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もしも  作者: 空猫月
12/51

夜中

 家庭教師を付けてもらって、3カ月。毎日、忙しくない夜中に教えてもらった。


 リヴォルト王国とその周辺の国には同じ言葉が通じると、先生に教えてもらった。私のいた国の言葉は独特で他国では全く通じない。けれどリヴォルト王国で使う言語は、どこへいっても通じる。

 何となく、母国の小ささを思い知らされたような気がしたけれど、私はものすごく頑張って勉強した。


 文法、文化、礼儀、作法。この国で生活するために必要な全てのことを片っ端から学んだ。私は必死だった。

 学ぶということがこんなにも楽しいなんて、知らなかった。知らないことを知る喜びを、今までどうして分からずに生きてきたのか。


 不思議だった。


 あんなに進んでいない国と、こんなに進んでいる国。あんなに貧しく苦しい国と、こんなに豊かで幸せな国。

 一体どこが違うのだろう。どこでこんなに差がついたのだろう。


 そんな疑問を口にすると、先生は笑ってこう言った。

「じゃあ勉強するかい」

 と。

 もちろん私は頷いた。知りたかった、教えてほしかった。そして案の定、社会の世界史という分野は、心がわくわくして眠れなくなるくらい面白かった。


 この調子で勉強を続けていたら、1年もしないうちに勉強を終えてしまった。ここから先の内容は専門の学校へ行かないと分からない、と先生から言われてしまった。

「ありがとうございました」

 つとめて明るく、私は言った。お礼はきちんとしなければならないことは、なごみでもリヴォルト王国でも同じだ。

 先生は、笑顔で部屋を出て行った。


 家庭教師もいらなくなり、空っぽになった夜の時間。私は本を読みまくった。

 空想世界から実話、童話からおとなの恋模様まで、あるとあらゆる本を呼んだ。幸い、城の図書館はとても大きく、たくさんの本が自由に借りることが出来た。

 本は素晴らしかった。

 たった一冊で、たった1時間から2時間の間で、いろんな世界を旅出来る。本を閉じたときの浮ついた幸福感が、私はとびきり好きになった。


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