魔法使いな彼
今回は魔法の言葉を教えた人の視点でした
彼は中々の腹黒ですね
《小話~魔法の言葉を教えてくれた魔法使い》
僕の名前は階堂 勇
これでも日本最大級の会社に勤めてる
そこの社長は僕と同い年で一応幼馴染でもある
昔から姉バカのシスコンと思っていたんだが
その姉を無くしてからというもの他人に対して冷たいどころでない位冷酷な人物になってしまって
僕にも会社以外関わりを持たなくなってしまって
心配してたんだがね・・・
「魁人、一つ聞くけど・・・誘拐ではないんだよな?」
ある日、ここの社長 桐野宮 魁人が可愛らしい幼女を大事そうに抱えて出勤してきた
って!!
魁人、お前とうとう犯罪をしてしまったか・・・
その幼女はお前の姉の桜さんにそっくりなような気がするが
そういえば、桜さんには娘さんがいたな・・・
「やぁ、勇 この子は桜姉さんの子供の椿だよ」
「うん、それは分かった。で、なぜその椿ちゃんがここにいるのかな?」
「椿が僕のこと離してくれないんだよ」
「・・・(汗)」
・・・うん、魁人は通常運転のようだ
でも魁人よく見てみな、椿ちゃんその可愛らしい手をグーにして
お前のその美形も台無しな変態顔に必死にパンチを繰り返してるぞ
それなのによくそんなことが言えるな・・・
椿ちゃんどっからどう見たってお前から逃げたいそうだぞ
その後、部下たちの反対も押し切りというか笑顔一つで黙らせ
社長室に嫌がる椿ちゃんを連れて行った魁人
魁人の膝の上で暇人と化していた椿ちゃんが可哀想に思えた僕は魁人にバレない様に椿ちゃんに向かって手招きしてみた
椿ちゃんは気づいたようで魁人にトイレに行くって言って部屋から出てきた
「初めまして、椿ちゃん、僕は階堂 勇。勇って呼んでね」
「はじめまして、きりのみや つばきです。」
偉いな、親戚の子供より小さいのに自己紹介できるなんて
それから僕たちはいろんな話をした
魁人のことをどう思ってるとか椿ちゃんの両親の話とか・・・
「かいとね、いっしょにいるのは楽しいけどね。私、そとにも行きたいしともだちだってほしいの・・・わがままかな?」
椿ちゃんが悲しそうに僕言ってきた
あぁ、本当に可哀想な子だな
椿ちゃん位の子なら我儘なんて当たり前で親に迷惑かけて怒られて成長するはずなんだけど・・・椿ちゃんはそれができないんだろうね
多分、そんなことをしたら捨てられると思ってしまうんだろうね
魁人がそんなことするわけもないのにね
久しぶりに見たよ
魁人のあんな顔・・・
よく桜さんにしてた顔だね
「ねぇ、椿ちゃん魔法の言葉を教えてあげよう」
「まほうのことば?」
「うん、魔法の言葉。魁人がね、椿ちゃんのお願いを叶えてくれるようになるよ」
「ほんと?」
「魁人にね・・・・・・って言ってごらん」
「えっ!・・・でもそんなこといったら」
「大丈夫だよ。もし魁人が怒ったら僕のところにおいで」
「・・・」
椿ちゃんが不安顔で僕を見てくる
でもね、大丈夫だと思うよ
魁人がね椿ちゃんを捨てたりは100%ないね
そんだけ、椿ちゃんは愛されてるんだけど・・・
見事にすれ違ってるんだなぁー
それはそれで面白いんだけどね
僕は椿ちゃんの頭を一撫でして椿ちゃんを魁人の元へ返した
魁人は椿ちゃんの顔をみて仕事を早く終わらせて椿ちゃんと帰って行った
「椿ちゃん、ファイト」
魁人に抱えられて帰っていく椿ちゃんをみてエールを送った
何日後、
「椿が反抗期なんだ」
と相談される僕であった
いやー愉快愉快




