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「物語の幕間〜彼氏・彼女の日常」(セーラー服と雪女 第19巻)  作者: サナダムシオ


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⑦ 籠絡される王

 そもそも、昔から"犬猿の仲"と言われているように、犬族と猿族とでは、歴史的に相性が良くないと言われて来た。


 それにハダカ猿族どもは、好戦的なことこの上ないのだ。基本的に平和主義者の犬族たちとは、相容れない大きな問題である。


 だが、この由理子とやらはどうだ。

 何だ。この彼女が全身に纏う平和のオーラは?

 それに、あの抗い難い素敵な笑顔。


 まるで、犬族が心の奥底で求めているモノを、全て知っているかのような…。

「…さま、…おうさま、…犬王様!」

「お、おお、なんだ?済まんな。少し考え事をしていた。」


「せっかくなので、この後、ミケーネと一緒に、犬の街を散策してもよろしいでしょうか?」

 そう言う由理子に対して、アヌビスがノーと言うはずも無かった。


「うん、良いとも。自由に見て参れ。特に見られて困るような、秘密も無いからな。」

 犬王アヌビスは、快く彼女たちを送り出したのだった。


 由理子とミケーネは、犬王の城を出ると、早速城下町に繰り出した。

 街は緑豊かに整えられていた。


 ただ、ニンゲンの街と大きく違うところは、男性用の公衆トイレだった。

 コレは勿論、由理子が目視したのではなく、ミケーネの証言なのだが、小便器の真ん中に棒が立っているのだそうだ…理由は皆さんのご想像通りである。 


 あんなオカシナ物、我が国には無いぞ。

 ミケーネはそう言って笑っていた。


 そうそう、この世界のハダカ猿族…つまりニンゲンたちは、遥か昔に絶滅したのだそうだ。その理由は…やはり皆さんのご想像通りなのである。 


 つまり、概ね映画"猿の惑星"と同じ流れなのね。

 由理子は、そう理解したのだった。


 それにしても、街で見かける光景は、由理子にとっては、頭の中にお花畑が生まれてしまいそうな程、ファンタジックなモノだった。


 建ち並ぶ家々は、どれもアースカラーの色彩で彩られており、こじんまりとして可愛らしい。


 あと、何と言っても、街行く人々…いや、犬たちが、またカワイイ。

 色とりどりの服を着て、直立歩行でヨチヨチ歩く姿…中でも親子連れなどは、キュートな事この上ない感じがした。


 それを見て歩きながら、思わず頬を緩める由理子に対して、猫王が言った。

「何だつまらん、由理子は犬派なのか?」

「う〜ん、決してそういう訳では…。」

 由理子は慌てる。


「なんて言うか…それぞれの良さがあるわよね?」

「…と言うと?」  


「犬はいつでも、オープンマインドでフレンドリーだし、猫はいつでも、自分自身の軸のようなモノをしっかりと持っていて、高貴な感じなの。どちらも素敵な特性だわ。」


「…そんなウマい事を言っても、ナニも出ないぞ。」

 そう言いながらも、まんざらでもない感じの、ミケーネである。


 由理子は流石である。猫族の、ちゃんと褒めて欲しいツボが、分かっているのだった。



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