形は『小覇陣』少ない寡兵で勝利をするための陣形だ。ハルカの陣形が歩兵、弓兵と来たから次は騎兵中心だと思ったんだよ。」
「しょうは?よくわかんないけど、とりあえずすぐに勝利してやるわ。」
と言ってハルカは駒を動かし始めた。
~30分後~
「ほい、本陣制圧っと。俺の勝ちだな。」
盤上には、ハルカの駒は全て倒され、本陣だけが残り、その本陣も今制圧され、決着がついた。あとはただ放心してあるハルカと、ニマニマして見ているラウルがいる。
戦況としては、ハルカが斥候兵を動かしたところラウルの狙撃により壊滅したため、一点突破しようと騎兵を中心に集め
て突撃を敢行、その先に罠設置の落とし穴にはまり、騎兵の機動力が殺され両側面からの交差射撃により、棒立ちの騎兵約半数が壊滅、それにより指揮低下を招きダイス-3の補正を受けた。慌てたハルカが本陣を前進させるが、その間に戦線を押し上げ各部隊を圧殺、さらに-補正がかかる悪循環。遂には部隊全滅と坂を転げ落ちるように消えていった。
我に返ったハルカは騒ぎ立てた。
「なによコレ!なんのイカサマよ!」
「いや、普通に罠にかかった部隊殲滅して、指揮低下した部隊を各個撃破しただけだが。」
「せっかく覚えた弓馬陣が……」
「いや、弓馬陣の強みは波状攻撃で電撃戦することだが、罠で足止めされたらいい的だぞ?ハルカは最初の斥候兵倒された時点で方針代えなきゃいけなかったんだよ。それに新陣形って話したからな、小覇は消波って意味もあるから、波状攻撃に相性最適な陣形だ。」
「あーもー、負けよ負け、負ーけーまーしーたー。」