魔女エリーの朝ごはん
たっぷり寝た気がするけれど、日差しは朝真っ只中そのものだ。
季節は秋。開けた木戸からすぐに入ってくる風が、木の葉の匂い。
「ん〜っいいにおいー」
肺いっぱいにその空気を吸い込んだら、鼻が少し冷えちゃった。
窓の外の木々に、黄色や茶色が増えてきてる。
「もうそろそろ…冬の支度を始めなくちゃね」
さてその前に。
「さ〜てっ!朝ごはんでも作りましょうか。あったかいお茶も飲みたいわ」
ねっ。
ストールを羽織ってキッチンへ移動。
まず竃に火を入れましょう。
調味料棚に置いてあるビンから、ひとつまみのおが屑を取り出して竃の中に振り入れ。
『火蜥蜴さんたちーおはよう。よく眠れたー?』
このおが屑には魔力のエッセンスが含まれているの。
まずは火蜥蜴たちに、朝ごはんをってところかしらね。
竃に火が出て一気に炎が燃え膨らみます。
家の中が冷えてたから暖かい♪
扉の中から食材を取り出してっ…。
朝はやっぱり卵が食べたいわ。
「卵と…チーズとね。あら、そういえばコカトリスの尻尾のオイル漬けをまだ食べてないわ。どうやって…そうだ、サラダにかけようかしら」
竃に鉄のフライパンをかけ、ラードをひと匙入れます。
フライパンの中がツヤツヤになったら卵を割って入れて。
『中火よ。ちょっと菜園に行ってくるから、上手に卵を焼いてね火蜥蜴さん』
って、火のエレメントに声をかければあとはお任せ。
私は籠を持って外の菜園へ。
「空気が冷えてる!でも日差しが強くてあったかい」
空に雲が少なくて、今日は天気が良さそう〜。
家の脇の小さな畑は、夏野菜も終わってそろそろ寂しくなってきちゃったけど。
キャベツと白ナスを摘んで。
「これにオイル漬けかけて食べよっと」
シャキシャキしてて美味しそう!
「さて、と」
朝ごはんを作るのもひと仕事ね。
「使い魔増やそうかしら…。遺跡で見つけてこよう。でもそんなに簡単に手に入るとは思えないけど…」
お茶を淹れながら考えたり。
「いい香り…うふふふ」
ダイニングのテーブルに麻のマットを敷いて、
作り置きの豆スープ、朝採り野菜のコカトリスドレッシングサラダに目玉焼き。
食べかけの大きな丸パンが少し硬くなっているから、
スライスしてスープに浸しながら食べることにしましょう。
「では〜っいただきまーす」
今日は何をしようかな?
そうだ、頼まれていた小物を街へ持っていくついでに新しいパンを買ってこよう。
あとは…新しい使い魔のことを、友だちの冒険者に話してみよう。
ふぅ…冬の支度も、していかなくちゃね…。
それは、おいおいーーー。