① 京子のリクエスト
今回のストーリーは、これまでの物語のおさらいと補完、そして恋人たちのその後の顛末を語ります。
どうぞお楽しみに(>ω<)
「ねえ、久しぶりに、アナタと二人きりで、行きたい所があるの。」
"昭和の雪女"こと、永遠の23歳、村田京子が言ってきた。
それは1990年12月26日、水曜日。朝10時を過ぎたころのことだ。
先程、杉浦鷹志・真田由理子・真田香子の三名が、それぞれ帰宅するのを見送った後、永遠の35歳のサン・ジェルマンは、いつもの亜空間レストランで、仕事納めの片付けをしているところだった。
かねてからの約束通り、そこにやって来た彼女は、開口一番にそう言ったのだった。彼女は今日も、お気に入りのイエローのワンピースを、上品に着こなしている。
「…で、どこに行きますか?」
ジェントルな感じで尋ねるサン・ジェルマン。彼と彼女は、とある事情から籍を入れない事実婚だ。
今日の彼の出で立ちは、黒いコーデュロイのマオカラーのシャツに、同じく黒いパンツ、上着はイエローオーカーのジャケットだ。それは、さり気なく、京子とコーディネートされた服装だった。
「うふふっ、ソレは座標を見てのお楽しみ。今日は私の運転に、付き合ってくれる約束だったわよね?」
京子はそう言いながら彼を誘って、ウキウキした様子でエレベーターに乗り込むと、地下駐車場に向かったのだった。
今日は自分の操縦だからと、彼女は4色並んだワーゲンビートルから、イエローカラーの1台を選んだ。
そして、助手席にサン・ジェルマンが収まるのを確認すると、早速時空転位装置の操作パネルに、目的地の座標を、次のように入力したのだった。
西暦1981年3月31日火曜日0時30分
北緯35度14分
東経136度93分
「さあ、行きましょう。アナタとワタシの、記念すべき思い出の場所へ。」
京子はそう言うと、時空転位装置のスイッチを入れた。
その座標を見て、サン・ジェルマンも、これから起こるであろう出来事に向けて、心の準備をしたのだった。
程なくして、彼女の黄色いビートルは、とある廃校舍の解体現場付近に到着した。
時刻は真夜中だ。
二人はクルマを地上に降ろすと、路肩に停めて、音をたてないように気を配り、慎重に現場に近づいて行った。
「ほら、まずあそこに一人隠れて居るわ。」
京子が指差した場所を、サン・ジェルマンが注視すると、物陰に潜んでいる"高校1年生の真田雪村"を見つけた。
彼は前方の解体現場の暗がりを見つめているようだった。
そしてその目線の先を辿ると、何と暗がりの中に、見つめ合う二人の真田雪子が居たのだ!




