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5.と在る天の使い(女)の場合

ちょっぴり恋愛要素??ちょっとお下品な隠語注意報。

「まーったくよー!やってられっかー!」


と在る天の使い(女)は、クダをまいていた。


此処は異次元。神様や天の使い(長いので以下、天使とします)の住まう場所の居酒屋である。



神様達にも、年に数回は休暇があり、景勝地でヴァカンスなんてのも出来る。

ショップやカフェ、繁華街、勿論、居酒屋もある。


が、しかし。


基本的に24時間のお仕事で、ブラックじゃない?と疑いたくなる。

気を抜くと世界が無くなってしまう可能性があるから、責任も重い。


大抵、複数人の神と天使で一つの世界を支えていて、ある程度、役割分担をしているが、仕事量の差が激しい。忙しい神はとても忙しかった。

例えば、恋愛と出産の神様の様に。


恋愛は、全国、全世界共通で存在するし、恋愛感情がない政略結婚でも、恋に落ちたりする者はいる。

それに、恋や愛が発展して、子供が出来なければ、世界は育たない。


世界に微生物や虫しか居ない時期なら暇だった。

感情は無く、繁殖するだけだったから。

今は、一世界に数百名の神や天使が、何組もチームを組んで、恋愛、結婚、出産を推し進めている。



クダをまいている彼女は、そのチームの一つに配属された若い天使。

魂の記憶を管理する者の一人で、名をセレーネという。


魂の多くは天に召されてから、一旦、真っサラに前世の記憶を消してから、次の器へ送り出すのだ。


実は最近、彼女は何度も、記憶の「消去」を失敗していた。


パソコンで言うなら、「フォーマットする」の事なのだが、そう簡単にはいかない。

表面上「消えた」ように見えていても、実際は完全には消せないのだ。

それを、上手くマスキングして、思い出さないようロックをかけなければならない。

非常に繊細で、手の掛かる仕事なのだ。


彼女は決しておざなりに作業をしている訳ではないのだが、最近、生まれてから数年後に「前世を思い出した!」という奇っ怪な現象が増えていて、彼女は今日、上司から説教を受けたのである。



それで、今、気の合う先輩天使と、先輩の同期(男)と、自分の同期(男)の四天使よにんで、憂さ晴らしに飲みに来たと言う訳だ。


「それもこれも、あの上司が悪いんじゃー!!」


実はセレーネの同僚(同じ仕事の若い天使)を上司(男神)が見初め、結婚。

現在、産休に入ってしまったので、「記憶の消去」確認作業の手が減ったのだ。


「ハイハイ。そーだな。その通りだ。」

セレーネの隣、先輩天使のダンテが、合いの手を入れる。


「せ〜んぱ〜い!適当に返事してる〜!!」


セレーネがダンテの肩をバシバシ叩いた。

「イテッ!いてーよ。まったく。たった生ジョッキ1杯で、大分酔っ払っているな。」


「仕方ないわよ。24時間連続一ヶ月の勤務明けだもん。流石に疲れたんじゃないの?」

先輩天使のミランダが言う。

彼女もセレーネと同じ出産に関係する部署だが、命に魂を配る仕事をしていた。



「しかし、慢性的な人員(天使員?)不足よね。この部署。」

ミランダは、ウーロンハイに口を付けながら、溜息をついた。

緩くウエーブした黒髪に、伏せ目がちの横顔が色っぽい。


一方、酔っ払った後輩のセレーネは茶色のセミロング。

くりくりした大きな目の童顔を真っ赤にして

「そうれす!そうなんれす!」

手に持った大ジョッキをゴトンと机に置く。

2杯目だ。


「うわ。呂律が回ってねぇ。もう、お前、酒やめろ。」

慌てて、ダンテがセレーネのジョッキを奪おうとした。

「や!まだ飲むぅ!!」



やいのやいのしている二人を、ニコニコ見ながら、後輩(男)オスカーは焼き鳥をもぐもぐんでいる。

「アンタ、呑気ね。……焼き鳥、残しときなさいよ。」

ミランダが嫌味を言うが、どこ吹く風。


ダンテは狩猟の神、オスカーは農耕の神の元に仕え、部署が異なる。


ダンテは狩猟の神らしく、背が高く、しなやかな筋肉をしていて、爽やか系イケメン。

オスカーは、細くてヒョロヒョロして、のほほんとして、癒やされイケメン。

二人共、若い女神に人気があるが、そちらには行かず、自分達と付き合ってくれる。


ミランダは、ちょっと不思議だった。



「まぁ、あの二人はジャレているだけですし。あ、トリ軟骨下さい。シシトウ串と唐揚げと枝豆、追加注文していいですか?」

オスカーは余裕である。

ミランダもウーロンハイを煽り、レモンサワーを注文した。


ーーーーーーーーーーーーー


「ふえ〜。」

「おい、しっかりしろ。」

酔っ払って、くにゃりと力の無いセレーネをダンテが支える。

結局、セレーネはビールをジョッキ2杯で潰れた。


四天使は勘定を済ませ、居酒屋の外に出た。


ダンテは、

「じゃ、こいつ、俺が送っていくから。」


「え?私も行くよ。」

ミランダが慌てると、オスカーがミランダの肩を止める。

「まあまあ。」


ダンテは、オスカーに手で合図をし、セレーネの肩を抱いて歩いていった。

オスカーは手を振りながら、ニコニコと見送る。



「ちょ、ちょっとオスカー。」

「なんですか?ミランダさん。」


ミランダはオスカーを見上げる。

もやしっぽい癖に、オスカーはミランダより、大分背が高い。


「……あれ、不味くない?!」

「何がです?」

オスカーは、分からないの?


「………送り狼にならないかって事!」

ニコニコ笑いながら、オスカーは

「嫌だなぁ。ミランダさん。」


ミランダは、オスカーのその目が光った気がした。

「……当たり前じゃないですか。送り狼になるんですよ。」


「へ?」


「あれ?知りませんでした?ダンテ先輩、セレーネさん狙いですよ。」

ミランダは、知らなかった。

(え、嘘。いつから?!)

別にダンテに気があった訳ではないが、知らされていなかったので、少しショックを受ける。

(まぁ、アイツ、セレーネの隣に毎回座るあたり、そうかもとは思ったけど。)


オスカーは呆けるミランダの手を引いた。

「ちなみに、僕はミランダさん狙いです。」

「い?!」


そしてそのまま、ダンテ達と反対方向に歩き出す。

「あれ、ミランダさん、もしかして初めてですか?フフ。安心してください。僕、農耕の部署だから、耕すのも、慣らすのも、種付けも得意なんです。大丈夫。ちゃぁんと責任は取りますから。」


ミランダは青くなったが、もう遅い。


そして二天使(ふたり)は夜のネオン街へ消えていった。



お読みいただき、ありがとうございます。

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