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魔法のリンゴ

作者: D班

「お腹すいた、、、誰か、、、」男は静かに目を閉じた......。


「母さん!森からリンゴ取ってきたよ!」

「まぁ、ありがとうまさお」

「全然大丈夫だよ!お母さん沢山食べて早く元気になってね!」


その直後、ドン!と家の扉を強くたたいた音がした。扉を開くと大柄の男が出てきた。


「おい!お前の息子が村のリンゴをぬすんだそうだなぁ!早く返さねえと村中引き回すぞ!」

「これはお母さんのために森から取ってきたリンゴなんだ!」

「うるせえ!よこせ!」


村人はまさおからリンゴを奪い取った。


「これはいただくぜ、あばよ!」


男は颯爽と消えていった。


「ごめんね、せっかくお母さんのために取ってきたのに、、、」

「いいのよ、それよりこっちに来てごらん」


母は優しくまさおを抱きしめた。


まさおの母は謎の不治の病を患っていた。父はまさおが幼いうちに夜逃げし、女手一つでまさおを育てていたのだが、昨年に不治の病にかかり寝たきりになってしまっていた。リンゴを取られてしばらくした後、まさおは再び何か食べ物はないか途方に暮れながら村を歩いていた。すると、物陰からこそこそと近所に住む安田さんが謎の男となにやら話しているのが聞こえてきた。まさおは気になり、身を小さく屈み盗み聞きをした。


「この頃流行りの病に罹ってるやつが多いなあ。俺の女房も数年前に原因不明の病で天国行ってしまったよ。」

「そういや旦那、隣町のやつがなんでも治癒できる魔法のリンゴで病治しちまったらしいぜなんでも食ったやつの中には毒に侵されて死んだやつもいるとかいないとか」

「その何とかっていうリンゴの話は知ってるが、本当か否か、、、それに手に入ったとしても毒で死んじまうかもしれねえんだろ?そんなもんたとえ病気になったとて食えたもんじゃねえ」

「でもよぉ、もしそのリンゴの在処を俺が知ってたらあんたどうする?」

「なんだと?」

「何やら山に籠ってるくそじじいの仙人がいるみたいでな、そいつがリンゴの在処を知ってるらしいんだよ」

「本当かその話、、、!」


ガタッ!まさおがもたれていた柱がずれて大きな音を立てた。


「誰だそこにいる奴は!」

「すいません!」


まさおはすぐさま逃げた。


「待て!!」


まさおは安田さんの声には無視をし何振り構わず全力で村端まで走った。しばらく走ったのち、大きく深呼吸をして息を整えた。


「なんでも治癒できる魔法のリンゴ、、、もしかしたらお母さんも元気になるかもしれない!確か山に籠ってる仙人がしってるがどうとかこうとか、、、」


まさおは安田さんと謎の男が話していたことをもう一度思い出していた。そうこうしているうちにすでに日も西に沈んでいた。まさおは家に着いた。


「ただいま!」

「おかえり、遅かったじゃない」


母はまさおを心配した顔で出迎えた。


「お母さん、早くご飯にしようよ!」

「まったく、分かったわ、もうできるからお皿準備して待っててちょうだい」

「分かったよお母さん!」


まさおは元気よく返事をした。その後ゆっくりと二人で晩御飯を食べた。その間まさおは一切魔法のリンゴの話をしなかった。


「まさお、今日は何かいいことでもあったの?」

「え!いや、あ!今日ね隣町の物売りの人が来てて変なもの沢山見せてもらったんだよ!」

「まぁそう、、、」


母は少しいぶかしげな顔をした。その後もまさおはなんとか魔法のリンゴの話をしないようにした。完全に夜も更け、まさおはこっそりベットを抜け出し魔法のリンゴを探しに行く旅の支度を始めた。母が起きないようにそっと洋服からまとめた。ギィィ、母が寝返りを打ち、ベットが軋んだ。まさおはすぐさま立ち止まり、母が寝静まるまで待った。しばらくして、まさおは再び準備をし始めた。


