新たな生はまた人間
太陽の光が部屋に心地よく降り注ぎ、気持ちの良い風が窓から入ってくる。外から子供たちの楽しそうに遊ぶ声が聞こえてくる。そして部屋で一人、銀髪でサファイアの様な鋭い目。女の子の様な白い肌の少年。彼は持っている本を閉じる。
「………次は歴史について調べるか」
『青木 涼太』改め『アルフ・セラフォード』。彼は転生したのだった。
意識を失った彼が次に目覚めた時は赤ん坊になっていた。彼自身も当然驚いた。死んだはずなのになぜ赤ん坊に?しかも姿がまるで変わっていたことに。
さらに自分は両親から捨てられた、いわゆる孤児として生まれた。ゆえにここの孤児院の子供の一人として育てられている。
転生、それは前にいた世界でも流行っていた類だ。しかし自分がそれを経験するとは思ってもいなかった。
転生して五年、アルフが5歳になったこの時いくつかわかったことがある。
まずこの世界についてだ。この世界には人間と亜人が暮らしている。亜人とは、エルフ族、獣人族のことを指す。
そして魔法という概念が存在する。魔法の属性は全部で6つあり、『火』、『水』、『風』、『土』、『光』、『闇』に分かれている。しかし誰もが魔法を扱えるわけではない。生まれつきで魔力量が一人一人違い、中には魔力は持っているが、魔法を使うことができない人も少なくない。ちなみにアルフもその一人だ。
そして、当然のごとく魔物が存在する。犬や猫みたいな動物に近いものもいれば、龍や霊など空想の存在のものもいる。
強さや特性、生息地も様々であり、特にこの世界では抹殺対象となっている。