手紙
未完「捨てられた、わけじゃない」を大幅に修正・加筆したものです。
前作と今作では、登場人物以外のすべてを変えさせていただきました。
前作を読まずに読んでもらったほうが、作者としてはありがたいです。
by空猫月
なごみ・竹ノ中一家の皆様へ
元気にしていますか。風邪をひいてはないですか。
私はとても元気です。雇い先の方はとても優しく、毎日おいしいものもいっぱい食べられます。
リヴォルト王国はとても豊かで、なごみでは数万円したものが数十円で売ってあります。
例をあげれば、この手紙は十枚セット百円でした。こんな豊かな国、初めてです。
お金は届いているでしょうか。金額は十分ですか。少しでも、生活の役に立っていたら嬉しいです。
今日は、タンポポカボチャの種を送ります。これは、柔らかな地面に植え付けさえすれば、自然と芽が出て実が出来ます。
普通のカボチャより甘いし、種も多くできるので、オススメです。
では、また会える日を楽しみにしています。
リヴォルト王国・竹ノ中龍、改めリュートより
私はペンを置くと、可愛らしいハートのシールで封筒の口を閉じた。
明日、時間があったらポストに出そう。
そう思って私は蝋燭を消し、温かくて柔らかいベッドに潜り込んだ。