「服はよし。あとは調味料だな」


まさおは母の食べ物が無くならないように、調味料だけ持っていき食材は自給自足しようと考えていた。調味料は、バターを二欠片、塩を小一袋分、魚の臭みを取るためのローリエをバックに詰め込んだ。


「これでよしっ!」


まさおはガッツポーズをしながら自分のベットに潜り込み夜が明けるのを待った。だが、明日から旅に出ると考えると、修学旅行前のように眠りたくとも眠れなかった。母さんには最後何か言った方がいいのか、魔法のリンゴは本当にあるのか、生きて村まで帰ってこれるのか、、、、、、ガバッ!!まさおは勢いよく飛び起きた。すぐさま母のほうを見るとまだ寝ていたので、ほっと胸をなでおろした。まさおは夜中に準備したバックを持ち、小さな声で囁いた。


「行ってきます」


ゆっくりと家の扉を開いた後、村の出入り口用の小さな門に向かった。門をくぐったのち、まさおは隣町で魔法のリンゴを知っている人がいるのではないかと安田さんの話から推測し、ひたすらに隣町へと歩き出していった。

病気が治ると言われているりんご探しに街に出た。安田さんが言うにはこの街にリンゴの在処を知っている人がいるという。まさおは少しの銭を手に八百屋に入った。


「すみません。この街に魔法のリンゴのありかを知っている人がいると聞いて来ました。何か知らないですか?」

「魔法のリンゴ?知らないなー。そんなのがあるのか?君はどこから来たんだい?」

「中田町から来ました。」

「そんなに遠くから?」

「はい。少しでもいいので、何か情報はないですか?」

「私の姉夫婦がここから歩いて10分のところで、野菜や果物を作っているんだ。もしかしたら何か知っているかもしれない。そこに案内しよう。」

「本当ですか?」

「あと30分で店を閉めるから、少し外で待っていてくれ。」

「30分か。少し散歩してきます。」


まさおは少しでも何かヒントがないかと散歩に出かけた。その街には大きな川があり、流れも緩やかでたくさんの魚が優雅に泳いでいる。野菜や果物を作っている農家も多い。リンゴの木も多くあったが、どのリンゴが病気を治すことができるのか全く見分け方がわからない。どのリンゴも同じに見える。特にこれといったヒントは見つけられず、八百屋に戻った。


