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「物語の幕間〜彼氏・彼女の日常」(セーラー服と雪女 第19巻)  作者: サナダムシオ


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⑧ 珈琲ブレイク

「そうだ。ちょっとそこのカフェで、お茶でもどうかな?」

 ミケーネのお誘いに、由理子も賛成した。


 そこで2人は、地球で言うなら、ビクトリア時代に良く似た設えの、店内装飾が素敵な喫茶店に入った。


 赤いベロア調のソファに腰掛けて、2人は向かい合わせになると、シュナウザーに良く似た髭の素敵なマスターに、飲み物を注文した。


 実を言うと、由理子はさっきからずっと、何となくこの惑星での体験に、既視感を感じていたのだ。しかし今、マスターの顔を見て、その感じの正体に気がついたのだった。


「ああ、宮崎駿カントクの"名探偵ホームズ"だわ!」

 彼女は思わず口に出して言ってしまった。 

「…何だい、それは?」訝しむミケーネ。


「前に見たアニメ作品よ。登場人物が、何故か全員イヌなの。」

「ハダカ猿族の作品なのに?」


「そうなのよ。カントク、ひょっとしてこの惑星に来たことが、あったりして?」

「面白い話だね。あながち無いとは言えないなあ。」

 ミケーネも愉快そうだった。


 やがて、ビーグルに似たウェイターが、飲み物を運んで来た。

 由理子はアメリカンで、ミケーネは、マタタビの棒でかき混ぜるタイプの、ホットミルクだった。


「ぼくら猫族はね…。」

 ミケーネが語り出した。


「…むしろ犬族よりも熱心に、ハダカ猿族…つまりキミたちニンゲンを教育して、種族としてより高みを目指せるよう、何度も導くことを試みたんだよ。」


「だから、ランダムにニンゲンを選んで、かつては自分たちの惑星に、招待したこともあったんだよ。」


 ソレはソレで"猫の恩返し"っていうアニメに似てるな。そう思ったが、話の腰を折らないように、由理子は黙って聞いていた。


「イロイロな並行宇宙のニンゲンに、教育を試してみたが、どれも皆失敗に終わったよ。」

「どうして?」


「何故か全てのニンゲンが、貴重な知識や技術を軍事転用して、最後には絶滅してしまうのだよ。」

「…ソレは…耳が痛いハナシね。」


「最近では、すっかりそういう試みをすることも無くなったがね…まあ、諦めたと言ってもイイ。」

「…そうなんだ。ご期待にそえなくて申し訳無かったわね?」


「たが、由理子。キミは違う!」

「へえ、そうかしら?」


「私も少しはテレパシーを嗜むが、キミの心の中は、どこまでも清らかで、澄み切っている。」

「アリガト。」褒められてドギマギする由理子。


「もう、私の第二妃として、迎え入れたい気分だよ。」

「え〜っ、第一じゃないのぉ~?」


「第一なら承諾するのか?…。」

「…すいません。無理です。調子に乗りました。ワタシには大切な鷹志が居るので…。」 


「多分、先程あの犬王も、同じ気分になったんだと思う…。」

「あら、ワタシったら、モテモテね?」


「由理子のようなニンゲンは、希少性が有るのだよ。」

「その言い方、まるでワタシが、コレクションの対象みたいね?」


「うん、その側面は否定出来ないなあ…。」

「ワタシって、ひょっとして、絶滅危惧種なのかしら?」


「いや、むしろ、新種かな?」

 言われた由理子は、思わず笑ってしまったのだった。


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