② 事の真相
二人の雪子の内の一人は、頭のてっぺんからつま先まで、真っ白な姿をしていた。白い髪に、白い肌、着ているセーラー服まで真っ白だったのだ。
そして、対するもう一人は真っ黒な姿だった。黒い髪に、黒いセーラー服。肌色まで何となく日焼けして見えた。
ソレはまるで一人の雪子が二人に分離したようだった…事実そうだったのだが…。
見つめ合う二人は、ナニやら言葉の遣り取りをした後、おもむろにそれぞれのカラダに、チカラを溜め始めた。
そして、二人ともが光輝き出し、周りの瓦礫を巻き込みながら、空中に浮かび始めたのだ。
それは正に一触即発の状況に見えた。見つめて居た雪村は、もう少しで飛び出して行こうという構えになったが、実際にそこへ止めに入ったのは、別の人物だった。
「ほら、出て来るわよ。」京子は楽しそうだった。
二人の雪子の真ん中の暗がりから現れたのは、16歳の村田京子だった。
彼女が二人の雪子に何か話しけると、二人はチカラの放出を止めて地上に降りた。
そして二人はお互いに歩み寄って行き、手を取り合うと、次の瞬間に光輝いた。そしてあっと言う間に一人の真田雪子に戻ったのだった。
無事に一人になった彼女は、尚も16歳の京子と話し合うと、先にその場を去って行った。
「アレが、ワタシの真田雪子に対する、最初で最後の勝利の瞬間よ…まあ、実際には、勝ちを譲ってもらっただけなんだけどね。」
そして彼女は、物陰に潜んで居た雪村を見つけて連れ出し、二人で手に手を取り合い、仲良く月明かりの照らす夜道を帰って行ったのだった。
「めでたし、めでたしですね?」
サン・ジェルマンが言ったが、京子はまだ現場から目を離さなかった。
「…ほら、やっぱり出て来たわ。」
彼女が指差す先には、先程の雪村とは別の物陰から出て来る、一人の人物が居たのだった。
ソレは他ならぬサン・ジェルマンその人だった!
「ねえ、アナタ、何かワタシに、言うべき事があるんじゃないのかしら?」
京子は自分の隣に居る"今のサン・ジェルマン"に尋ねる。
「…。」
「アナタは、ワタシのストーカーだったの?」
「…。」
「…ううん、違うわよね?ソレよりもっと前から、アナタはワタシの一族に興味を持っていた。ワタシとアナタが京都でお見合いをするよりも、遥かに昔から…そうなんでしょ?」
「…最初のきっかけは、初めて下鴨神社の事件に関わった時の事でした…。」
ようやくサン・ジェルマンが語り始めた。




