再度
私は今、何をできるのだろう。
激しく憎み、それでも大好きになってしまった人たちのために。
目を閉じて、グッと拳を握る。固めた拳は胸の前に持っていって、そっと祈りをささげた。
王子が、無事に見つかりますように。
ただそれだけを一身に願い、空を見上げる。ちかりちかりとまたたきを繰り返す星の方へと、もう一度願う。
絶対、私が見つけてやる。王子を無事に、城へ送るから。
深く深呼吸をした私は、目を閉じて歩き出した。
目を閉じたまま、予感だけで道を進む。
どっしりとした木の気配が、私に覆いかぶさっているのがわかる。
気配のないところへ、気配の隙間へ。私は、迷わず進んでいく。
こんなとき、目を開けると余計に迷ってしまうことは、私の身にしみていた。
人間の視覚は、意外と宛てにならない。直感だけがものを言う世界が、この世には無数に存在しているのだ。
風の音に耳をすませ、通り道を伺う。木の気配に圧倒されながら、自分がこっちだと思う方向へ向かっていく。
もはや、自分がどこを歩いているのかもわからない。
自分がどこへ向かっているのかもわからない。
それでも、私は歩く。あてなどないけれど、行く先なんて知らないけれど。
ふと、風が止まった。木の気配もそこだけぽっかりとない。
大きくて高い、何かがそびえたっている雰囲気。
そっと目を開けると、それは家だった。
蔦が壁を這い、薄汚れた窓は小さくひびが入っている。おどろおどろしい雰囲気を醸し出しているが、それとは裏腹に、温かくて優しい光が灯っていた。
あたりだ。
私は、ホッと一息ついた。




