⑨ 次は猫の惑星
「さて、そろそろ出ようか?」
ミケーネに言われて、由理子も頷いた。
2人はカフェを出ると、また城への道に戻った。
どの道、ミケーネの船は城内に駐車…というか停泊しているのだ。帰るためには、そこに行くしかないのである。
城に帰ると、犬王アヌビスが自ら出迎えに来た。
余程、由理子の事が気に入ったようだ。
「由理子にコレを…。」
彼は別れ際に、ナニやら腕輪のようなモノを渡してきた。
「会いたくなったら、それでいつでも連絡してくれ。」
由理子にとって、一体コレで何個目の通信デバイスだろうか。彼女は動物たちから、すっかりモテモテだ。
2人は犬王に別れを告げ、ミケーネの船に乗り込んだ。
「さあ、今日はトコトン付き合ってもらうよ!」
ミケーネは言うなり、船を垂直上昇させた。
次に目指すのは、ミケーネの故郷、猫の惑星だ。
「いつもタクシー代わりに、コレを使わせてもらっているお礼だから、イイわよ!」
由理子も元気に、そう返事をしたのだった。
猫の惑星への時空ジャンプは、あっと言う間だった。同じ惑星の、別の世界線なのだから、当たり前である。
それにどうやら、犬の世界線と猫の世界線は、隣合っているようだった。ちょっとした運命のイタズラで、別れた世界らしい。
現地に着いたのは、もう夕暮れ時だった。
しかしむしろ、ここからが猫の国の本領発揮である。
何しろ、彼等・彼女等は皆、夜行性なのだから。
案の定、街のそこかしこから、ニャーニャーと声が聞こえて来た。
それが、ネコの本能なのだろう。
別に"サカリ"がついてなくても、ご近所同士の会話でも、そんな感じに"かしましい"のだ。
「みんな元気そうね?」
由理子は、そんな当たり障りの無い感想を述べた。
「まあ、夜はいつもこんな感じかな。昼間はみんな、もっと上品なんだけどね。」とミケーネ。
「昼間はみんな、ゴロゴロしてたりして…?」
「…なんで、知ってるんだ?」
「ワタシの星のネコさんも、みんなそうだからね。どうせ遊びも仕事も、17時からが本番なんでしょ?」
「流石、由理子。全て御見通しという訳か。」
「まあねえ。良いんじゃない?ネコにはネコのヤリ方が有るんでしょ?」
「そういう、他種族に対する懐の深さが、由理子の魅力の一つなんだよなあ…ますます気に入ったよ。」
ミケーネは、ウットリとした目で彼女を見つめる。そして彼は、いよいよ彼女に対する評価を高めるのであった。




