1.と在る男爵令嬢の場合
勢いで書きました!
後悔はしていない!多分!
ある日、庭でコケて、頭を打ったら前世を思い出してしまいました。
私、エレノア。
田舎の男爵令嬢でございます。
前世では、ニホンという国でジョシコーセーをしておりました。
その時に流行った乙女ゲームの舞台、それがまさにこの国なのでございます。
ああ、何ということ!
私の名はエレノア。
エレノア・ベルマリエ。
乙女ゲームの主人公ヒロインだったのです!
私は気がついた時、己の幸運に狂喜致したのは、言うまでもございません。
その上、聖なる光の魔力にも目覚めました。
まだ微々たるものですが。
ささ、早速、攻略対象の殿方にお会いしに、舞踏会へ馳せ参じねば!
そう思ってドレスを新調致しましたところ、幼い姪に怒られてしまいました。
「エレノア叔母様、もう少しお考え下さい!」
あら、そうですわね。
何処の舞踏会へ参加するとか、誰にエスコートしてもら会場入りするとか、考えねばいけません。流石、私の可愛い姪。
家は男爵と言っても、由緒ある家柄。
舞踏会やお茶会、パーティのお誘いは、まあまあ来るのです。
「そうね、来月、隣のサムエル子爵様のパーティがあるから、そこへ参加しましょう。エスコートは、弟のグレンにしてもらって……。」
「叔母様。そういう事じゃないのです。」
姪のマリーベルは、可愛らしく、小さいながら聡い子。
赤いほっぺを膨らまして、私に意見を致します。
叔母様、何が不味いのかしら?
何でも聞いちゃうぞ?
「叔母様、先日、脚を怪我されたでしょう!」
そうね。頭を打って、更に脚も骨折したのでした。
叔母様、あら、うっかり。
「……そうね。そうだったわね。残念。舞踏会は、また次の月にしましょう。」
待っててね。王子様。
宰相子息様、公爵子息様、騎士団団長子息様、攻略対象の方々。
うふふふ。
ニヤニヤしていたら、まだ姪が何か言いたそうです。
おでこに手を当てて、ため息なんてついています。
大人の真似して………可愛い。
「………叔母様。言いにくい事ですが………」
「なぁに?言ってご覧なさい?」
一息ついて、姪は
「少しは、ご自身の歳をお考え下さいませ!」
「えー!!女性にはそういう事を言っては、いけませんよ!」
私は窘めますが、姪は
「叔母様は、もう77歳なんですよ!」
キャー!!言ってはいけない事を!!
「分かってます?!舞踏会で踊られる方は、十代、二十代なんですよ!踊れます?!」
「イヤン。叔母様、心は十代よ。」
「馬鹿言っちゃいけません。今回の骨折だっていつ治るか………!」
姪は口煩く言いつのります。
もう。そんなに言わなくても………。くすん。
エレノア、悲しくなっちゃう。
歳の離れた弟の、これまた歳を取ってから出来た娘は、しっかり者です。
きっと良い婿を迎えて、男爵家を継ぐでしょう。
………そうね。
私が17歳だった時の皇太子様は、既に引退して、お孫様が王位を継ぐとか言っているし、宰相御子息も、もう儚くなってしまわれたし、騎士団団長御子息は隣国へお婿に行かれてしまった。
私は結局、イケメンを追い求め続けたら、二兎追う者は一兎も得ず、嫁き遅れ………。
でも、何処かに居らっしゃるはず。
まってて!私の王子様〜!!!
お読みいただき、ありがとうございます!