「何かヒントになるようなことはあったかい?」

「いいえ。全く…」

「そうか。まあそんな簡単には見つからないよな。姉夫婦のところに案内しよう。」


まさおと八百屋のおばちゃんは姉夫婦の家に向かった。


「はじめまして。中田町から来ましたまさおです。魔法のリンゴの在処を知っている人がいると聞いてきました。」

「魔法のリンゴかい?今はあるかわからないけど、私のおばあちゃんのそのりんごに関する話があるから、その話をしよう。」

「20年前のことだ。私はおばあちゃんと深見山という山に山菜を取りに行った。美味しい山菜はかなり山奥にあり、山のふもとから歩いて二時間ほどかかるんだ。そこに二人で向かった。協力し合いながら、なんとかその山菜があるところにたどり着いた。そこには色鮮やかな山菜がたくさんあって、持ってきたかごにいっぱい詰めた。山菜を集めていると、大きな洞窟をみつけた。昔からの言い伝えで、美味しい食べ物がたくさんあるところの近くの洞窟にはもっと美味しいものが隠れているという。おばあちゃんは何かあるのではないかとその洞窟に入りはじめた。おばあちゃんは少し入ったところで、足が何かに刺されたかのような感覚がしたらしい。その一瞬で体が痺れ、おばあちゃんは私を呼んだ。私は恐る恐る洞窟に入りおばあちゃんの声がする方へ行って、なんとか洞窟から脱出したんだ。その時おばちゃんの体の痺れはほとんどなくなっていた。少し休憩をとりながら、洞窟の話をしてくれたよ。『入って、少ししたら、何かに噛まれたんだよ。でもそれと同時に神秘的な雰囲気を感じたよ。微かにすごく甘い匂いもしたよ。』おばあちゃんはもう一度入りたいと言ったが、この日はやめて山を下った。家に帰って、その日の話をしていると、その日何かに噛まれた時に感じた痺れがおばあちゃんを襲った。すぐに安静にして、なんとか痺れがマシになったが、この痺れが不定期に起こるようになった。ある日、おばあちゃんは安静にしていて、おじいちゃんと街に買い物に行った時、ある仙人に出会った。仙人にその話をすると、それは深見マムシといって噛まれたら、体が痺れるそうだ。中には、猛毒を持っているものもいて、噛まれたら命の保証はできない。しかし、その洞窟の奥には、どんな病気も治すことができる 魔法のリンゴがあると言われている。だがそこにたどり着くことはそう簡単ではない。まず深見マムシを切るための剣が必要だ。そこらに落ちている木の棒では潰せないし、そう簡単には死なないんだ。しかしこのマムシを倒さない限りそのリンゴには辿り着け ない。しかもその洞窟は、マムシ以外にもたくさんの危険な生物が潜んでいる。それらから自分の体を守るためにも防具はしっかりと装着しないといけないだよ。翌日、私とおじいちゃんは仙人に言われた通り、防具もしっかりつけて、仙人から剣も借りて、深見山の洞窟に向かったのさ。二人で洞窟に入り、慎重に少しずつ奥に進んでいた。次々と現れるマムシや他の危険な生物を倒していくと、奥に何か光っているものが微かに見えた。ゆっくり近づいていくと、鮮やかな赤色のリンゴがあった。私とおじいちゃんはそのリンゴを大事におばあちゃんの元に持って帰った。おばあちゃんはあまりの鮮やかさに驚きながらも、そのリンゴを食べた。その瞬間からは効果は感じなかったが、それ以降体が痺れることは無くなったんだよ。」

「そんな話があるんですね。今はその山はどうなっているんですか?」

「その山はもう開拓されて無くなったよ。その洞窟ももう無くなった。」

「じゃあ、もうそのリンゴは存在しないの?」

「断言はできないが、まだどこかにあるという噂は聞くよ。」

「誰かリンゴについて詳しい人はいないですか?」

「二つ隣の家にいつも山登りをしている人がいるよ。いろんな山に行って、山菜や果物を持って帰ってきているのをよく見るよ。明日、尋ねてみたらどう?」

「わかりました。ありがとうございます。」


まさおはその夜、八百屋のおばちゃんの姉夫婦の家に泊めてもらった。翌日、まさおは7時に起き、姉夫婦にお礼を言った。


「昨晩は泊めていただきありがとうございました。」

「いえいえ。またなんかあったらいつでもきてね。」

「はい。それではまた。」


まさおは姉夫婦の家を後にし、二つ隣の家に向かった。家に着くと、60歳ぐらいの男が、庭でくつろいでいた。


「すみません。ここにいつも山に行っている人がいると聞いて、来たのですが。」

「ああ。それは私だ。いつも山に山菜や果物をとりに行っている。それがどうしたんだ?」

「実は、母が病気になって、それを治すための魔法のリンゴを探しているのです。この町にそのリンゴについて知っている人がいると聞いて来ました。」

「昔は少し山に行けば取れたけど、最近は見てないな。でもどこかの山にはまだあると思 うよ。」

「本当ですか?教えてください。」

「3つ頭に浮かんだ山があるが、そのうちのひとつの近くに山を知り尽くしている仙人が住んでいるらしい。一緒に探しに行ってやろう。どの山にいるかはわからないから、まずはここから一番近い山に行こう。」


男とまさおはおにぎりを片手に山に向かった。山のふもとに着くと、二人は早速山に入って行った。大量の草が生い茂り、人が歩けるような道はない。持ってきた刀で草を切りながら奥へと進んでいった。少し奥へ進むと柿の木や葡萄の木があった。お腹が空いていたので食べてみたが、特別な味はしなかった。さらに奥に進んだが、リンゴの木は見つからず、山の頂上に着いた。


