君が星で俺は─
「…別れよう。」
そう言葉を口にした瞬間、胸が張り裂けそうになった。
目の前に立つ彼女は、まるで絵画の中から抜け出してきたような美しさだった。才色兼備、街を歩けば10人中10人が振り返るほどの存在。そんな彼女の隣にいるのが、何の取り柄もない俺。
「…なんで?」
彼女の大きな瞳が揺れる。
「…俺たち、釣り合ってないんだよ。」
ずっと気づかないフリをしていた。だけどずっと知ってた。彼女と並んで歩くたび、周りの視線が痛かった。羨望、驚き、時には嘲笑。
『なんであんな平凡な男が…?』
『もっとふさわしい人がいるのに。』
そんな言葉が聞こえてくるたびに、胸の奥が冷えていくのを感じた。どんなに手を伸ばしても、彼女は遠い。
「そんなの関係ない私はあなたが好きだよ。」
彼女が静かに言った。
「私にとって、あなたが一番大切なの。」
「でも、それじゃダメなんだよ。」
『君がいれば他のやつらの言葉なんて関係ない』
そう言えるほど強い人間じゃなかった
「俺は…君にふさわしくない。」
「そんなの、誰が決めたの?」
「俺が決めた。」
彼女がどれだけ俺を好きだと言っても、周りの目は変わらない。俺自身が、この関係に耐えられなくなってしまった。だから——これでいいんだ。
「今まで、ありがとう。」
震える声でそう言って、俺は背を向けた。
彼女がどんな表情をしていたのか、振り返る勇気はなかった。星に願うのはもうやめよう。届かないと知ってしまったから。