聖なるタクトは鼓動を奏で
静寂の場所に立つ
その時僕は全てを見渡せる
全てが正しく
全てが美しい
洗練されたこの場所
飾り気のないこの芸術の場所を
僕の鼓動が彩ってゆく
絶え間なく刻み
全てを覆い
全てを包む
透明な鼓動がこの静寂を破り
息を吞む間もなく続いてゆく
一千一夜よりも儚く
一千一秒よりも尊い
大地の血脈よりも
燃え盛る太陽よりも
碧く深い海よりも
広く壮大な蒼穹よりも
厳かで、美しく、そして素晴らしい
聖なる地に旋律を奏でる
その時僕は全てを超越する
全てが麗しく
全てが愛しい
僕の鼓動が全てを奏でる
何もかもを放つ指先が彩り
この場所を僕の旋律だけで溢れさせる
色鮮やかな狂詩曲
ブリランテの行進曲
優雅に散る円舞曲
手を取り合う協奏曲
雄大かつ壮大な交響曲
儚く物哀しい幻想曲
僕の鮮明な鼓動のように
刻み、奏で、彩り、飾る
巡り巡り逢う奇跡
全てが一つだったかのように
全てが世界を創ったかのように
僕は奏でる
それはもはや音などではない
僕の鼓動
僕の吐息
僕の痛み
僕の喜び
鮮血のように滾り
心音のように舞う
誰もが立ち上がる
ある者は涙し
ある者は嬉々する
精彩なる喝采に身を包まれ
僕は全てに魅了された
いつだって此処を忘れまい
いつだって奏でて魅せよう
この感動を体感し
この涙を流すために
僕はタクトを振り
世界を創造しよう