渾沌の貴方
着飾れば着飾るほどに讃えられ
嬉々して虚栄の光を維持している
そうしないと生きられない者の偽りの金箔
全てを脱ぎ捨ててでも壊してでも
一時に欲するものを手に入れたはずなのに
失ったものの大切さに気付いた者の後悔と喪失感
愛して愛してやまないと
溺れるように縋りつき求め続けた薔薇の花に
残忍に棘を貫かれた者の滴り落ちる一雫の血
憎しみと悲しみに呑まれ続け
幼い記憶の全てを怨み尽くした者の
憎き敵へ止めを討つ一瞬の躊躇いの微動
ここは渾沌の空間
この世の不純物が溢れている
誰にも認められない
誰も認めたがらない
存在するのに
無いことになっている
そんな矛盾の海
誰もが認めたくない過去と
誰もが向き合わない現実と
誰もが望んでいない未来に
翻弄され
迷わされ
惑わされ
その歪みに溢れたモノたち
それらの生み出したモノは
真実ほどに厭わしく
嘘のように優しい
果たしてここのモノたちは
誰かに必要とされたり
誰かに愛されたりするときがくるのだろうか
それは貴方の在り方次第
棄てるも持つも貴方次第
偽りと云い、砕くのか
真実と云い、尊ぶのか
果たして貴方は
誰かに認められ愛される存在なのか
誰かに渾沌の空間に棄てられるのか
それとも壊されるのか
全ては貴方次第
貴方の運命は如何なものか