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もしも  作者: 空猫月
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城外

 真夜中に城を飛び出し、方向感覚がわからないままに走っていると、いつの間にか日が昇った。


 ここは、どこだろう。方向音痴の私が突っ走ってくるべきじゃなかったな。


 ちょっと反省しつつ、朝市に出かけるのであろう町人をつかまえた。

「すみません!この森、知りませんか?」


 面倒くさそうなおじさんに無理矢理地図を押しつける。

「お手間はとらせません!いいから、教えて!!」


 そう言っても迷惑そうなおじさんに、

「ここ!」

 と森を指さす。

「ここに行きたいんです。道を教えてください」


「闇黒の、森?お嬢ちゃん、そんなところに行くのかい」

 突如びっくりして眉を寄せる町人に、愛想良く頷く。

 と、

「やめた方がいいよ」

 深刻な顔で、そう言われた。

「え、何で?」

 首を傾げると、町人はつらつらと闇黒の森についてを語ってくれた。


 今では闇黒の森と呼ばれている、真っ暗な林。

 そこはかつて国王ゼスと勢力を二分した、テンランという一家の根城らしい。


 そもそもこの国は、今の国王ゼスが率いるリヴォルト家と当時の国王アルゾン率いるテンラン家が、国の政権を巡り争っていた。

 その時にテンラン家が城を建てていたのが、闇黒の森あたり。

 最終的に勝ったのはリヴォルト家だから、テンラン家の城は潰されてしまったけれど、逃げ伸びたテンラン家は未だに闇黒の森に潜んで、復讐の機会を狙っているのだとか。


「だからね、下手にあの森に入り込むと、二度と戻ってこれなくなるよ。気をつけなさい」

 おじさんはそう言って、朝市へと出かけてしまった。



 なんとなくイメージがつかなくて、また違う人に聞く。今度は、中年のおばさん。道を聞くと、両手にぶら下げた買い物袋を地面に置き、


「あそこには、悪い魔女がいる」


 と、“悪い魔女”の話をしてくれた。


 闇黒の森にすむ悪い魔女は、ときおり犬猫などをさらうんだよ。その子たちは可哀想に、それはそれは恐ろしい黒魔術の実験台にされているらしくてね。

 当然、連れ去られた犬猫は戻ってこないし、遊び半分で森に出かけていった子供たちや大人は、必ずといっていいほどそのまま行方不明になるんだ。

 しかもね、数々行ってきた実験の中でもっとも効果のある黒魔術を、多分人を殺すとかそういう技だと思うんだけど、それをこの国の王に仕掛けようとしているんだってさ。本当さ、そういう噂があるんだ。


 あ、そうそう。犬猫で試した殺人ウイルスをばらまく、っていう話もあるよ。


「だからね、お嬢ちゃん。あそこへ行ったら帰れない。悪いことは言わないから、行くのはやめな」


 おばさんは最後をそう締めくくると、満足したようにまた買い物袋を持って行ってしまった。


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