第13話 計画
□アルムスフィア聖王国 ウォーデン城:《死霊魔術師》一ノ宮和樹
真夜中の城内がある程度静かになり始めた頃、俺は秀一達が獣と戦ったというレイメイの丘へ向かうために城の外へ脱出する計画を立てていた。秀一達の生死を自分の目で確認するためだ。脱出するまでにやらないといけないこと、城外への脱出ルートや脱出後のことを考えて綿密な計画が出来ていく。
「よし、これなら脱出できそうだ」
頭の中で計画が完成した後、俺はそれを実行するために、窓からうっすらと夜明けの光が差し込む自分の部屋を出た。出来るだけ早く城外へ脱出しないと不味い。俺はそう思いながらも城の外とは真逆の方向にある城の宝物庫へと向かっていた。何故俺が出口とは真逆の方向へ向かって走っているのか。それは以前書庫にて見つけた宝物庫にあるとされる《死霊魔術師》専用アイテムである「時の柩」を手に入れるためだ。
とても便利なアイテムだし、どちみち《死霊魔術師》専用アイテムなら綺麗に飾っておくより俺が使ったほうがいいだろう。そして俺は宝物庫の前にたどり着いた。まあ予想していたことだが、分厚い鎧を着た2人の聖騎士が宝物庫の扉を守護している。聖騎士を突破して宝物庫に入るために俺は綿密な計画を立てて来ている。俺は自信を持って廊下の角から勢いよく駆け出す。
「ここは立ち入り禁止だ!」
「悪いが通してもらう!」
俺は縦に振るわれた聖騎士の剣をうまく躱して、聖騎士の腹を蹴り飛ばす。蹴りを受けた聖騎士は宝物庫の方へ吹き飛ばされて、硬い宝物庫の扉にぶつかり気を失った。
「貴様っ!!」
もう一人の聖騎士は俺の背後から剣を突き刺そうとしたが、俺はそれを躱して回し蹴りで剣の刃を折る。後は1人目の聖騎士と同じように扉へと蹴り飛ばした。これが俺の立てた綿密な計画の1つ、つまるところ邪魔する奴はぶっ飛ばせといった風にごり押しで聖騎士を倒して宝物庫へ入るというもの。
これのどこが計画だ! と普通なら思うのだろうが、念入りに準備をしたわけでもない作戦で、しかも手持ちの武器などない俺にはこれが1番現実的だ。それに俺の体はこの世界に来たときに強化されているからか筋力も上がっているので聖騎士を蹴り飛ばすくらいであれば俺でもできる。(ちなみに本で知ったが前衛職である秀一や翔吾は俺とは比較にならない程に強化されているらしい)
まあおそらく聖騎士が更に後1人いたらやられていたなと内心ホッとしているわけだが。
幸いにもここは城内でも特に他の部屋と離れた場所にあるため、おそらく誰にも今の聖騎士の激突音は聴こえていないはずである。俺は聖騎士を扉から動かして宝物庫へ入った。
「えっ。これが宝物庫なのか?」
宝物庫の中を見た俺はあからさまにテンションを下げる。宝物庫の中は様々な宝箱や明らかに高そうなものが綺麗に並べられていた。俺は金貨の山などを想像していたので、現実の宝物庫を見て少しがっかりしたのだ。そしてこの中から「時の柩」を探すのかと少し遠い目をする。
「アイテムから勝手に出てきてくれたら楽なんだけどな」
あくまでも勝手な願望を口にする。その後ため息をついて宝箱を急いで1つずつ開けていこうとしたそのときだった。
「うぉっ! 何!?」
突然数ある宝物の1つが紫色の輝きを放ち俺のもとへと飛んできた。それを手で掴んで確認する。それは今から探す予定だった「時の柩」そのものだった。まさか本当にアイテムから出てくるとは。おそらくだが俺の《死霊魔術師》という職業に反応したのだと思う。俺は「時の柩」と宝物の入った宝箱を1つ持って急いで宝物庫を出た。
できるだけ音を立てないようにあらかじめ決めておいた城の脱出ルートを駆け抜ける。途中で数人と遭遇したが完全にスルーだ。
「よし! あれが城門だな。あそこから城外へ出られる!」
俺は城門を開くと城の外へと脱出する。その後俺は走って街まで移動した。
「待っててくれよ。みんな!」
俺は完全に夜が明けて明るくなった空を見上げて拳を握りしめた。
9月になり活動再開したばかりでアレなのですが、また9月末までリアルの都合で活動をお休みさせていただきます。申し訳ないです。次の更新予定はまたTwitterでお知らせします。