「この山にはなかったな。でもまだ2つ残っている。あの小さな二つの山に挟まれている少し大きな山が見えるか?」

「あの山の頂上の色が濃い山ですか?」

「そうだ。次はあの山だ。今登ったばかりだが、降りてあの山へ向かおう。」


男とまさおは1つ目の山を降りて2つ目の山に向かった。


「次の山は猛毒を持った蛇がいたり、大きな蜂の巣があると言われている。さっきよりも慎重にゆっくり行くぞ。」


男とまさおは足元や頭上を気にしながら山に入っていった。予想通り、蛇や蜂がいて、そのほかにもたくさんの危ない生物がいた。奥に進んでいくと、人の足跡があった。おそらくまだ新しい足跡だった。足跡を辿っていくと30歳ぐらいの男がいた。


「ちょっといいかな。魔法のリンゴがある山の近くにりんごの在処を知っている仙人がいると聞いたのだが、本当なのか?」

「ああ。本当だ。それはおそらく私の師匠だ。今日もこの山に山菜を取りに行ってくれと頼まれて来たんだ。」

「本当ですか!?その仙人のところに案内してもらえますか?」


まさおは嬉しそうに答えた。


「良いけど、今から頂上付近にある山菜を取りに行くからそれを手伝ってくれるかい?」

「もちろんです!」


男とまさおは山菜とりを手伝い、30歳の男と一緒に山を下っていった。すっかり日は暮れて、辺りは真っ暗になっていた。2時間ほど歩き、やっと仙人の家に到着した。


「はじめまして。まさおといいます。魔法のリンゴがどうしても必要で来ました。リンゴの在処を教えてくれませんか?」

「リンゴかい?わしも最近は見かけないが、おそらくまだどこかにあるだろう。なぜ必要なんだい?」

「実は母が病気になって、その病気を治すにはそのリンゴが必要という情報を耳にしたんです。」

「そういうことなのか。わかった、教えてやろう。だがそのリンゴにたどり着くためには知識と修行が必要だ。まず、リンゴの見分け方だ。明らかに違いがわかるわけでもない。少しの違いを見分けるのだ。魔法のリンゴは山の奥にあって、普通のリンゴよりも少し小さいが、色が少し濃い。リンゴがある木にも特徴があって、幹が太く、葉が少し薄い。次に、修行をしないといけない。山奥のリンゴにたどり着く前に魔物が現れると言われている。そいつに噛まれると、どんどん筋肉が腐っていく。そいつは首を切ると死ぬと言われているが、ぬるぬるしていてすばしっこい。そいつを倒すために明日1日特訓をしてやろう。」


まさおは朝5時から、日が暮れるまで、仙人の修行を受けた。

ようやく仙人を探し出し修行により魔法のりんごの見分け方を身につけたまさおは仙人に言われた通りリンゴのある魔物の森に向かった。その森は今まで足を踏み入れたものが生きて帰ってきたことのないとてつもない魔物が住む森だ。森の入り口に到着したまさおは一歩足を踏み入れた瞬間今までに感じたことのない胸騒ぎがした。


「これが魔物の森か…」


そうつぶやいたその時、カサカサと音がして何かの気配を感じた。


「気のせいか...」


まさおはまた足を進めた。少し歩くと またカサカサと音がした。さすがに何かがいると感じた。


「何者だ!出てこい!」


そう言うと、「カサカサ カサカサ」と言いながら肌がカッサカサの男が現れた。まさおは思ったよりも弱そうな敵に驚きながらも仙人からもらった剣で一発で倒した。倒された男は最後の力を振り絞り言った。


「ここから先は行かない方がいい…今のうちに〇#$△%!&$@?#×……」


後半は何を言っているかわからなかったが、この先が危険であることはなんとなくわかった。まさおは息をのんだ。それでも森の奥に進んで行った。長い時間歩いたがそれでもまだリンゴがありそうな気配はない。そんな時、また人の気配を感じた。


