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もしも  作者: 空猫月
35/51

黒猫

「何がそんなにショックなのかえ。あたしには分からに」


 平然と構えている黒猫。

 一体こいつは何なのか。私が安売りの子だと知っているのも、「記憶を見させてもらった」という一言も、すべてが謎だ。

 一体…


「ほぉ、ようやくそこまで頭が回るようになったか」

 私の近くに、王子は居ない。いつのまにか、場所を移されていたようだ。


「ふんふん、面白いねぇ」

 黒猫はすんすんと鼻を鳴らす。


「まず、自己紹介からしようか」

 のんきな黒猫に、心の底から腹が立つ。

 王子は何処だ、お前は何だ、私に何をするつもりだ。ぐるぐると回る疑問。どれから手をつけていいのかがわからない。

 ひとまず、ぐっと自分を押さえて黒猫をにらんだ。


「あたしは、ラナ・プロプス。レ二アの使い魔だよ」

 ぐっと、自分の眉間にしわがよるのが分かる。

 さっき、レ二アさんが溶けて黒猫になったのに、それがレ二アさんの使い魔だって?どういうことだ。

「ふん、頭の回転が悪い子」

 それに、さっきから頭の中が見透かされているようで、気味が悪い。

「そうだよ、あんたの頭の中を見透かしているのさ」


「な!」


 思わず声をあげた。この黒猫、一体何なんだ。

「言っただろう、あたしは使い魔だと。使い魔なら、相手の頭を読むくらいどうってことない。もっとも、あたしは有能だから、人型に姿を変えたりもできるけどね」

 くすんと鼻を鳴らし、胸をそらしてみせる黒猫。


「いい加減、黒猫という呼び方は止めておくれ」

 また、見透かされた。

「あたしは、ラナ・プロプスだと言っただろう。ラナ様とお呼び」

 黒猫、もといラナはかなりの自信家のようだ。やなやつ。そう思ったけれど、

「だから、様をつけなさいってば」

 そんなの、どうでもいいんじゃない、と思ってしまうところにこだわるところが、なんとなく可愛いなと思った。

 ま、怒らせるとちょっと怖いけど。


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