ストルブァンドの給餌
さて、ここからはストルブァンドの給餌方法について詳しく解説していこう。
ストルブァンドはご存知の通り人間の生息域に近しい水辺を住処としている。
よってその食性は水性生物や水草、藻類が中心となる。
比較的入手が容易でお勧めの餌は何といってもヒキガエルだろう。
これには蝦蟇の油として名高いブフォトキシンが含まれる。
それは適度な陶酔感と幻覚を引き起こし、ストルブァンドが新しい環境に適応するまでの間に受けるであろうストレスを和らげてくれる。
与え方は簡単で、まず生きたヒキガエルをこん棒で殴り殺し、それを乳鉢で丁寧にすり潰す。
団子状にして保存しておけば、毎日ヒキガエル狩りに追われて妖精と戯れる時間が奪われることもない!
これに水草やエビ藻などを混ぜ合わせれば、総合栄養食の完成である。
以前私はストルブァンドの好みを調べるために餌の種類を限定して飼育してみたことがある。
たいていのストルブァンドは生の魚を好むのだが、これのみを与えた場合のストルブァンドは一向に懐かず、大変苦労したのを覚えている。
逆に蛭やタニシなどの軟体動物のみを与えると、ストルブァンドは最初は抵抗を示すものの、徐々にそれらに慣れ、最終的には従順になることが分かった。
しかしこの方法には大変長い期間(おおよそ3年ほど)を要するのでお勧めはしない。
ヒキガエル団子を与え、酩酊状態になったストルブァンドに優しく何度も根気よく、愛を囁けばよろしい。
そうすることでストレスの無いストルブァンドの心に、こちらの気持ちがすぅーっと染みわたっていくのを、読者も体感できるはずだ!
やはりヒキガエルが最善の方法であると言える。
どうしてもヒキガエルが手に入らない(そんなことは滅多にないが)場合はやはり阿片を混ぜた魚肉による方法になるが、この方法には費用がかかるという弱点がある。
ではなぜ捕獲の際に阿片を使ったのかと懸命な読者諸賢は疑問に思うかもしれない。
答えは明白で、野生環境下のストルブァンドは《《決して》》ヒキガエルを口にしないからである!
大抵の場合この方法だけでもストルブァンドと非常に良好な関係を築くことが出来るはずだ。
しかし中には非常に頑固なストルブァンドが存在する。
次項では不幸にも(あるいは幸運にも⁉)そんなストルブァンドに当たった場合の調教方法を披露していこう。