表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「物語の幕間〜彼氏・彼女の日常」(セーラー服と雪女 第19巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/21

⑲ 魔女の憂鬱

 真田雪子は、血塗られた自らの両手を見ながら、何だかふと、虚しくなった。

 彼女は今の今まで、様々な並行宇宙を渡り歩いて、次から次に、勝手に極悪人に認定した、アドルフ・ヒトラーの同位体を捜し出しては、抹殺して来たのだった。


 それは彼女が、100人目程のヒトラーの息の根を止め終わった頃だったろうか…もうとうの昔に、面倒になって数えるのをやめていた。


 彼女は、或る重要な事実に気がついたのだった。

「ワタシったら、なんて間抜けだったのかしら。」


 そもそも、誰が"ただの芸術家志望だったヒトラー少年"に悪魔の囁きをして、将来の"独裁者で虐殺者のヒトラー総統"に仕立て上げたのかを、突き止めるべきなんじゃないの?


 でも、もし、その行動を阻止したりしたら、その後の歴史が大きく変わってしまう。

 ああ、でも、独裁者ヒトラーの居ないセカイも見てみたい…。


 …結局、彼女は好奇心に負けた。それは兎にも角にも、現在自分がやっている、版で押したようなつまらない行為の繰り返しよりは、遥かにマシな行動に思えた。


 そうと決まったら、早速取り掛かるとしよう。

 雪子はまた、昭和の延長上の世界線の、サン・ジェルマンの元を訪れた。

 それは西暦1991年2月3日の日曜日。

 午前9時30分の事である。


「おや、随分とご無沙汰でしたねえ。何だか疲れた顔に見えますけど、大丈夫ですか?」 

 今日も彼は、ジェントルな感じで迎えてくれた。


「ええ、お陰様でね。悪いけど、また、アナタのビートルを借りてもイイかしら?」

「イエローので良ければ、空いてますよ。」

「…ソレでイイわ。お願い。」

「…使用理由は…訊かない方がイイんですよね?」


「ええ、出来れば…。」

「分かりました。アナタとワタシの仲ですから、特別ですよ。」 

「いつも、ごめんなさい。」

「良いですけど…くれぐれも無理なさらないようにしてくださね?」


「ありがとう。優しいのね?…良く覚えておくわ。」

 サン・ジェルマンに別れを告げた雪子は、地下駐車場のビートルの元に向かった。


 彼女は黄色いクルマの運転席に座ると、イグニッションをオンにして、以下のように目的地の座標を入力する。


 西暦1907年11月1日 金曜日

 午前10時00分

 北緯 48度 12分

 東経 16度 22分

 

 そして外に出たビートルは、直ちに光学迷彩を掛け、垂直上昇して行ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