「またかよ…」


まさおはそう思いながら剣をかまえた。


「なんやねんコラ、いてまうぞワレ!」


そう言いながら大阪のおじさんが現れた。まさか森の中で大阪弁のおじさんと出会うと思っていなかったまさおはとても驚いた。

すると大阪のおじさんはいきなり話し始めた。


「せやせや、めっちゃおもろい話あんねん!この前ここらへんウロウロしとったときな・・・・・」


おじさんは5分ぐらい話していたが、全然面白くなかったのでまさおは剣で斬り倒した。倒されたおじさんは最後の力を振り絞り言った。


「ここから〇$%#×&$!?#%〇$!#…」


ほとんど何を言っているかわからなかったが、多分この先は危険!みたいなことを言いたかったのだろうと思い、さらに奥に進んだ。

まだ先は長い、それでもお母さんを救うためまさおは休まず歩き続けた。だいぶ歩いた

ところで目の前に鎧を身にまとった兵士のような魔物が立ちはだかっていた。


「急に強そうな敵だな…」


まさおは思わずつぶやいた。その魔物は言った。


「残念だったな、お前の命もここまでだ」


魔物はまさおに襲い掛かった。まさおは攻めてくる魔物に対して守ることしかできなかった。ただまさおは押されながらも一発で仕留めようと反撃の機会をうかがっていた。そして、魔物の動きが少し鈍くなった瞬間、まさおは魔物に斬りかかった。その時まさおは重大なことに気が付いた。まさおは必殺技を持っていないのだ。ただ一度限りのチャンスを無駄にしたくないと思い、まさおは「よいしょ!」と言いながら魔物を切り倒した。普通ならかっこいい技の名前を言ってたおすとところをまさおは「よいしょ!」で倒した。ようやくりんごをゲットできる、まさおはそう思ったが周りを見渡してもりんごの木はない。すると倒された魔物は言った。


「お前にボスは倒せない…さっさとこの森から出ていけ」


まさおはまずこいつがボスではなかったことを知った。だいぶ疲労も溜まってきて足も重くなった。ただ、ここで引き返すわけにはいかないと気合で前に進んだ。少し歩くとまさおはだんだんと意識がもうろうとしてきた。


「もうダメか…」


まさおはそう思った。すると頭の中に仙人との修行、お母さんの顔、おじさんの面白くない話…いろいろな記憶が走馬灯のように駆け巡った。


「ここで終わるわけにはいかない!」


まさおはもう一度歩き出した。まだかまだかと進んでいると、目の前に赤いボタンと青いボタンが現れた。おそらくどちらかは当たりでどちらかはハズレだと思った。

まさおは直感で「青だ!」と思い青のボタンを押した。するとすごい衝撃とともにまさおは気を失った。少し経ち目を覚ますとまさおは森の入口に立っていた。また一からのやり直しとなってしまったのだ。


「もうダメだ…帰ろうかな。いやでも......」


帰るか再び挑戦するかまさおの中の天使と悪魔が葛藤していた。


 悪魔:「入り口に戻ってしまったなら村に帰ってしまった方が早いぜ。体力もないんだしさっさと帰って休憩しようぜ。」

 天使:「ダメよ!あなたはリンゴをとってきて母親を助けるんだから。でも母親が心配だから一度帰って様子を見に行きましょう。」


なぜか天使と悪魔の意見が一致してしまった。まさおはさすがに帰るのはまずいと思い天使と悪魔の意見を聞かなかったことにして再出発した。さっき一度通った道をもう一度歩いて再びボタンの前にたどり着いた。



