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悪夢
最近、よく夢を見る。
そんなことを思いながら、また夢を見ていた。
それは、私の出国の日。
父も母も、見送りには来なかった。見送れば悲しくなるから、泣いてしまうからと、その日も普通に仕事に出かけた。
私の付き添いをつとめる政府の人は、ただ一言
「なにをされても、かえってくるな」
それだけ言った。
周りには、同じように売られていく子供たちばかり。
泣く者、はしゃぐ者、死んだような目をしている者、目を閉じてぴくりとも動かない者。様々な子供が、様々なところに売られていく。
そのことに私は、不思議と何も感じなかった。
今思えば、もう少し考えるべきだったのだ。
たとえば、人のような扱いをしてもらえないとか。私だって女の子だから、性処理の道具にされることだって、あったかもしれないんだ。
なのに、それを全く考えなかったって。おかしい。
人身売買を正々堂々と国の産業にしていたからか、売られていく子供が数百人単位だったからか、私は頭が麻痺していた。
これだけ堂々と売られるのだから、これだけたくさんの子どもが行くのだから、きっと大丈夫だと。国だって、どこにでも売るというわけではないだろうと。
そう思っていた。
過信していた。




