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もしも  作者: 空猫月
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政策

 今、文字が読めるようになり、世間がどんなものかを知ったから言える。


 この政府の政策は、『人身売買』だったのだと。

 そしてその『人身売買』が、いかに人々の人権を無視したものであるのかも、知った。


 でも、今になってもこれしか道はなかったと思う。


 資源が人であるといえるくらい、人だらけだったのだ。食料だっていくらあっても足りない、職場だってパンク状態。

 こんな状況を乗り越えろという方が無理だ。政府の者でさえまともに教育を受けれていないというような国だから、なおさら。


 私は売られた子供たちがどうなったのか知らない。

 同じ船に乗った子は、どうなっただろうか。幸せに暮らせているのか、それとも酷い扱いを受けているのか。


 私に知るすべはない。私だって売られた一例に過ぎないのだから。



 私が引き取られたのは、お城だった。

 黒魔術で世界の半分を支配しているとても大きな国、リヴォルト王国。その城に家政婦として雇われた。

 そこには、国王ゼスと王子レント。そしてミンフィスという大きな虎が飼われていた。


 城の前に着いた時、私は世の中にこんな大きな建物があるのかと目を疑った。

 こんなにも敷地があるものなのかと、こんなに贅を尽くして、はたして生きていけるのだろうかと。


 なにもかもが、信じられなかった。


 なごみではまず見かけない、大きくて広くて豪華な家。

 入口には柵がついていて、大きな馬車のようなものがあった。聞けば、あれは電気で動くらしい。


 私が暮らした国がどれほど遅れているか、城の中に進めば進むほど、身をもって知った。


 一番驚いたことは、虎を飼うということだった。

 そもそも虎なんて初めて見たし、私の国では野良犬さえも食料にしないと生きていけなかったのだ。

 国王や王子には悪いが、ミンフィスを見た瞬間、さぞかし良い肉が食えるだろうと思ってしまった。


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