再会
「ラナ!」
真っ黒な猫は、たしかにラナで。
「どうしてこんなところに、どうやってあの長い道のりを…」
毛はところどころ抜け、鼻にはひっかき傷ができている。そんなボロボロの状態のラナを抱き上げることもできず、呆然と立ちすくむ。
ラナは力尽きたようにその場に横たわると、私の目をまっすぐ見た。
「ラナ…」
気のせいだろうか、ラナの鋭い瞳が一瞬だけやさしく緩んだ。そして、そっと目を閉じた。
「うそ……ラナ? ラナ!!」
疲れて眠っているのだといい。死なんて、そんなこと考えたくない。
ラナの体をそっと手で抱えると、かすかにだが、全身が脈を打っているのを感じる。その脈を逃さないよう、私は必死で走った。
「アン、アン!!」
台所に飛び込む。
「どうしたの」
「この子、どうしたらいい!? どうすれば」
アンは、焦りで言葉を詰まらせる私の手の中にある黒い塊に顔を近づけ、
「猫?」
とつぶやいた。
「そう、猫なの。猫だから、」
「リュート」
私を落ち着かせるように、アンはゆっくりといった。
「今日は夕飯の支度に出なくていい。部屋に行って、暖かい布でくるんで、一晩中そばにいてあげな」
「そしたら、よくなる?」
「なるようになるさ」
真剣なアンのまなざしに、はじかれたように部屋への道を走った。全力で。
部屋に着くと、シャワー室にある清潔なタオルでラナをくるんだ。それから床にタオルケットを敷いて、その上にラナを寝かせる。口元に手をやれば、かすかに熱い息がかかる。
まだ、大丈夫。
自分に言い聞かせるようにつぶやいて、毛布を取り出すべく、体を押し入れに突っ込んだ。