一方そのころ仙人は……

「あいつしっかり頑張っているかのう…あっ、おもしろいのを思いついたぞ!【仙人が千人】これはおもしろいのう…」



「さむ……」


まさおはなぜかとても寒気がした。そんなことは気にせずまさおは赤いボタンを押し前に進んだ。そこから30分ほど歩いただろうか…

まさおの目の前に幻のリンゴの木が見えた。


「やっとだ…やっと辿り着いたんだ!」


まさおはとても喜んだ。うれしさのあまり喜びのダンスを踊っていた。ダンスを踊っていると奥から声がした。


「誰だ…俺の縄張りで好き勝手暴れているのは…」


巨大な魔物が姿を現した。全長5メートル程で体重は500キロを超えているだろう。


「こんな敵どうやって倒せばいいんだよ…」


まさおは絶望してしまった。今にも襲い掛かってきそうな魔物に対してまさおは死に物狂いで交渉を試みた。


「10分だけ時間をくれませんか?」

「いいだろう、15分待ってやろう」


魔物はなぜか承諾しさらに5分サービスしてくれた。まさおがこの巨大な魔物をどうやって倒すか考えているとふと村の人たちの会話を思い出した。



「あんた最近ますます太ってきたな~」

「そうなんだよ、最近腹がつっかえて靴下をはくのに苦労するんだよ…」

「それは気の毒だね~」



そこでまさおは太っている魔物に対して足元を攻めるのが有効だと考えた。

戦いが始まりまさおは襲い掛かってくる魔物の足元に向かって攻撃した。魔物は出過ぎた腹のせいで自分の足元は見えなかった。


「おのれ…卑怯な手を使いやがって…」


腹を立てながら見えない自分の足元を攻撃していた。ただ、ほとんどの攻撃が自分の足に命中し、勝手にダメージを食らい続けた。まさおも見えないところから飛んでくる攻撃におびえながら、なんとか避け続けていた。攻撃を続けていると、魔物は受けたダメージが大きく、とうとう地面にひざをついてしまった。明らかに魔物が弱っていることが分かったまさおは一気に畳みかけようと攻撃を仕掛けた。しかし、本気で怒った魔物は向かって来るまさおを手で一振りではじき返した。まさおは吹き飛ばされ木にぶつかった。


「弱ってもまだこんなにパワーがあるのか、、、」


魔物のすさまじいパワーを目の当たりにしたまさおは戦意を喪失しかけた。

その後も何度も攻撃を仕掛けたものの、相手にはたいしたダメージを与えられず、

はじき返されるばかりだった。まさおは本当にダメだと思い、あきらめかけた

その時、、、。


「ちょっと待った!」


いきなり大きな声がした。振り返ると、ここに来るまでに倒してきた肌がカサカサの男に大阪弁のおじさん、鎧を着た魔物がいた。


「お前一人ではこの魔物は倒せない…俺たちが力を貸してやる。」


3人は言った。まさおは「戦力になるのは一人だけだな…」と思ったが、仲間が増え戦意を取り戻した。まずカサカサの男が攻撃を仕掛けたがはじき飛ばされ、あっさりとやられてしまった。まさおからすればこのようなことは想定内だった。

そのあと大阪弁のおじさんが魔物のところまで行った。


「おい、邪魔や!邪魔や!はよどかんかい!」


文句だけ言ってそのあとすぐにあっさりやられてしまった。これも想定内だ。

鎧を着た魔物は攻撃を仕掛け、敵の攻撃をうまくかわし、肩に一撃を浴びせた。


「こいつと協力すれば勝てるかもしれない…」


まさおはそう思い攻撃に加勢した。

二人で同時に攻め続け、相手も混乱して動きも明らかに鈍くなった。そして巨大な魔物が大振りの攻撃をし二人がそれを避けた瞬間、大きな隙ができた。


「今だ!!」


二人が一斉に襲い掛かった。鎧の魔物は胸を、まさおは首を切り裂きとうとう巨大な魔物との長い戦いが幕を閉じた。




そしてようやくまさおはリンゴの木の前に辿り着いた。


「やっと手に入れた、、、ここまで長かったよ」


リンゴは5つあり、それぞれ1から5の数字がリンゴに書かれていた。リンゴを回収したのち、まさおはどっしり腰をおろした。まさおはここまで来るのに子供の年齢とは思えないほどの大冒険をしてきたため、疲れ果てていた。そして、まさおはここ最近ちゃんとした睡眠をとることができておらず、極限状態にあった。


「これでお母さんも元気になってまた一緒に楽しく過ごせるんだ、、!」


まさおは近くにあった木の枝につかまり立ち上がった。


「あれっなんだ、まっすぐ立てない、?」


まさおはフラフラしながらも歩こうと試みた。だが、足元がおぼつかず、バタッと倒れてしまった。


「い、意識がとおのいていく、、お母さん、もしかしたら家に帰れないかも、、、」


まさおは静かに目を閉じた。


「、、、だよ、、、、い、、ま、、、く、、、、」


誰かがまさおのそばに来て何か囁いていたが、まさおは意識が遠のくばかりでほとんど聞き取れないまま再び目を閉じた。






「、、、、さお、、、、まさ、、、!、、、まさお!」


ハッとまさおは飛び起きた。


「ここはどこ!」


まさおは大きな声を出しながら、周りを見渡した。するとそこはまさおの家だった。


「お母さん?なんで僕は自分の家にいるの?」


まさおは現状を受け取れられずにいた。しばらく呆然とした後、自分が何者かによって家に運ばれてきたことに気づいた。


「いったい誰が僕をこんな遠くの家まで運んでくれたの?」

「この方が運んでくれたのよ、」


お母さんはある男を指さして言った。


「よっ、体調のほうはどうだ?」


そこには見たことのある中年の男性が立っていた。まさおはしばらく黙った後思い出したように口を開いた。


「あ!あの時の師匠の弟子の!」

「あの時の弟子とは!失礼だな!お前をここまで運んできてやったんだぞ?感謝しろよ?」


師匠の弟子がまさおを山奥からまさおのいえまで連れ戻してくれていたのだ。


「師匠は?いないの?」


師匠の弟子は首を横に振った。


「さっきまでいたんだけどよ、お前が意識を取り戻す前にどっかに言っちまったよ、まったくあの人らしいぜ」


師匠はさっきまで家にいたようだった。しかし、照れくさくなって起きる前にどこかに行ってしまったようだった。


「そっか、師匠にもお礼言いたかったな、、」


まさおはニコッと笑っていたが、どこか寂しげな顔をしていた。


「それでまさお、今までどこに行ってたの?本当、心配したんだからね、!」


お母さんは不意に話を戻し始めた。まさおはハッと我に返り、お母さんに言った。


「お母さん!このリンゴを食べて!病気なんか吹っ飛んじゃう凄いリンゴなんだ!」


まさおは自慢げに取ってきたリンゴを見せた。


「ほう、そいつが噂の魔法のリンゴか。ちゃんと手に入れられたんだな!!確か5分の1の確率でどんな病気でも治癒する凄い リンゴなんだよな」

「うん、でも5分の4で猛毒のリンゴが混じってるみたいなんだ。でも、安田さんと話していた謎の男が言っていた隣町の人はどうやって見分けたんだろう。何か絶対正解を引けるヒントがあるはずだ!」


まさおはその日一晩中考えをめぐらした。辞書や本を駆使しながら調べた。


「きっと魔法のリンゴはリンゴである理由があるはずだ!」


気づけば、まさおの家は治癒のリンゴを当てるためにブレーンストーミングを使い書き出された付箋のような紙であふれかえっていた。すると、


「もしかして、『りんご』の『りん』をrind(皮)と訳して、『ご』はそのまま数字の5にする。つまり5番目のリンゴの皮を食べたら、、そのリンゴが魔法のリンゴなのか!?」


そう叫んだのち、リンゴの皮を剥きすり潰したものをお母さんに食べさせた。まさおは唾を飲んだ。するとお母さんは最初苦しんだが、徐々に落ち着いていくのが目に見えて分かった。



数日後、お母さんは元気になり、医者に体を見てもらった。すると、お母さんの病気が嘘だったかのように病気は完全に治癒されていた。

そして、まさおは元気なお母さんと共に幸せな第二の人生を歩み始めた。


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